二十六年ぶりの日本一
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第四章
「そういえば」
「ああ、後で来るから」
「あいつも昨日飲んでたんだよ」
「それで起きて二日酔いでね」
「お風呂入ってから来るって言ってたわ」
橋口七益々瀬と伊藤春華、遠藤静華、中森凛が自分達の場所から答えた。
「昨日電話したら試合はじまってから飲んでいて」
「終わってから自棄酒だったみたいよ」
「それで起きたら酷い二日酔いでな」
「お風呂入ってって言ってたわ」
「そうなのね、二日酔いでのお風呂入ったのは同じでも」
明日夢はそれでもと応えた。
「勝った方と負けた場合は違うわね」
「当たり前でしょ」
恵美がすぐに言ってきた。
「あんたもそうでしょ」
「横浜長い間弱かったしね」
「負けたらよく飲んでたわね」
「憂さ晴らしでね」
「だったらわかるわね」
「ええ」
恵美に答えた。
「私もね」
「よくそうしたわね」
「そうだったしね」
「だからよ」
「咲もなのね」
「自棄酒飲んで」
「それでお風呂入ってるわね」
こう返した。
「そういうことね」
「そうよ」
「そうね、じゃあ学校来たらね」
「そっとしてあげましょう」
「その必要ないから」
だがここでその柳本咲の声がした、皆声がした方を見ると確かに彼女がいた。
その咲を見てだ、千佳が言った。
「何て言うか」
「負けたわね、ホークス」
咲は自分から言った。
「残念だけれど」
「自分で言うの」
「それで負けて飲んだくれていたこともね」
このこともというのだ。
「言うわ」
「そうなのね」
「負けたことは事実だし」
落ち着いた声で言った。
「本当に残念で落ち込んだけれど」
「怒っていないの」
「これが巨人だと怒ってたわよ」
全世界に仇なすこの邪悪そのもののチームはというのだ。
「本気でね」
「皆巨人嫌いだしね」
「このクラスでも巨人好きな人いないしね」
「本当に皆嫌いだし」
「あそこだとね」
それならというのだ。
「今こんなのじゃなかったわ」
「そうよね」
明日夢もそうなると頷いた。
「私も巨人大嫌いだし」
「巨人に負けると嫌でしょ」
「いつもね、負けること自体嫌だけれど」
その中でもというのだ。
「特にね」
「それでよ」
「シリーズ巨人が出ていて」
「負けていたらね」
そうであるならというのだ。
「今頃本気で怒ってたわよ」
「じゃあ横浜に負けて」
「残念で悔しいけれど」
そう思っているがというのだ。
「怒ってはいないわ、また来年よ」
「そう思うだけね」
「巨人じゃなかったら」
それならというのだ。
「もうね」
「怒らないのね」
「咲だってね、本当にまた来年よ」
またこの言葉を出した。
「それで来年こそはね」
「日本一ね」
「なってみせるわ」
「それじゃあ」
「もう来年に向けて」
早速というのだった。
「戦略立ててね」
「練習ね」
「そうしないとね、間違ってもね」
「間違っても?」
「巨人が優勝して」
リーグ制覇をしてというのだ。
「またね」
「それでよね」
「日本一になんてなったら」
「悪夢よね」
「その悪夢が実現しない為にね」
まさにその為にというのだ。
「頑張らないとね」
「そうよね」
明日夢は確かにと頷いた。
「日本一になっても」
「また来年よ」
「巨人の日本一なんてね」
「見たくないでしょ」
「絶対にね」
咲に強い声で答えた。
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