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正月に行く店

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第二章

「僕はそうさせてもらうよ」
「本当にあるのかって思ってるでしょ」
「不安だよ」
 こう妻に返した。
「どうもね」
「その不安は解消されるから」
「無事にだね」
「安心してね」
「奥さんがそう言うなら」
 トニーは多喜子に言葉を返した。
「信じるよ」
「そうしてくれると嬉しいわ」
「そうさせてもらうよ」
「本当にコンビニじゃないから」
 妻は夫に念押しもした。
「安心してね」
「コンビニ嫌いじゃないよ」
「コンビニだけじゃないってことよ」 
 日本で元旦に開いている店はとだ、妻はまた言った。そうし手大掃除をして大晦日まで忙しく働き年越しそばも食べてだ。
 元旦は朝はあけましておめでとうの後で軽く朝食を食べてだった。
 夫婦で妻の実家に行った、そして挨拶をしてお年玉をあげておせち料理を食べてそちらを後にしてだった。
 神社にお参りもした、そこで夫はこんなことを言った。
「僕まだカトリックなんだよね」
「そうよね」
「改宗を考えているけれど」
 それでもというのだ。
「仏教にね」
「私のお家がそうだから」
「真言宗にね」
「宜しくね」
「日本じゃ何位でもないけれど」
 改宗はというのだ。
「アイルランドだとね」
「大きなことよね」
「そうだけれど」
 それでもというのだ。
「お正月は道教で神社にお参りして」
「神道ね」
「大晦日は除夜の鐘の音を聞いたし」
「仏教ね」
「クリスマスはキリスト教で」
「宗教的に大忙しね」
「うん、日本だね」 
 トニーはしみじみと思った。
「つくづくね」
「そうよね」
「アイルランドとは全く違うよ」
 このことを実感するのだった。
「本当にね」
「そうよね。けれどそれがね」
「日本だね」
「旦那さんもわかってるわね」
「日本に来て長いからね」 
 そして国籍も今は日本である。
「それだとね」
「そうよね」
「そう、ただね」 
 それでもというのだった。
「この宗教が色々あって共存している」
「違和感感じたわね」
「最初はね、そして今はね」 
 どう思っているかとだ、妻と共に歩きつつ話した。元旦は神社を行き交う人以外はこれといっていない。
「忙しいってね」
「思うわね」
「日本の年末そして年始はね」
「宗教的にもよね」
「元旦日本は止まるけれど」
「忙しいものもあるわね」
 妻は夫に言った。 
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