正月に行く店
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第五章
「このお店もね」
「お客さんいるんだね」
「そうよ、私達も含めてね」
「そういうことだね」
「それでお料理もね」
妻は今度はこんなことを言った。
「紅白でどうかしら」
「そちらもだね」
「ピザやグラタンは赤ね」
「それじゃあ次は白だね」
「チーズのお料理を頼んでね」
「いいね、このお店チーズのお料理もあるし」
それでとだ、夫は応えた。
「そちらを頼んで」
「お料理も紅白にしましょう」
「それじゃあ」
トニーはメニューを確認して多喜子に話した。
「チーズを注文してカルボナーラもね」
「カルボナーラも白いわね」
「だからね」
それでというのだ。
「こちらもね」
「いいわね」
多喜子は笑顔で応えた。
「それじゃあね」
「紅白でいこう」
「トマトにチーズで」
この二つの食材でというのだ。
「紅白になるわね」
「イタリア料理はね」
「それがいいのよね」
「うん、日本の元旦になるね」
「イタリア料理もね」
「日本にいて」
夫はそれでと妻に話した。
「イタリア領を元旦に食べる」
「一見違う様でね」
「そうじゃないね」
「そう、それが実はね」
「ワインで紅白にして」
赤ワインと白ワインでというのだ。
「食べものでもね」
「出来るから」
だからだというのだ。
「いいのよ」
「そうなんだよね、日本にいると」
夫は店員さんを呼んでチーズにカルボナーラを注文してから妻に話した。
「普通にイタリア料理も楽しめて」
「元旦にね」
「それで紅白も味わえる」
「お正月のお祝いの」
「そうでもあるから」
「いいわね」
「確かに忙しいよ」
このことも話に出した。
「止まっていてもね」
「そうであってもね」
「多くのお店が閉まって」
そうであってというのだ。
「開いてるお店は少なくても」
「開いているお店はあって」
「年末も含めて宗教的にも忙しいけれど」
「いいものでしょ」
「うん、僕はそう思うよ」
「私もよ」
「それでそう思えたら」
そうであるならというのだった。
「日本人かな」
「心でね」
「そうだね、じゃあね」
また赤ワインを飲んで言った。
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