正月に行く店
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第一章
正月に行く店
年末家で掃除だ買いものだと忙しい中でだ、アイルランドから日本に来て働いているトニー=コーウェンブロンドの短い髪の毛に青い目と高い鼻を持つ長身で痩せた彼は妻の多喜子黒く長い髪の毛と黒い目にやや面長の顔を持つ一五五位の背でスタイルのいい彼女に尋ねた。
「元旦は奥さんの実家に行って」
「そう、挨拶をしてね」
妻は夫に話した。
「おせちを頂いてね」
「お昼にだね」
「兄さんや親戚の子供達にお年玉あげるのよ」
「そうするんだね」
「それで晩ご飯は外で食べましょう」
「外って」
そう言われてだ、トニーは多喜子に言った。
「元旦は日本だと」
「開いているお店少ないっていうのね」
「実際にね」
まさにというのだ。
「コンビニは開いているけれど」
「便利よね」
「けれどスーパーは大抵開いていなくて」
妻に困った顔で話した。
「殆どのお店がね」
「元旦はお休みよ」
「そうだから」
困った顔のまま話した。
「外で食べるって」
「コンビの飲食コーナーじゃないかっていうのね」
「違うかな」
「違うわよ」
妻は笑って答えた。
「ちゃんと開いているお店あるわよ」
「そうなんだ」
「元旦でもね」
「日本は元旦は休む日だけれど」
「年末忙しいだけにね」
「忙しいお国柄なのに」
日本はというのだ。
「たまに動きが止まる日があって」
「それが元旦ね」
「そんな感じだけれど」
アイルランド生まれから見ればというのだ。
「国籍が日本になってね」
「日本に長く暮らしてね」
「日本で働いてね」
「わかってきたわね」
「うん、元旦は」
日本のこの日はというのだ。
「動きが止まる日だよ」
「今はお話しながらも身体を動かしてるけれど」
「こうしてね」
会話をしながらも大掃除をしている。
「そうだけれど」
「それでもね」
「うん、元旦になったら」
「日本は動きが止まるのよ」
「いつも忙しい国なのに」
「そうなるのよ」
「そうだね、それでね」
そうなるからだというのだ。
「外に出ても」
「お店もよ」
「賑やかなのは神社位だよ」
元旦の日本ではというのだ。
「忙しいのはね」
「それでも開いているお店あるから」
「そこに行ってなんだ」
「晩ご飯食べましょう」
「何処かあるのかな」
「あるから」
コンビニ以外にもというのだ。
「安心してね」
「そう言うなら」
日本で生まれ育った妻がというのだ。
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