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二十六年ぶりの日本一

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第三章

「今は戦力整える」
「西武もよ」
「そうした時期よ」
「それ言ったらうちもよ」
 明日夢は戦力を整えるという話になるとこう返した。
「何だかんだでね」
「四位だったわね、九月までは」
「そうだったしね」
「日本一なんて」
「考えていなかったわね」
「ずっと」
「そうだったわ」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「まさかのまさかは」
 今度は矢追千佳が溜息を出して出て来た。
「うちよ」
「カープね」
「首位だったのが」
 それがというのだ。
「あそこまで崩れて」
「全く勝てなくなったわね」
「急に別チームみたいになって」
「それでよね」
「どんどん落ちて」
 順位、それがだ。
「四位よ」
「あれはなかったわね」
「ええ、いけると思っていたわ」
 千佳は明日夢に真顔で言った。
「九月はじまるまでは」
「私も優勝するかもって思ってたわ」
 明日夢にしてもだ。
「というか巨人に勝って」
「優勝ね」
「して欲しいってね」
 そう思ってというのだ。
「応援していたわ」
「そうだったのね」
「けれどね」
「歴史に残る大失速でね」
 その結果というのだ。
「ああしてね」
「四位になったわね」
「それで横浜出たし」
「何があるかわからないわね」
「あそこで横浜がエークラスになる可能性は一パーセントで」
 九月になった時点でというのだ。
「ましてやね」
「クライマックス勝ち抜くのも」
「滅多にない」
 そう言っていいというのだ。
「そうしたことで」
「それで三位のチームが日本一になるのも」
「一度しかなかった」 
 そうしたというのだ。
「奇跡だったのよ」
「その奇跡が実現したわね」
「一パーセントからそれをしたね」
「思えば凄いことね」
「今回の横浜の日本一はね」
 それこそというのだ。
「そう言っていいわ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「喜んでいいわ、ただね」
「ああ、咲ね」
「あの娘はね」
「そういえばまだ来てないわね」
 明日夢はクラスの中を見回して彼女がいないことに気付いた。 
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