ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第143話 オーフィスの家族、付けられし新しい名前!
前書き
今年はこれで投稿を終えます、来年もよろしくお願いいたします。
アカシアという男と出会ったオーフィスは一先ずその男が住む家にお邪魔することにした。
「ここが私の家だ」
オーフィスが案内されたのは穏やかな空気が流れる綺麗な丘に建つ一軒家だった。どうやらここがアカシアの家らしい。
「さあ上がってくれ」
「……」
アカシアがオーフィスを家の中に案内する、するとなにやら良い匂いがオーフィスの鼻腔を擽った。
「お帰りなさい、アカシア」
するとそこに綺麗な女性が顔を出してアカシアとオーフィスを出迎えてくれた。
「ただいま、フローゼ。今日はお客さんを連れてきたんだ」
「お客さん……?そちらの可愛らしい女の子の事かしら?ここに来てから女性に会ったのは初めてね……って裸じゃない!?」
アカシアはオーフィスをフローゼと呼んだ女性に紹介する、フローゼは丁寧に挨拶をしようとするがオーフィスがフード一枚しか着ていない裸だったので驚いてしまった。
「ああ、保護したのだがまずはお風呂に入れてあげて欲しい」
「分かったわ、丁度お風呂の湯を沸かし終わった所だから」
アカシアはまずオーフィスをお風呂に入れてあげて欲しいと言う、それにフローゼは笑顔で答えた。
「さあいらっしゃい。貴方の名前は?」
「我、オーフィス」
「オーフィスちゃんね。可愛い名前だわ」
フローゼはオーフィスを連れて風呂場に向かう。
「これはなに?水浴び?」
「えっ、お風呂を知らないの?」
「我、お風呂とやら知らない」
「……もしかして過酷な生活をしていたのかしら。それなら服も着ていなかったのも頷けるわね」
お風呂を知らないと言うオーフィスにフローゼは彼女が過酷な生き方をしてきたのかと思い込んだ。
実際はオーフィスは自身に付いた汚れなどは自分で消せるのでお風呂に入る意味がないだけなのだが、そんな事を知らないフローゼは大いに勘違いをしていた。
「なら私が一緒に入るわね。ほら、フードを脱いで」
「ん」
フローゼはオーフィスと一緒にお風呂場に入る、そしてオーフィスの体にお湯をかけて石鹸で体を洗い始めた。
「泡?今から何をする?」
「ふふっ、貴方の体を綺麗にするのよ。ジッとしていてね」
オーフィスは初めての体験に首を傾げていた、だがフローゼの優しい手さばきにオーフィスは心地よさを感じていた。
(なんだか不思議な気分、我に対して恐れや敵意を感じない。寧ろ心地よい)
フローゼの優しい手の動きにオーフィスは心地よさを感じていた、今まで自分に向けられる感情は恐怖や敵意などばかりだった彼女だったがこの心地よさは初めての体験だった。
「どう、湯加減は良い?熱すぎないかしら」
「丁度いい」
「どう、それなら良かったわ」
湯船にゆったりと浸かるオーフィスとフローゼ、体だけでなく心も温かくなっていることにオーフィスは気が付いていなかった。
「そろそろあがりましょうか」
二人はお風呂から上がるとフローゼはオーフィスの体や髪を丁寧に拭いていく。
「私のお古だけどいいかしら?」
「我、気にしない」
フローゼの古い服を着せてもらったオーフィス、少しぶかぶかだが裸よりはマシだろう。
「アカシア、上がったわよ」
「なら私も風呂に入ってくるよ」
フローゼはアカシアにそう言うと彼は交代でお風呂に向かう。
「さて、今の内に料理を作ってしまいましょう」
フローゼは厨房に向かい下ごしらえをしておいた食材を調理し始める。
「何をしている?」
「お料理を作ってるの、もしかしてそれも知らないの?」
「料理……我、知らない。食事もしたことがない」
「ええっ!?じゃあ貴方今までどうやって生きてきたの?」
「食べなくても死なない、我はそういう体」
「どういうことなの?」
オーフィスの食べなくてもいいという言葉にフローゼは驚いた。オーフィスは自分が人間でないことを彼女に説明した。
「そう、貴方は人間じゃないのね。でもこのグルメ界じゃ色んな姿の人がいるしそこまで珍しいことじゃないわね」
「……」
自分が人間でないと分かっても態度を変えなかったフローゼにオーフィスは少し驚いていた。
過去に自分が人間の姿をしているときに近寄ってきた人間は何人かいたが、全員正体を知ると化け物と言って彼女を拒絶してきたからだ。
「それに食べることが出来ないわけじゃないのよね、ならこれを期に食事をしてみたらどうかしら?」
「でも……」
「まあまあ、まずは試してみて嫌なら止めればいいわ。でも一回も試したことがないなんてもったいないわ」
フローゼはそう言うと腕によりをかけて調理を再開する。暫くすると良い匂いと共に料理が机に並べられていく。
「ふう、良い湯だった」
そこにお風呂から上がったアカシアが顔を出した。
「アカシア、丁度良かったわ。今料理が出来たところよ」
「今日はハンバーグか、私が捕獲した『タマ牛』を上手く調理できているな。流石だ」
タマ牛は円を描くように素早く、そして丁寧に斬らないと肉の味が落ちてしまう、しかしフローゼは難なく調理をこなしていた。
「さあ、冷めないうちに食べてしまいましょう」
「ああ、それじゃ席に着こう」
アカシアとフローゼはオーフィスも座らせて手を合わせる。
「なぜ手を合わせる?」
「食材に感謝をしているんだ」
「……こう?」
アカシアたちが手を合わせていることに首を傾げていたが、アカシアから食材に対して感謝を表していると話す。
するとオーフィスも二人を真似して手を合わせた。
「この世の全ての食材に感謝を込めて……いただきます」
「いただきます」
「……いただきます」
3人はそう言って手を合わせて感謝をする、その後アカシアがまず一口ハンバーグを食べた。
「……うん、美味い!今日も美味しいよ、フローゼ」
「お口に合って良かったわ。オーフィスはどう?」
「……」
オーフィスもアカシアの動きを真似して箸でハンバーグを一口に分けて口に運んだ。
まずジワッと肉の脂が口の中に広がった、そしてホロッと肉が崩れて歯で噛むと良い触感を感じる。
「どう、美味しい?」
美味しいという言葉の意味は分からなかった、今までまともに何かを食べたことは無かったからだ。
だがこの時オーフィスはとても幸せな気持ちになっていった。ただ栄養を得るだけではない、心が満たされて温かい気持ちになった。
「……美味しい」
「ふふっ、それは良かったわ」
オーフィスはこの日初めて美味しいという言葉の意味を知った。
「……」
そこからオーフィスは食を楽しんでいった、付け合わせのニンジンは甘くポテトはホクホクしててアクセントになった。ご飯も程よい炊き具合でお米の味がしっかり感じられる。
側にあった新鮮なレタスとトマトのサラダはシャキシャキしていて美味しい、黄色い卵焼きは出汁が効いていて箸が進む。
味噌汁はアサリとネギがたっぷり入っていて体の奥まで温まる、オーフィスは夢中になって食べ続けた。
そんなオーフィスの姿をアカシアとフローゼは嬉しそうに見守っていた。
そして気が付けばオーフィスは全ての料理を綺麗に完食していたのだ。
「……美味しかった」
「凄い勢いで食べていったな、見ていて気持ちが良かったぞ」
「こんなにも美味しそうに食べてもらえたなら、作った甲斐があったわね」
オーフィスは満足そうにお腹を押さえてアカシアは空になった皿を見て笑いフローゼは嬉しそうに手を合わせた。
―――――――――
――――――
―――
「なるほど、君は次元の狭間をという場所から来たのか」
その後オーフィスは今で二人に今までの経緯を話していた。
「フローゼ、確か君が元居た場所は日本という国だったな。次元の狭間という場所に覚えはないか?」
「……覚えはないわね。多分最初から知らなかったと思うの」
「そうか、何か情報が得られるかと思ったのだがな」
アカシアがフローゼにそう確認するが彼女は知らないと答えた。あくまで感覚になるが最初から次元の狭間という言葉は知らないとフローゼは思ったようだ。
「フローゼ、記憶がない?」
「ええ、そうなの。私は殆どの記憶を失っていて覚えているのは日本という国に住んでいた事と料理人として働いていたって事だけなの」
「彼女は猛獣に襲われていた所を私が助けたんだ。本当に運が良かったよ、このグルメ界は猛獣も恐ろしいがなにより常に変化する環境が人を殺しに来るからね。彼女がいた場所はとても安定した環境だったから」
オーフィスはフローゼに記憶がないのかと尋ねると彼女は頷いた。どうやら彼女も異世界から来たらしくその際に記憶を殆ど失ってしまったようだ。
アカシアがフローゼを助けたようだが運が良かったと話す、このグルメ界では猛獣だけでなく恐ろしい環境も牙をむいてくるので彼女は相当に運が良かったのだろう。
「フローゼという名も私が付けたんだ、なにせ名前も失っていて持ち物などから知ることもできなかったからね」
「それから私は彼と一緒に生活をしているの。幸い料理の腕は合ったから足手まといにはならなかったから良かったわ」
「ははっ、たとえ料理が出来なくとも君がいてくれれば私は満足だけどな」
「もう、アカシアったら……」
何だか甘い空気が流れ始めてオーフィスは少し居心地の悪さを感じていた。
「おっと話が逸れてしまったな。正直異世界に戻す方法を私も分からない、だがこの世界は不思議な場所が様々な箇所にある。調査を続けて行けば何かヒントが得られるかもしれない。それまでここにいたらどうだろうか?」
「そうね、行く当てがないならここにいればいいわ。家族が増えたみたいで私は嬉しいしそうしなさいよ」
「……ならお言葉に甘える」
どうせ何処に行く予定もない、それに静寂はいつでも得られる……そう考えたオーフィスは二人のお世話になることを決めたのだった。
それからオーフィスの新しい生活が始まった。
「それじゃ行ってくる」
「気を付けてね」
アカシアが調査に向かうとフローゼは家事を始める。オーフィスはそれをジッと見ていた。
「そうだわオーフィス、貴方も料理をしてみない?」
「我が?」
「ええ、良い経験になると思うわ」
「……フローゼがそう言うならやってみる」
オーフィスはフローゼにそう言われて料理をしてみることにした。だが……
「えいっ」
「ええっ!まな板まで切っちゃった!?」
食材ごとまな板を切ってしまったり……
「火力が足りない……ふうっ」
「きゃあっ!火を噴いちゃ駄目よ!」
火力を上げるために自分のブレスを使ったり……
「……」
「あはは、見事に失敗したわね……」
出来上がったのは黒焦げになった料理とは言いにくい物体だった。フローゼもドラゴンであるオーフィスの行動を上手く読めずにフォローが上手くできなかったようだ。
「ごめん、フローゼ。これは捨てて……」
「あむっ」
「ッ!?」
オーフィスはそれを捨てようとしたがフローゼはなんと食べてしまった。
「ふふっ、卵の殻も残ってるし焼き過ぎてパサパサね」
「フローゼ、直ぐに吐く!そんなもの食べたら体に悪い!」
「駄目よ、食材を無駄にしたらいけないことよ。それに貴方はわざとやった訳じゃないでしょ?失敗は当たり前、次は成功させましょう」
「……うん」
しょんぼりするオーフィスの頭をフローゼが優しく撫でた。すると先程まで哀しかった心が温かくなっていくのをオーフィスは感じていた。
「さあ、おやつにしましょう。今日はふわふわのパンケーキを作るわよ」
「我、手伝う!」
やる気を出したオーフィスがそう言うとフローゼは嬉しそうに笑みを浮かべた。
更に違う日、オーフィスはアカシアと共にグルメ界を探索していた。
「ぐっ!?」
「オーフィス!」
白い狼に襲われて苦戦するオーフィス、そこにアカシアが割り込んで狼を撃退した。
「大丈夫か、オーフィス」
「アカシア、あの狼は……」
「あれはバトルウルフという最強の狼だ、奴はまだ若い偵察だったのだろう。この辺は既に彼らのナワバリのようだ、直ぐに出よう」
「ッ!アカシア、腕に傷が……」
アカシアの腕には切り傷があった、先ほど彼女を庇った際についたのだろう。
「この程度の傷ならしょっちゅうさ、気にするな」
「我が本調子でないばかりに……足を引っ張った」
「オーフィス、私達は家族だ。助け合うのは当然の事だ」
「家族?」
「ああ、共に暮らし共に食を楽しみ分かち合う。この関係を私は家族だと思ってるよ。フローゼもそう思ってる」
「……家族、我がアカシアとフローゼと家族」
家族と言われてオーフィスは何故か泣きそうになってしまう、だがそれは決して嫌な物ではなくとても嬉しいと彼女は思った。
「さあ、帰ろう。今日もフローゼが美味しい食事を用意してくれているぞ」
「……うん」
オーフィスは二人から様々な事を学んだ、その中には今まで自分が感じなかった『感情』というモノあった。
最初は仕方なく二人と生活をしていたオーフィスだったが、だんだんと二人と一緒にいられる毎日が嬉しくなっていったのだ。
自分でも気が付かない内にオーフィスは感情が豊かになっていった。
―――――――――
――――――
―――
それから暫くの間、オーフィスは平和に過ごしていた。そんな中、ある日アカシアが人間の赤ちゃんを連れて帰ったのだ。
「お帰り、アカシア。それは今日の獲物?」
「違うぞ、オーフィス。この子は人間の赤子だ」
「まあ、一体どうしたの?」
「実はな……」
アカシアが訪れた村が戦争で壊滅していたらしい、原因は食べ物の奪い合いのようだ。
悲惨な光景に胸を痛めていたアカシア、だが倒壊した建物の下から微かな鳴き声が聞こえたアカシアは直に駆けつけた。
そして奇跡的に瓦礫の下敷きにならなかった赤子が発見されたという訳だ。
「可哀想に……戦争は酷くなるばかりね」
「ああ、なんとかしたいが……それも大事だがまずはこの子だ。私は見つけた以上自分で面倒を見たいと思っているのだが良いだろうか?」
「私は賛成よ。家族が増えるなんて素敵じゃない」
「我も異論はない」
「なら決まりだな、この子も私達の新しい家族だ」
赤子はアカシアたちによって育てられる事になった。
「この子男の子なのね。良かったわね、オーフィス。貴方に弟が出来るわよ」
「弟?」
オーフィスは眠る赤子の手をそっと握った。すると目を覚ました赤子がオーフィスを見て喜んだ。
「キャッキャッ♪」
「おお、オーフィスを気に入ったみたいだな」
「抱っこして見たらどう?」
二人にそう言われたオーフィスはおずおずと赤子を抱きしめた。いつもフローゼがしてくれるように優しく壊れないようにそっと……
「……暖かい」
赤子の暖かさを感じ取ったオーフィスは自然と笑みを浮かべていた。
「アカシア、この子の名前はなに?」
「まだ決めていなかったな。ふ~む……」
アカシアは少し悩むとなにかを閃いたかのように手を叩いた。
「うん、良い名前を思いついたぞ。一龍……一龍だ。私達が初めて授かった赤子でドラゴンのオーフィスに抱かれたから付けてみたが……どうだろうか?」
「いいじゃない、一龍……素敵な名前だわ」
一龍という名前を聞いたフローゼは素敵だと答える。
「よーし、お前は今日から一龍だ。よろしくな、一龍」
アカシアは赤子を撫でながら一龍と呼んだ。
「……」
その光景をオーフィスはジッと見ていた。
「おや、どうしたんだ。オーフィス?」
「我も名前が欲しい」
するとオーフィスは名前が欲しいと言い始めた。
「貴方には名前があるでしょう?」
「この名前、我が知らない内に付けられた。一龍みたいにアカシアに名付けて欲しい」
フローゼはもう名前はあるだろうと言うとオーフィスは首を横に振った。
彼女の名前は知らない内に誰かが勝手に呼び始めたもので、オーフィスもなんとなくその名を使っていた。
今まではそれでよかったが大切な人に名前を付けてもらったのを見て自身も欲しくなったようだ。
「なるほど、そういう事なら君にも名前を付けてあげようじゃないか」
「そうね、どんな名前が良いかしら……」
「君は長女だから零……零虎などはどうだ?」
「ちょっとアカシア、この子は女の子なのよ?虎なんて男の子が好きそうなものじゃなくて女の子らしいものにしなさいよ」
「そうか、う~む……」
アカシアが出した名前は女の子らしくないとフローゼに却下された。
そもそもオーフィスに性別はないがそれを二人は知らないし本人は何も言わないので女の子で話は進んでいく。
「女の子らしいといえば花や星、宝石もいいな。だが個人的には生き物の名前を入れたいのだが……」
「それなら兎や猫などかしら?あっ、そういえば今日庭で『カラメル蝶』を見たのよね。蝶なんてどうかしら?」
「蝶か……なら零と合わせて零蝶なんてどうだ?」
「素敵!とっても可愛らしい名前ね!」
アカシアが考えた零蝶という名前はフローゼも気に入ったようだ。
「オーフィス、君の名前が決まったぞ。今日から君の名前は零蝶だ」
「零蝶……我、すごく気に入った!」
零蝶という名前を付けてもらったオーフィスはとても嬉しそうに笑みを浮かべた。
「零蝶……我の大切な名前、アカシアとフローゼに貰った宝物……♪」
「そんなに喜んでくれるなんて私達も嬉しくなっちゃうわね」
「ああ、きっと零蝶はそういった経験が無かったから余計に嬉しいのだろう」
自分の新しい名前を呟きながら笑みを浮かべる零蝶、そんな彼女を見てアカシアとフローゼも笑みを浮かべた。
「アカシア、フローゼ、我も素敵な名前を付けてくれてありがとう。我、ずっと静寂を得る事が目的だった。それ以外に生きていく意味など何もなかった」
零蝶は自身の胸に手を置いて話を続ける。
「でも二人と一緒にいて我は幸せだった。もう一人には戻りたくないと思うくらいに……我、力が戻っても二人と一緒にいたい。ここにいてもいいか?」
「零蝶……うん、いいのよ。貴方の気が済むまで好きなだけ一緒にいましょう」
「ああ、なにも遠慮する必要はない。私達は家族だ」
「……うん!」
零蝶は二人に抱き着いて嬉しそうに笑みを浮かべて涙を流していた。
あれだけ静寂を求めていた龍の神は二人の人間の愛情を得て最早そんな事は忘れてしまった。これからもずっと二人と一緒にいたい、そんな願いを胸に秘めて……
「勿論一龍も忘れていない、これからよろしくね」
「だうーっ!」
優しく一龍を抱っこする零蝶、無限の龍神は確かな幸せを感じていた。
後書き
私の名はアカシア、フローゼと共にグルメ界を調査している美食屋だ。
零蝶や一龍、新たに出来た家族は私にとっても本当に嬉しいことだ。なにせ私とフローゼは体質的に子を作りにくいようでな……上手くいかない矢先にあの子達と出会えたのは神様が授けてくれたのかもしれないな。
もっとも彼女達を代わりなどと思ったことは無い、二人とも私の愛すべき子供だ。あの子がなんの心配もなく生きていける世界にしたいものだが……人間はそんな簡単な生き物ではないみたいだな。
次回第144話『出会いの連鎖、狼に育てられた少年と赤いドラゴン』でまた会おう。
次回も美味しくいただきます。
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