世界の礎
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第一話その四
「それでは」
「ではな」
「これよりですね」
「この街を治めたい、まずは作物だが」
「麦ですね」
「麦だけではない」
義青は王にすぐに答えた、そうしてだった。
何種類かの種や作物を出してだ、彼に話した。
「米にジャガイモ、玉蜀黍をだ」
「見たことのない作物ですが」
「まずはこうした作物を植えてだ」
そうしてというのだ。
「より多く民達が食える様にするのだ」
「食べることですか」
「まずはな、米は麦よりも遥かに多くのものが採れる」
「収穫が違うのですか」
「そうだ、それにだ」
義青は王にさらに答えた。
「ジャガイモも然りでだ」
「多くの収穫があり」
「ジャガイモは痩せた土地でも育つ」
そうだというのだ。
「玉蜀黍もな」
「だからですか」
「まずはこうしたものを植えて」
そうしてというのだ。
「民に多く食べさせるのだ」
「食べることですね」
「まずはな、いいな」
「わかりました」
王、カニという彼は義青の言葉に頷いた。廷臣達も同じだった。こうしてウルでは米やジャガイモ、玉蜀黍の栽培がはじまったが。
すぐにだ、カニは義青に言った。
「義青様の言われる通りです」
「収穫が違うな」
「はい、米は麦の十倍もです」
「収穫がいいな」
「ジャガイモも玉蜀黍も」
「そうだな、しかも米はだ」
この作物はというと。
「精米しないとな」
「今そうして食していますが」
「それでいい、玄米だが」
精米していない米はというのだ。
「栄養の塊だ、だから食べるとな」
「そうするとですか」
「身体にいい、だからだ」
「米をですか」
「どんどん植えてな」
そうしてというのだ。
「食べるのだ」
「そうするといいのですね」
「ジャガイモも玉蜀黍もな」
こうした作物もというのだ。
「食べるのだ、そしてだ」
「そうしてですか」
「余った分は家畜達に食べさせたりだ」
そうもしてというのだ。
「他の街から交易で商人達が来ているが」
「彼等に売りますか」
「そうだ、ふんだんに売ってだ」
そうしてというのだ。
「利も得る、金もな」
「手に入れますか」
「この世界にも金があるならだ」
義青はその顔を鋭いものにさせて話した。
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