世界の礎
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第一話その三
「この世界をお願いします」
「それでは」
義青は確かな声と顔で頷いた、そうしてだった。
この世界に降り立った、降り立ったのはメソポタミアの地であった。声はここで彼に対して尋ねた。
「あの、降り立った場所も選ばれましたが」
「こちらにした」
「貴方は日本人ですが」
「生まれたそうだが人類の文明発祥の地だからだ」
「このメソポタミアが」
「だからこの地からはじめることにした」
こう声に言うのだった。
「世界の礎を築くことはな」
「そうなのですね」
「ではだ」
声にあらためて言った。
「これよりな」
「ことをはじめられますね」
「この街に入り」
城塞都市だった、土を固くさせてそれを積み上げた城壁に囲まれている。そして彼の前には門がある。
「そうしてだ」
「そのうえで、ですね」
「この街、ウルといったな」
「この街からですね」
「全てをはじめる」
こう言ってだった。
義青はスーツ姿のまま門に向かった、すると。
門番の古代メソポタミアの服を着た兵達、リザードマンや蛇人等の種族の彼等は彼を見て驚愕して言った。
「レベル五百だと!?」
「何だこのステータスと特技は」
「神霊の方々以上だぞ」
「これは一体」
「他の世界から来た者だ」
義青は驚く彼等に冷静な声で告げた。
「詳しい話は後だ、この街の主と話がしたい」
「王とですか」
「お話をしたいのですか」
兵達は自然と敬語になっていた、彼のレベルやステータスそういったものから出る圧倒的なオーラに気圧されて。
「そうなのですね」
「それでは」
「案内してくれ」
こう言ってだった。
義青は兵達に王の前まで案内させた、王は街の宮殿の中にいた初老の犀人の男だった。服は豪奢な古代メソポタミアのものだ。
王もだ、玉座から義青を見て驚愕した。
「神霊の方!?まさか」
「いや、私は起きた世界から来た者だ」
義青は階段の上の玉座に座ったまま驚いている王に告げた。
「この世界の礎を築く為に来た」
「そうなのですか」
「それで礎築きとして世界を統一したいが」
「世界をですか」
「そのはじまりをこの街から進めたい」
こう言うのだった。
「王はそのままでな」
「私はですか」
「そうだ、貴殿はそのままだ」
義青は王に右手を前に差し出して話した。
「この街の主、王としてだ」
「いていいのですね」
「私は王の上に立つ」
そうするというのだ。
「言うなら皇帝にだ」
「なられますか」
「そうなりたい、いいだろうか」
「は、はい」
義青のオーラに気圧されていた、王もまた。そのうえで言うのだった。
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