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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第142話 明かされる過去の話!オーフィスとアカシアの出会い!!

 
前書き
 今回から数話にオリジナルの独自設定が多いです、特に原作キャラに勝手な過去を作ったりなどそういうのが嫌いな方はブラウザバックを推奨します。 

 
side:イッセー


「ええぇぇぇぇええぇぇぇえええっ!?オーフィスとグレートレッドが一緒に現れて小猫とイッセーを気に入って更に一龍さん達とも知り合いでオマケに美食神アカシアと神の料理人フローゼの娘ですってぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
「期待通りのリアクション、ありがとうございます」


 俺はリアスさんにオーフィス達の事を話すと滅茶苦茶驚いていた。そりゃそうだよな……


「ほ、本当なのかい、イッセー君?」
「マジだ、あの光景を見れば信じざるを得ないだろうよ」


 祐斗も本当かと焦った様子でそう聞いてくるが、俺はある場所を指差した。


「一龍!久しい!少し痩せた?粗食なのは理解してるけどたまにはちゃんと食べないと駄目」
「零蝶姉さん、久しぶりじゃのう。相変わらずちっこいし見た目も全く変わっとらんわい」
「そうやって話を逸らすのも相変わらず。ちゃんと話を聞く、いい?」
「……姉さん、ねこじゃらしでもどうじゃ?」
「見たい!久しぶりに見せて!」


 そこには親父がオーフィスとじゃれ合っている光景があったんだ。心なしかオーフィスの口数も増えている気がする。


「あれが各勢力に最大限に警戒されている無限の龍神オーフィスなのか?普通の子供にしか見えないが……」
「それにあっちにいる大男はあのグレートレッドなのよね?唯の酒好きなおじさんにしか見えないな~」


 ゼノヴィアはあれがオーフィスなのかと目を伺っていた。隣にいたイリナは別の場所に指をさして苦笑いを浮かべている。そこには……


「最近会っとらんかったが調子はどうじゃ?」
「相も変わらず退屈な日々を送っている。アカシアやお前達、デーモンデビル大蛇やバトルウルフなどの強者達と戦っていた日々が懐かしい」
「そうじゃな、あの頃は楽しかった。まあワシは今も楽しいがな」
「そうか、生き甲斐がある事は良い事だな。俺も先程楽しみが出来た、美味いチキンを食わせてくれる娘を見つけたのだ」
「おお、それは良かったのぅ」


 次郎さんとグレートレッドが昔話に花を咲かせながら酒を飲んでいる光景があった。


「今までいろんな驚きを体験してきましたけど、今回はそれを簡単に超える程の衝撃ですわね」
「情報が多すぎて頭がパンクしてしまいそうですぅ~」


 朱乃はあらあらと困ったように苦笑していた、ギャスパーは怒涛の情報量に目を回している。俺も正直頭が痛くなってきたぜ。


 現在俺達はグレモリー家の食堂にいる、あの後俺達は親父たちやオカルト研究部のメンバーと合流して一先ず事態の収拾を図る為に行動した。


 そしてある程度片が付いたので後はバラキエルさん達などの幹部に任せて三大勢力のトップを交えての話し合いになったんだ。


 因みにシャルバは死にカトレアとクルゼレイは捕まり禍の団の旧悪魔派は壊滅した。捕まった二人は一応一命をとりとめたがかなり危険な状況らしいので今は絶対安静の状態だ。


 だが残党はまだいるはずだ、油断が出来ないな。


「ガブリエルに呼ばれて急いで来てみれば、まさかオーフィスとグレートレッドが争いもせずに共にいるとは……しかも一龍さん達とも知り合いなど想像もしませんでした。本当に大変な時に任せてしまって申し訳ありませんでした、ガブリエル」
「……」


 先程ここに駆けつけたミカエルさんはオーフィスとグレートレッドを見て珍しくかなり狼狽えていた、そして事情を知ると頭を抱えていたよ。


 そんな大変な状況にいた同胞のガブリエルさんにねぎらいの声をかけるミカエルさん、だがガブリエルさんはココ兄の方をジッと見て話を聞いていなかった。


「ガブリエル……?どうかしましたか?」
「えっ……あっ!も、申し訳ございません!」
「ココさんの方を見ていましたが……そういえば彼に貴方や部下達を救って頂いたと聞いています。何かお礼の品を渡さないといけませんね。一体何が良いでしょうか?」
「そ、それならば私を差し出すというのはどうでしょうか!?」
「ガ、ガブリエル……?」
「あっ!えっと……忘れてください!」


 珍しく目を丸くして狼狽えるミカエルさんと、顔を真っ赤にして天使の羽根を白黒に点滅させるガブリエルさん、二人はそんなやり取りをしていた。


 イリナに聞いたけど天使は邪な欲望を考えたりすると堕天しかけて羽根が黒く染まりかけるらしい、一体どんなことを考えたんだ、ガブリエルさんは?


「おいおい、あの美人お前をジッと見てるぞ。いつの間にフラグ立てたんだ、お前?」
「そういうのじゃないさ、サニー。同盟を結んでいるのなら助けるのは当然の事だろう?」
「ほーん、相変わらずつまんねぇ奴」
「ガブリエルちゃん、間違いなく恋してるね!私も女悪魔の代表として負けていられないね!という訳で……サニーくーん!ちゅーしよ!」
「だぁぁっ!こっちくんな!」
「やーん♡」


 ココ兄も気が付いているが気にした様子は見せなかった。そして意味深な視線を送るガブリエルさんを見てサニー兄がココ兄をからかっていた。


 すると何かやる気を出して燃え上がったセラフォルーさんがサニー兄に飛びつくが髪ロックで縛られてしまう。


「チッ、いつまで待たせやがる。ムカつくから殴らせろ、ジジイ」
「ちょっ、止めろって!さっき滅茶苦茶食ってただろうが!」
「影でコソコソ言ってやがっただろうが、俺の聴覚を舐めてんじゃねぇよ」
「げふっ!」


 腹を空かせて怒ったゼブラ兄がさっき影口を言っていたアザゼル先生を殴った。今小猫ちゃん、黒歌、節乃婆ちゃんが飯を作ってくれてるんだけど間に合わなかったか。


「お父様!僕グルメ界の料理楽しみです!こうやってお父様とお母様と食事が出来て嬉しいです!」
「ふふっ、家族の時間を楽しみましょう」
「ああ、好きなだけ食べなさい」
「わーい!」


 サーゼクスさんはミリキャス君とグレイフィアさんと家族の時間を楽しんでいた。オーフィスやグレートレッドがこの場にいても動じない辺り大物になりそうだな、ミリキャス君は。


「な、なあ兄貴。俺達ここにいていいのか?」
「場違いというか……機密事項の話もされるのでは?」


 俺の近くにいた匙とソーナ会長が俺に声をかけてきた。他の眷属達も落ち着かない様子で辺りをキョロキョロしている。


「まあもう今更だろう、お前らも知る権利はある。それに美味いもんは皆で食わないとな」
「そ、そうは言われてもよ。俺は殆ど何もできなかったんだぜ?」
「そんな事ねえよ、悪魔の重鎮を守ったんだろう?お前らの頑張りのお蔭ですくわれた命もあるはずだ。勝つだけが勝負じゃねえ、そこは誇っていいと思うぜ」
「兄貴……」
「兵藤君、ありがとうございます」


 俺がそう言うと匙と会長は少し自信を持ったような表情を浮かべた。


「兵藤一誠、少しいいか?」
「うん?あんたは確かサイラオーグだったか?確かリアスさんの従兄弟だったな」
「ああ、挨拶が遅れてしまって申し訳ない」


 そこにサイラオーグと言う悪魔の青年が声をかけてきた。話には聞いていたがこうして実際に会話をするのは初めてだな。


「まずは母上の件について感謝の言葉を、本当にありがとうございます。最早打つ手もなく希望もなかったのですが貴方方のお蔭で母上を救える可能性が出てきました」
「気にするな。そもそもまだあんたの母親を救えていないんだ、それが出来てからお礼を貰うよ」
「……分かりました。どうか母上をお願いします」


 好青年だと聞いていたがまさにそんな感じの良い青年だな。礼儀正しいし好感が持てる。


 サイラオーグの母親を目覚めさせるために今リン姉がサンダーペパーミントの香水を使えないか検討しているらしい。


 ただそのまま使うと失明、最悪神経に影響を与えてしまう可能性があるらしい。でもじゃあ弱めてしまうと逆に病気を進行させてしまうみたいなんだ。


 今リン姉は効果を落とさないで何とか失明させないように調整をしているらしい。


「皆さん、お待たせしました」
「お料理出来たよ~」


 するとそこに小猫ちゃんと黒歌が料理を持ってやってきた。待ってました。


「久しぶりに節乃の料理が食べれて我嬉しい」
「零蝶さんの為に腕によりをかけて作ってきたじょ」
「わーい」


 無表情で両手を上げて喜ぶオーフィス、節乃お婆ちゃんとも知り合いみたいだが凄く仲が良さそうだな。


「節乃、可愛くなってて我驚いた。女はいつでも美しい、昔聞いた言葉は事実だった」
「あんら~♡零蝶さんってばお上手じゃのう~♡サービスで一品多くしとくじょ♡」
「いえーい」


 またまた表情を変えずにピースをするオーフィス、先ほど天変地異を起こしかけた人物だとは思えないくらい気さくな感じだな。


「おい一龍、お前なんでオーフィスと知り合いだったって言わなかったんだよ?」
「オーフィスとは誰じゃ?」
「そこにいるゴスロリ着たチビのことだよ!」
「零蝶姉さんの事か?」


 アザゼル先生が親父にどうしてオーフィスの事を教えなかったんだと問い詰めるが、親父はオーフィスと言う名前に首を傾げている。


「イチちゃん、どうやら零蝶姉さんの事らしい。ワシもさっき知ったんじゃ」
「そうなのか、ワシは物心が付く幼い時から零蝶姉さんはそう呼んどったから分からんかったわい」


 先に話を聞いていた次郎さんが親父に説明していた。親父の幼い頃って……もう500年は生きてるんだよな?そんな昔からオーフィスと一緒にいたのかよ。


「我、一龍のおしめも変えたことがある。一龍は昔は甘えん坊で我によく抱っこをせがんできた」
「そ、それは言わなくてええじゃろうが」


 珍しく顔を赤くした親父が照れながらオーフィスを止めた、何か新鮮だな。


「……」
「うん、どうしたんじゃ。姉さん?」
「三虎はいないの?」


 その言葉に先程まで穏やかだった空気が一瞬で凍り付いてしまう。三虎って美食會のボスだったよな、確か親父たちと同じアカシアの弟子の一人だったんだっけ……


「……姉さん、済まない。アイツは今も飢え続けている」
「……そう」


 親父は悲しそうにそう呟くとオーフィスも何かを察したのかそれ以上は何も言わなかった。


「え、えっととりあえずまずは乾杯しよっか。ほら、皆お腹空いたでしょ?」


 重くなった空気を変えるためにそう話をする。すると空気が変わってまた穏やかな空気が流れ始めた。


「皆ジョッキは持った?それじゃあオーフィスさんとグレートレッドさんとの出会いに乾杯にゃ~ん!」
『乾杯!!』


 黒歌の号令と共にジョッキを上げて一気に中身を飲んでいく俺達、因みに中身はジュースだ。


 その後皆は思い思いに食事を楽しみ交流をしていく。


「うまっ!こんな美味しい物初めて食べた!」
「本当に美味しいわね、こんなもの食べちゃったらもう自炊で満足できなくなっちゃう」
「会長、これめっちゃ美味いっすよ!弟たちにもお土産で包んでもらったしあいつらも喜ぶだろうな!」
「これがグルメ界の食材の味……今まで食事は栄養を考えていましたがこの味を知ってしまったら美食に目覚めてしまいそうです」


 シトリー眷属のメンバー達はグルメ界の食事を楽しんでいるみたいだ。


「俺の眷属達にも食事を出してもらい本当に申し訳ない、出来れば母上も呼びたかったが……」
「サイラオーグ、とりあえず今は食え。食って力を付けておくんだ、お母さんが目を覚ました時に力いっぱい抱きしめてやれるようにな」
「はい!……美味い!」


 そう言って飯をかっこんでいくサイラオーグ、美味い物を食えば不安も吹き飛ぶからな。


「お前も沢山食えよ、ディオドラ」


 俺は近くにいたディオドラに声をかける。


「あ、あの……なんで僕もここにいるんでしょうか?」
「どうせこの先お前は臭い飯を食う事になるのは分かってるんだ、最後に美味い飯を食っておけ」


 コイツとは色々あったが飯を食う事に悪も善もない、武士の情けって奴だ。


 因みにコイツの顔はボコボコに腫れあがっていた、オカルト研究部や教会組に一発ずつぶん殴られたからだ。


 イリナは蹴り、ギャスパーはスタンドでぶん殴ってたぞ。テリーにいたってはションベンをぶっかけてたな。まあそれで手打ちにするって話だし寧ろ優しいくらいだろう。


「で、でも僕余り食欲が無くて……」
「はぁ?小猫ちゃんや黒歌達が作った飯が食えねぇっていうのか?」
「殺すぞ」
「ヒィッ!?た、食べさせていただきますぅ!げほっ!?」
「ちゃんと味わって食えや!」
「ヒィィィィィィィッ!!」


 俺とゼブラ兄に睨まれたディオドラは泣きながら食事をし始めたが、がっついてむせていたのでそんな喰い方をするなと怒る。


 まあそんな感じで時間が進みある程度腹が膨れてきたところで俺と小猫ちゃんはオーフィスに声をかける。


「なあオーフィス、さっきの話の続きを聞かせてくれよ。気になってたんだ」
「私も聞きたいです!」
「我は別にいいが……」


 オーフィスはチラリと親父の方を見る。


「話しても構わないよ、姉さん。三虎の事もそろそろ話しても良い頃合いじゃろう」
「分かった。さっきはいなかった者達もいるから改めて一から話させてもらう」


 そしてオーフィスが自身の過去を話し始めた……



―――――――――

――――――

―――


side:??


 今から遥か昔、次元の狭間で2匹の龍が戦いを繰り広げていた。1匹は巨大な肉体を赤い鱗で覆うドラゴン、もう1匹は上半身が裸の黒髪の男が炎と魔力弾を交差させていく。


「グレートレッド、今日こそ静寂を明け渡してもらう」
「グルル……」


 黒髪の男は無数の魔力弾を生成して赤いドラゴンに向かって放つ、それに対して赤いドラゴンは溜息を吐くように鳴き声を上げて尻尾を振るい魔力弾を弾いた。


 黒髪の男の名はオーフィス、無限の龍神と呼ばれるこの世界の最強のドラゴンの一体だ。オーフィスは様々な姿を持つと言われていて今は黒髪の男の姿をしている。


 彼の目的は静寂を得る事、その静寂が得られる場所が次元の狭間なのだがそこは『真なる赤龍神帝』と呼ばれるオーフィスと同じく最強の称号を持つドラゴン『グレートレッド』が住処にしていた。


 オーフィスはグレートレッドを追い出そうと戦いを仕掛けそれが何百年も続いた。グレートレッドからすればオーフィスは縄張りを奪おうと無差別に喧嘩を売ってくる通り魔のような存在だった。


 ただグレートレッドも割と喧嘩っ早い性格なので2体のドラゴンはこうして何度も争うのだった。


「これで終わらせる」


 オーフィスは自身の両手に高密度の魔力を集めていく、グレートレッドも口内に灼熱の業火を集めていく。


「ふっ!!」
「グルァァァァッ!!」


 そして鼻垂れた漆黒の光線と赤い灼熱の熱戦、それらがぶつかり合いすさまじい大爆発を生み出した。


 それが空間にヒビを入れて真っ黒な穴を生み出した、それは強烈な力で物体を引き付けようとする。


「むっ……」


 グレートレッドはその場を離れオーフィスも後を追おうとする、しかしその時何処からか針のようなモノが飛んできてオーフィスの腕に刺さった。


 するとオーフィスの体から力が抜けていった、直ぐにその針を抜いたが遅かった。オーフィスの体が動かなくなり穴に引き寄せられていった。


 そしてあっという間にオーフィスを飲み込んだ黒い穴はそのまま消えてしまった。それを見ていたグレートレッドは直ぐに興味を失い次元の狭間を泳ぎ始めたのだった。


―――――――――

――――――

―――


「……ここは」


 オーフィスが穴に吸い込まれたあと気が付けば見知らぬ場所に来ていた。自然豊かな場所で多くの生き物の気配を感じた。


「戻る」


 だがオーフィスは何の興味も湧くことはなかった。オーフィスにとって興味があるのは静寂を得る事だけ、直ぐにそこに向かおうと次元に穴を開けようとする、だが……


「……?」


 力が上手く発揮できずオマケに体が崩れ出した、こんな事態は初めてだと思いながらオーフィスは姿を変えていく。


 そして最終的に少女の体に落ち着いたオーフィス、しかし裸の状態だ。


「グルル……」


 するとそこにトリケラトプスのような生物がオーフィスの前に現れた。自身の縄張りに突然現れたオーフィスを警戒しているようだ。


「ブオォォォォッ!!」


 そして敵と判断した『サイクロントプス』はオーフィスに突進をする、オーフィスは魔力弾を放つが弾かれてしまう。


 そして油断していたオーフィスは角を腹に受けてしまった。いつもならなんてことないのだが血が出て痛みを感じた。


「……痛い」


 オーフィスは角を掴むとそのまま上空に投げ飛ばした。だがサイクロントプスは首の部分を回転させて宙を飛び始める。


 そして回転しながらオーフィスに突撃してきた、彼女はジャンプして回避するが回避しきれずに足に傷を負った。


「面倒」



 体が不調なのでオーフィスは逃げ出した、だがそれ以外にも様々な猛獣がオーフィスに襲い掛かってきた。


 今まで自分に喧嘩を売ってくる生物などいなかった、グレートレッドはオーフィスが売る側だったのでオーフィスは少し新鮮な気持ちを味わっていた。


「ここに逃げ込むとする」


 とはいえダメージを負い過ぎて流石に疲れたオーフィスはとある洞窟に逃げ込んだ。いつもなら一瞬で治る傷も今は回復が遅い、このまま攻撃を喰らい過ぎれば無限と呼ばれた自分も危ないかもしれない。


「……いっそそれも良いかもしれない」


 だがオーフィスは生きる意味を持っていなかった。気が付けば意識が有り生まれていた、力を振るい他社を圧倒している内に『オーフィス』と呼ばれ勝手に恐れていった。


 今は次元の狭間という何もない空間で永遠の静寂を得る事が目的だった、だがこのまま死ねばそれも静寂を得る事になるのかもしれないとオーフィスは思ったのだ。


「君は……なぜこんなところに少女が?」


 すると声をかけられてオーフィスは意識を覚醒させた、ボーッとしていたので男の接近に気が付かなかった。


「……」
「待て、私は敵じゃない。話は通じるのか?まずは対話しようじゃないか」


 オーフィスはコクリと頷き立ち上がった。


「なっ!?君裸じゃないか!」
「それがどうした?」
「兎に角これを着なさい!」
「……」


 男はオーフィスが座り込んでいて長い髪で隠されていたので裸だった事に気が付かなかった。男は自身が着ていたフードを渡す、オーフィスはそれを黙って着るのだった。


「よし、これでいいな。臭いかもしれないが我慢してくれ」
「分かった」
「それでは質問だ、君は人間なのか?何か獣のような気配も感じるのだが……」
「我は……」


 オーフィスは気まぐれで男と対話を始めた。自分の名前や何処から来たのか、色々話すことにした。


「……なるほど、君は人間でなく次元の狭間という場所から来たのか。そして何故か力が発揮できずに帰れなくなったと」
「……」
「そういうことならウチに来ないか?私の恋人が君と同じように異世界から飛ばされてきた女性でね、話をしてあげて欲しいんだ」
「……良い」


 どうせなることもない、そう思ったオーフィスは男についていく事にした。


「そういえば自己紹介がまだだったな。私はアカシア、このグルメ界を調査している美食屋だ」
「我はオーフィス、よろしく」


 男……アカシアとオーフィスはこうして出会いそこから物語は始まっていくのだった。

  
 

 
後書き
 我はオーフィス、そして零蝶(れいは)。好きに呼ぶと良い。


 我、イッセーや小猫にアカシアとの出会いを話す。昔の事を思い出す良い機会。


 あの後我はフローゼや一龍達と出会い色んな経験をしていった。そして三虎とも……


 次回第143話『オーフィスの家族、付けられし新しい名前!』だ。


 次回も美味しくいただきます……我、この言葉好き。 
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