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ドリトル先生の長崎での出会い

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第一幕その十

「戦争を起こさない為にね」
「最初からだね」
「戦争にならない為に」
「敵が攻めても勝てないと思えるだけの力を持つ」
「そうしたことも必要よね」
「そう、けれどね」
 それでもというのです。
「使うべきじゃないものだってあるよ」
「兵器の中にはね」
「どうしてもそうしたものもあるね」
「世の中には」
「そうだね」
「核兵器、原子爆弾だね」
 先生はこの兵器の名前をここで出しました。
「広島、そして長崎で使われたのは」
「そうだったね」
「原子爆弾が使われてね」
「その結果だったね」
「あれだけの犠牲者が出て」
「二つの街が破壊されたね」
「たった一発の爆弾でね」
 その原子爆弾でというのです。
「本当にね」
「広島は火の海になって」
「黒い雨も降ったね」
「長崎もそうなったわ」
「恐ろしいことになったよ」
「長崎には原子爆弾が使われた過去もあるんだ」
 このこともというのです。
「だから行くことは楽しみだけれど」
「戦争のことも考える」
「原子爆弾のことも」
「そうでもあるね」
「そうした意味でも色々ある街だね」
「そうだよ、惨劇もあった」
 そうだったというのです。
「長崎はそうした街でもあるんだ」
「そうだね」
「僕達も一緒に観るよ」
「長崎に行ってね」
「原子爆弾のこともね」
「そうしてくれると嬉しいよ、そしてさっき蝶々夫人のお話もしたけれど」
 先生は皆にあらためてお話しました。
「あの歌劇は名作だね」
「そうだよね」
「プッチーニさんの名作中の名作だね」
「物凄く素晴らしい歌劇よ」
「僕達も歌劇を上演したことがあるけれど」
「あの作品は本当に素晴らしいよ」
「何と言っても」
「あの作品をはじめて観た時は」
 先生はその時のことを思い出しつつお話しました。
「どれだけ感動したか」
「そうそう、イギリスで観て」
「先生感動していたね」
「あまりにも素晴らしい作品だから」
「先生思わず涙を流していたね」
「最後まで観て」
「実はプッチーニさんは来日したことはないんだ」
 この作品を作曲したこの人はというのです。
「全くね」
「ああ、昔はね」
「飛行機はなくて」
「船の行き来も今よりずっと大変で」
「そうであってね」
「旅行も一苦労で」
「八十日間でね」 
 それだけの日時でというのです。 
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