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金木犀の許嫁

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第四十八話 プールへの誘いその六

「そうしても」
「そうなるね」
「水蜘蛛も同じね」
「水蜘蛛の木もビート板の発泡スチロールもお水に浮かぶけれど」
 それでもというのだ。
「人を乗せたらね」
「沈むわね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「ちょっとね」
「水蜘蛛はないのね」
「大体忍者って隠れて逃げるから」 
 そうした者達だからだというのだ。
「持っていくものは少ないに限るし」
「隠れたり逃げたりする時に邪魔だから」
「だからね」
 その為にというのだ。
「水蜘蛛にしてもかさばるし」
「持っていかないわね」
「そうだよ」
 こう言うのだった。
「十勇士のお家だとね」
「それで真田家も」
「そうなんだ」
 こちらもというのだ。
「本当にね」
「確かにね」
 夜空も佐京の話を聞いて言った。
「浮かびそうにないしね」
「そうだね」
「あくまで漫画のことね」
「昔のね」
「昔の忍者漫画だと使ってたわね」
「昔の忍者漫画って何でもありだから」
 佐京はこう話した。
「それこそ」
「妖術みたいな感じで」
「変身だってするしね」
「蝦蟇も使ったり」
「そうした何でもありの」
「妖術使いと変わらないわね」
「そうだから」
 だからだというのだ。
「水蜘蛛だってね」
「使ってるわね」
「むささびの術とかもね」
「あの術もね」
「実際にやっていたかは」
「ないわよね」
「大凧に乗って空を飛ぶにしても」
 こちらもというのだ。
「現実的じゃないよ」
「そちらもなのね」
「うん、実際のところはね」
 どうしてもというのだ。
「お空に上がるまでも大変だし」
「人が乗れる位の大きな凧はね」
「それに上がってもね、若し凧の縄切られたら」
 その時はというと。
「終わりだしね」
「そう思うと現実的じゃないわね」
「そうなんだよね、ムササビの術も」
 この忍術もというのだ。
「両手両足で布の端を持つか縛るかして」
「パラシュートみたいにしてお空飛ぶわね」
「高いところから低いところに行くけれど」
「自由に飛べないわね」
「それに風圧や風の流れでね」
「何処に行くかわからないわね」
「若し手足が布の端から離れたら」
 どうなるかというと。
「それでね」
「終わりよね」
「そうなるからね」
 だからだというのだ。 
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