故郷は大空にあり
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第二章 ミッションEX : 肩にある傷
第十四話 エンブラエル175
「『大本営攻撃サレ』」
「それってまずいんじゃないですか!?」
「でも、誰によって…」
会議室の中に、メンバーの声が飛び交う。
EF-2Aは、一旦みんなを落ち着かせようとする。
「一旦みんな落ち着いてください!」
「………」
EF-2Aの静止によって、会議室のメンバーは
静まり返った。
「予定にはありませんが…ここから私たちがすべきことを考えましょう」
「はい!」
大きな声とともに、席を立ったのはF15Cだ。
「このまま、防衛していればいいのでは?」
「それだとジリ貧じゃないかな?」
「まず、私たちが防衛していたとして、大本営が占拠されていたら、
物資が送られなくなるよね。弾薬とか、燃料とか。そうしたら、
絶大な消費量を誇るジェット機系統はすぐ動けなくなる。そうしたら、
どうなる?」
「深海棲艦に攻め込まれる」
EF-2Aがそう言った。
その顔は真剣で、滅多に見ない。
ホワイトボードには、大量の資料と文字が書いてある。
「御明答。だからここにいてもジリ貧って訳。
私が思うに最適解は、大本営を取り返すことだと思うけど…」
EF-2Aは、しばらく考えてから、
口を開け、発言した。
「確かにそうです。では、その案で決定でよろしいですか?」
「ん…ちょっと疑問はあるけど、賛成かな~」
「賛成」「さんせー」
「F/A18さん、その疑問とは?」
「えーっとね、このメンバーだけで攻略できるものなのかな~って」
「そこは大丈夫!」
提督が誇らしげに言う。
「提督の権限を使って、有志を集めるよ」
「では、疑問点も解決ということで」
「りょーかい」
「では、一旦定例会議を終わります。まだ議題はありますがね。後は提督、頼みました」
「おっけい!任せてよ」
提督が誇らしげに胸を張って言う。
「大本営を取り返す、ということで、移動手段が必要になるね。
何かしら、飛行機とか見つけたいし、1時間後にまあここに集合、
移動手段を見つけて欲しいかな」
「「「了解!」」」
──────────────────
F/A18はゆっくり格納庫の前を通り過ぎていく。
特に見るものも無い。あると言えば、工具箱、部品など…
在り来りのものしかない。
数個格納庫を進んだところで、少し見えてきたのは、
小型で赤く、小さなエンジンを備える、飛行機だった。
「アタリ…か」
F/A18は、格納庫の中に入り、その中にある工具箱を取りに行った。
工具箱の中から工具を取り出し、エンジンカバーを外す。
そうすると、エンジンのチェックを始めた。
顔を機械の油で汚しながら。
「エンジン、問題なし」
エンジンチェックを終わると、エンジンカバーを再び取り付けた。
その後、F/A18はコックピットに乗り込み、バッテリーを作動させ、スポイラー
とエレベーター、ラダー、その他動翼をチェックし、動くか確認した。
「問題なし。」
気づいたら、もう1時間ほどが立っていた。F/A18は、
顔に機械の汚れをつけながら、会議室に戻った。
──────────────────
スタ…スタ…スタ
キィィィィィ
ゆっくり会議室のドアを開けた。
誰もいないように見える会議室には、提督がいた。
「提督、ただいま」
「おかえり、なにか成果はあった?」
「そう…飛行機を見つけたよ。エンブラエル170。」
「本当に!?」
「はい、確かにです。エンジン・動翼は生きていて、飛ばせるかは不明ですが、恐らく、行けます」
「良かったぁ~」
「わふっ!?うっ」ドサッ
何事かと思えば、提督に抱きつかれていた。
恐らく、その時の衝撃で倒れてしまったのだろう。
優しい温かさを感じる。この温かさ…どこかで
「F/A18ちゃんは優しいね」
「大人は信用出来ないね~」
「そんなこと言わなくても」
過去の記憶が蘇る。
先輩の、優しい温かさ。
温かく接してくれた先輩。
もう…居ない。この温かさは提督だ。
先輩じゃない。もう居ないのだから。
思い浮かべるほど、目が湿気を帯びてくる。
涙が目にたまる。だけど、泣いては居られない。
先輩を…先輩…は…私が先輩を…守れなかったから。
「大丈夫?F/A18」
「う…うん。大丈夫だよ。問題ない…」
「本当にぃ?」
「多分…うん」
「それなら、いいけど…とりあえず、みんなが帰ってくるのを待つかな~」
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