正月に行く店

「ワインもいただくよ」
「それじゃあお正月だから」
　妻はそれでと応えた。
「ボトルを紅白でね」
「注文するんだ」
「一本ずつね、私はグラタンを注文するわ」　　
　妻の食べるものはそちらだった。
「後は飲みながらね」
「頼んでいこうか」
「そうしましょう」
「わかったよ、しかしね」
　ここで夫は向かい合って座っている妻に話した。
「元旦本当にね」
「開いているお店あるでしょ」
「そうだね」
「コンビニ以外にもね」
「日本は元旦は止まっても」
「これが案外ね」　
　止まっていてもというのだ。
「忙しかったりするのよ」
「そういうことだね」
「そんな面もあるのよ」
「僕達も挨拶に行ってお参りしてだし」
「そしてね」
　そのうえでというのだ。
「開いているお店もあるし」
「忙しいね」
「そうなの、じゃあこれからね」
「飲んで食べて」
「楽しみましょう」
「そうだね」
　夫婦で話してだった。
　共にスパゲティやピザを食べながらそのうえでワインも楽しんだ、紅白のワインも楽しんでそうしてだった。
　トニーは多喜子にだ、こう言った。
「いや、お昼もおとそいただいたけれど」
「夜はこうしてね」
「ワインを飲んでね」
「紅白のね」
「お正月だからそうして」
「いいものでしょ」
「そうだね」
　赤い発泡性のワインを飲みつつ話した。
「とても」
「そう、これがね」
　実際にというのだ。
「いいものよ」
「そうだね」
「紅白のお祝いもね」
　これもというのだ。
「出来るけれど」
「それがだね」
「いいわよね」
「そうだね、日本だね」　
　夫も笑顔で頷いた。
「今実感しているよ」
「じゃあ飲みましょう」
「飲んでね」
　今度は白い方を飲んで言った。
「そのうえでね」
「楽しみましょう」
「夫婦でね、それとね」
「それと？」
「いや。結構お客さんいるね」
　店の中を見回して言った。
「見たら」
「だから結構ね」
「元旦でも忙しいんだね」
「皆ね。お参りするから」
「僕達もそうしたし」
「そのこともあって外に出るから」
　だからだというのだ。