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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第141話 衝撃の事実!オーフィスはアカシアとフローゼの家族!?

 
前書き
 グレートレッドの人間体はワンピースのカイドウを落ち着かせた性格にしたものをイメージしていますのでお願いします。 

 
side:??


 リアス達とシャルバが戦っていた場所に数十人の悪魔が現れた。彼らは全員が旧魔王派に所属している悪魔でシャルバを援護しにきたのだが……


「おい、シャルバ様はいたか?」
「いや、いない。恐らくやられてしまったのだろう……」
「そんな……!?」


 だがシャルバの姿はなく辺りを探し回ったがその姿を見つける事は出来なかった、リアス達を相手にして死体も見つからない、つまり滅びの魔力で跡形もなく消滅させられてしまったのだと彼らは判断した。


「なんてことだ、カトレア様もクルゼレイ様も捕まってしまいシャルバ様もやられてしまったとは……旧魔王派は一体どうなってしまうんだ?」
「いっそ投降するか?サーゼクスは甘い悪魔だ、命までは取るまい」
「ふざけるな!あんな奴に命乞いをするくらいなら名誉ある死を選ぶぞ!」
「なら好きにしろ、俺は暴れられればそれで良かったんだ。旧魔王だとかなんだとかは知った事じゃない」
「貴様……!」


 トップの悪魔たちがいなくなり烏合の衆になった悪魔たちはこんな場所で言い争いを始めた。誰も彼も身勝手な欲望の為に旧魔王派に所属していたので、所詮は絆もない醜い争いしかできない連中だったのだ。


「おい、お前ら!こんなところで言い争いをしている……ん?あれは……」



 一人の悪魔が言い争いを止めようとしたが、その時視線の端に何か動く物体を捕えた。気になった彼はその場所に向かってみると……


「なんだ、この生き物は?」


 そこには奇妙な生き物がいた。まるで椅子のような胴体に複数の手をカタカタと揺らしながらゆっくり動いていた生き物を見て悪魔は首を傾げる。


「おい、どうした?」
「いや、なにか変な生き物を見つけて……」
「そんな奴放っておけ!それよりもさっさとここから立ち去るぞ!」
「そ、そうだな……まずはあいつらを止めるか」


 駆け寄ってきた仲間の悪魔にその生き物を見せるが一瞥されて頭を叩かれた悪魔は思考を切り替えて今も言い争いをしている仲間を止めに向かおうとした。


 だがその時だった、ゆっくりと動いていたその生き物は悪魔たちを視線に捕らえると腕を伸ばして悪魔の一体を捕えたのだ。


「なっ!?」


 悪魔は一瞬で引き寄せられてその生物に一口で食われてしまった。


「貴様!」


 もう一人の悪魔が魔力弾を放つが弾かれてしまいあっという間に捕獲されてしまう。


「うわあぁぁぁぁぁっ!?」


 そしてその悪魔もその生物に食われてしまった。


『……タリナイ』


 生物は血にまみれた口から涎を垂らして言い争いをしていた悪魔たちに向かっていった。


「な、なんだ!?」
「迎撃……ぎゃあああっ!?」


 瞬く間にその生物たちに旧魔王派の悪魔たちは捕食されていく、そしてその場にいた悪魔たちを食いつくした生物に変化が起こった。


 生物の顔が膨れ上がりシャルバの顔が浮かび上がる。


『モット餌ヲ……食イ足リナイ……』


 そしてその生物はその場を後にしたのだった。


―――――――――

――――――

―――


side:小猫


 突然現れたグレートレットとオーフィスに驚く私たちでしたが、今物凄く困惑した空気が流れています。


「フローゼ~♪」


 私に抱き着いたオーフィスが嬉しそうの頬すりをしています。グレートレッドも宙に浮かんだまま何もしてきませんし一体何がどうなってるのでしょうか?


「こ、小猫ちゃん。君はオーフィスと知り合いだったのか?」
「いえ、初めて会いましたよ……」


 イッセー先輩が困惑した様子でそう聞いてきますが私だってなぜこうなってるのか聞きたいくらいです。


「なあドライグ、本当に小猫ちゃんに抱き着いて頬すりしてる女の子があの無限の龍神なのか?」
『間違いない、奴はオーフィスだ。だが奴があんな風に甘えている姿など一度も見た事が無いから俺も困惑している……』


 先輩はドライグにこの子が本当にオーフィスなのかと尋ねます、ドライグも困惑しているようでしたがそうだと肯定しました。


「凄まじい強さの電磁波を感じる……だが彼女は生き物なのか?死相がまったく見えないね」
「つーかオーフィスって確かしょうもねぇ悪さしてる奴らの親玉じゃなかったか?確か『渦の段』……だっけ?」
「『禍の団』だよ、サニー」


 ココさんは興味深そうにオーフィスを観察してサニーさんが興味のなさそうにそう言ってました。でも名前が間違ってたのでココさんが訂正しています。


「そんなガキのことはどうでもいいだろう。それよりも小娘、俺は腹が減った。飯作れ」
「本当にブレねぇな、ゼブラ兄は……」


 こんな状況でもいつもの感じを出すゼブラさんにイッセー先輩が呆れた眼差しを向けます。


「……?」
「ひゃっ!?」


 どうしようかと思っていたら急にオーフィスが私の胸を揉み始めたので変な声が出てしまいました。


「な、なにをするんですか!?」
「……胸、小さくなってる。フローゼ、胸を取った?」
「なっ!失礼ですね!私はおっぱいが小さい小娘じゃありません!」


 オーフィスに胸が小さいと言われた私は向きになって仙術を使い体を大きくしました。


「大きくなった」
「ふふん、どうですか?」
「……今度は大きすぎる」
「あっ!あんっ!?さ、先っぽは駄目ですぅ……!」


 色々とイジられてしまい変な声が出てしまいました……!


「……」
「おいイッセー、お前の心拍数があがっているぞ?まさかこんな事で興奮してるのか?」
「は、はぁっ!?そんな訳ねえじゃん!?」
「イッセーはお子ちゃまだな」
「うるせぇ!ぶん殴るぞ!」
「イッセー、そうムキになったらまたからかわれるよ」


 ゼブラさんとサニーさんにからかわれたイッセー先輩が怒ってそれをココさんがなだめます。


「……なにか変、雰囲気はフローゼだけど本当にフローゼ?」
「いやだから私は塔城小猫なんですけど……」
「……」


 私をジッと見ていたオーフィスはショックを受けたようにヨロヨロと後ずさりました。


「フローゼじゃない……我、悲しい……」


 本気で落ち込んでしまったオーフィスを見て私は何故か罪悪感を感じてしまいました……いやでもこれ私が悪いのでしょうか?


「お、おい。大丈夫か……?」


 見かねた先輩がオーフィスに声をかけます。


「……アカシア?」
「えっ?」
「アカシア!」


 すると今度はイッセー先輩の顔面に向かってオーフィスが飛びついて張り付きました。


「アカシア!久しい!今まで何処にいた?ようやく帰ってきた!」
「ぐうっ、苦しい……!」
「フローゼが死んでアカシアは行方不明になって我、悲しかった……皆もバラバラになってしまった……でもアカシアがいればまた皆集まる」
「お、俺はアカシアじゃない……」


 イッセー先輩は何とかオーフィスを引きはがしました。


「嘘は良くない、間違いなくアカシアの気配を……あれ?フローゼの気配も感じる……お前はアカシア?それともフローゼ?」
「どっちでもないよ、俺は美食屋イッセーだ」
「アカシアじゃない、フローゼじゃない……」


 私と先輩を交互に見ながらオーフィスは凄まじく落ち込んでしまいました。なんか負のオーラが目に見えるくらいに落ち込んでいます。


 表情は変わっていませんがオーフィスってこんなリアクションをする奴だったんですね。話で聞く限りは何を考えているか分からない存在だって聞いていましたが、そうは思えないですね。


「とりあえずソイツどーすんだ?ゼルが言うには禍の団とやらのボスなんだろ?やっつけちまうか?」
「いや、恐ろしく濃い死相が僕達に見えるよ。怒らせたら間違いなく殺されるだろうね」
「くだらねぇ、そんな事でビビるかよ」


 サニーさんはオーフィスをやっつけるかと言いますが額には汗が出ています。ココさんも手を出すのは不味いと言いゼブラさんもそう言いながら最大限の警戒をしています。


 今のところ敵意は感じませんがもし敵対したら四天王が4人そろっていても勝ち目はないと思います。


「グルル……」


 宙に浮かんで様子を見ていたグレートレッドもなにか悲しそうに鳴き声を上げます。あのドラゴンもアカシア様達となにか関係があるのでしょうか?


「おーい、イッセー!そっちはどうだ?こっちは……ってオーフィス!?」
「なぜオーフィスがここに!?しかもグレートレッドも共にいるとは……!?」


 するとそこにアザゼル先生やサーゼクス様達が駆けつけてきました。そしてオーフィスとグレートレッドを見て驚いています。


「オーフィス!こんなところに現れるとは……やはりお前は禍の団に協力しているのか!?」
「……誰かと思えばアザゼル、久しい。でも今の我、すこぶる機嫌が悪い。何処かに行け」
「ッ!?」


 アザゼル先先生がオーフィスに話しかけました、しかし彼女から放たれた殺気が辺りを震わせて空間にヒビを入れました。


(なんだ!?オーフィスが怒ってやがる……!?今までまともな感情なんて一切出さなかったコイツが!?)
(それよりもなんという殺気なんだ!?オーフィスとは昔に出会った事があったがその頃より遥かに強くなっている……!)


 アザゼル先生とサーゼクスさんは驚愕の表情を浮かべます。


「グルル……」
「分かっている、悪戯に命は奪わない。フローゼとの約束……」


 グレートレッドが何か忠告するように唸り声を上げます、するとオーフィスの怒りが少しだけ収まったように殺気が薄まりました。


「どうなってるんだ?オーフィスからすればグレートレッドは一方的だが宿敵のはず……なのに争う意もせずに共に行動をしているなんて今までなかったはずだ」
「それどころかグレートレッドがオーフィスを戒めたようにも見えたぞ?一体どうなってやがるんだ?」


 オーフィスとグレートレッドの関係にサーゼクス様はまた驚きアザゼル先生はどうなってると首を傾げます。


 私達もオーフィスは次元の狭間を手に入れる為にそこに住まうグレートレッドを倒そうとしていると聞いていましたので、争うどころか共に行動する二体のドラゴンに驚いています。


「おいイッセー!そもそもなんでこんなおかしな状況になってるんだ!経緯を詳しく説明しろ!」
「えーっとまずは……」


 アザゼル先生はイッセー先輩にこうなった経緯を聞きます。


「なるほど、つまりいきなりグレートレッドが現れてその背中からオーフィスが飛び下りて小猫に抱き着いたって事か……いやなんでそうなるんだよ!?」
「因みにその後俺の顔にも張り付いてきました」
「訳が分かんねえよ……」
「いや俺だって困惑してるんですよ……」


 イッセー先輩の説明にアザゼル先生は心底疲れたような顔をしてそう言います。でもイッセー先輩だってこの状況が理解できるわけもなく困った顔をしていました。


「大体なんなんだよ!オーフィスがなんでアカシアとかフローゼを知ってんだよ!?またG×Gか!もしかして三大勢力だけが知らないだけで他の勢力にも接触してんじゃねえだろうな!?」
「流石にそんなこと俺には分からないですよ。そもそもアカシアもフローゼも500年前の人間ですよ、オーフィスがいつ会ったかなんてわかりません」
「そりゃそうか……すまねぇ、俺も混乱してた」


 アザゼル先生はそう言って先輩に謝りました。


 でも実際オーフィスはいつアカシア様達に会ったのでしょうか?そもそもどうやって?見た感じ異次元七色昆虫は持っていなさそうですし……


「おい小娘、俺は気が立って仕方ねえ。今すぐ飯を作れ」


 するとその場の重い空気をぶった斬ってゼブラさんが飯を寄越せと言ってきました。


「えっ、今ですか?まあお弁当を持ってきていますので食事の準備は出来ますけど……」
「早くしろ」
「はいはい、待っていてくださいね」


 このままでは暴れ出しかねないので私は異空間に閉まっていた大量のお弁当を取り出しました。イッセー先輩の勝利の後のご褒美として持ってきたんですけどまあしょうがないですよね。


「さあ、どうぞ」


 私が料理を並べるとゼブラさんは無言で食べ始めました。


「よっしゃ、俺も飯にするか」


 イッセー先輩もそう言ってお弁当を食べ始めます。


「こいつら、今の状況を分かってんのか?」
「まあ彼ららしいじゃないか」


 アザゼル先生は呆れたようにそう呟きサーゼクス様は苦笑していました。


「まあ仕方ねえか、ああなったらゼブラもイッセーも梃子でも動かねからな……小猫、酒くれ」
「そんなものないです」
「君は先程彼らに言った言葉を思い出すと良いよ」


 アザゼル先生は私にお酒を要求してきたのでないと言います。それを見ていたサーゼクス様はジト目でそう呟きました。


「……」
「どうかしたんですか?」


 私の出したお弁当をジッと見ていたオーフィスが気になったので声をかけてしまいました。


「……我も食べてみたい」
「えっ?私の料理をですか?どうぞどうぞ、遠慮しないで食べてください。良いですよね、先輩、ゼブラさん?」
「ああ、飯は一緒に食った方が美味いからな」
「ふんっ」


 私とイッセー先輩は手招きしてオーフィス……呼び捨てもあれですね、オーフィスさんを誘います。ゼブラさんは我関せずと黙々と食事を続けていました。


「オーフィスさんは何が好きなんですか?」
「……ハンバーグ。我が好きな食べ物」
「ハンバーグですか、お口に合うと良いのですが……」


 私はお皿にハンバーグを移してオーフィスさんに渡しました。


「……」


 オーフィスさんは目を輝かせながらハンバーグを見つめていました、そんなに好きなのでしょうか?


 そして小さな手で箸を動かすとハンバーグを器用に掴みこれまた小さなお口に運んで一口食べました。


「ッ!!」


 オーフィスさんは目を見開いて何か考えるように遠い場所を見ていました。


『……これはなに?』
『なにってハンバーグよ、食べた事無いの?』
『我、食事必要ない。故に食べるという行為をしたことがない』
『ええっ、そうなの!?でも食べられないわけじゃないんでしょ?なら勿体ないわよ、食事は栄養を得るためだけの行為じゃないの。体を、心を幸せにしてくれる大切なことなのよ』
『……美味しい』
『良かった、貴方の口に合って』


 すると突然オーフィスさんの目から涙が零れ落ちました。


「ええっ!?もしかして美味しくなかったですか?」
「……同じ」
「えっ?」


 オーフィスさんは今度はから揚げや卵焼きを皿にとって口に運び一口食べます。


「これも同じ……暖かい」


 次々と料理を食べながら涙の量を増やしていくオーフィスさん、私は困惑しながら不味いと思っている訳じゃないと思いちょっとホッとしながら見守ります。


「フローゼと同じ暖かさ……こんなに胸がいっぱいになったのは久しい……!」
「えっ、私の料理ってフローゼさんと同じ味付け何ですか!?なんか光栄と言うか恐れ多いと言うか……」
「ははっ、神の料理人と同じ味だなんて凄いじゃないか!」


 まさかのフローゼ様と同じ味と言われて私は困惑してしまいます。イッセー先輩は笑いながら肯定してくれますが流石に『ですよね』なんて肯定できません。


「……グルル」
「きゃあっ!?」


 すると私の側に大きなドラゴンの顔がヌッと出てきました。


「グレードレット、お前も食べたい?」
「グルル」
「なら小さくなれ、お前の鼻息で料理が飛んで行ってしまう」
「グゥ……」


 オーフィスさんにそう言われたグレートレッドは赤く輝き始めました。そして光が収まると滅茶苦茶大きな体格の男性がそこにいたんです。


「……これでいいか?」
「久しぶりにその姿を見た。人間の体になっても相変わらずデカイ」
「これ以上は小さくなれん、そんな事より俺にも食わせてほしいのだが?」
「えっ、あっはい!」


 グレートレッドはなんと人間の姿に変身してしまいました、その見た目はまるで鬼のようで凄く大きいです。


「グレートレッド、お前喋れたのか?それにその姿は……」
「アカシアに言葉を教えてもらった。この姿は昔死にかけた際に治療を受ける為にやむなくなった姿だ、普段は疲れるしなる意味が無いから使わないがな」
「そ、そうなのか……はあっ!?お前が死にかけた!?」


 アザゼル先生とグレートレッドはそんなやり取りをしていましたが、話の内容にあったグレートレッドが死にかけたという事に凄く驚いていました。


「そ、そうか!グルメ界の猛獣だな!お前でも殺されかけるほどヤバい奴らがいるのか……」
「いやそうじゃない。まあグルメ界の生物にも何回か殺されかけたが……もうこの話はいいだろう。俺もその料理を食わせてくれ」


 アザゼル先生との会話を無理やり終わらせたグレードレット……さんはピリ辛味付けのされたチキンを手に取って骨ごと食べました。


 チキンは結構な大きさなのですがまるでスナック菓子を一口で食べるような感覚で食べてしまいました。


「……ッ!んぐっ……なるほど、オーフィスが気に入る訳だ」


 表情をあまり変えずにそう呟くグレードレットさん、でも直ぐにまたチキンに手を伸ばしたので少なくとも味は気に入ってもらえたようですね。


 その後は私達も食事に加わり皆で楽しくご飯を楽しみました。最初は警戒していたサーゼクス様やココさん達も食事に加わってオーフィスさん達とお話をしています。

 
「なあ、オーフィス。アンタはあの伝説の美食神アカシアと神の料理人フローゼの知り合いなのか?」
「お前、その経緯を知りたい?」
「そうだな、できれば教えて欲しい。興味があるんだ」


 一緒に食事をしていたイッセー先輩がオーフィスに声をかけます、すると意外にも直ぐに反応してくれました。


 ジッと私とイッセー先輩を見るとトテトテと寄ってきます。


「……やはりお前たちからはアカシアとフローゼの気配を感じる。お前たちの名前は?」
「イッセーだ」
「こ、小猫です」
「イッセーに小猫、我覚えた。お前達なら教えてあげる」

 
 何故か気に入られた私達、オーフィスは私とイッセー先輩を座らせると先輩の膝に座って私の手を握ってきました。


「この感じ、凄く懐かしい……昔こうやって二人と過ごしていた時を思い出す」
「随分と仲が良かったんだな、その二人と」
「我、二人とは仲が良かった。沢山の事を教えてもらった」


 オーフィスは表情こそ変化はありませんでしたが、どこか寂しそうで過去を懐かしむようにしているように見えます。


「我、大昔次元の狭間でグレートレッドと戦った。その際にお互いの放ったエネルギーがぶつかって大きな穴が開いた、そして我は瞬く間に吸い込まれてしまった」


 事の始まりはオーフィスさんとグレートレッドさんが戦った際に発生した穴に吸い込まれたことらしいです。


「我、気が付くと見たこともない生物が住む世界にいた。そこにいた生物は凄く狂暴で我に襲い掛かった。我、それを撃退していったが何故か無限の力が弱まっていて回復できずに消耗していった」


 オーフィスさんが飛ばされたのはG×Gのグルメ界ですね、無限の龍神に喧嘩を売る生物など彼らしか考えられません。


「我が洞窟で休んでいると一人の男が入ってきた。その男は私に近づき驚いていた」
「まあ見た目は唯の少女だからな」


 アカシアさんもびっくりしたでしょうね、猛獣だらけのグルメ界で見た目はゴスロリを着た小さな女の子を見つけたりしたら。


「我、警戒したがその男には敵意を感じなかった。事情を話すとひとまず自分たちが住んでいる場所に行って話をしないかと言われ、我はそれを承諾した」


 アカシアさんは得体の知れないオーフィスさんを家に誘ったのですか、優しい人なんでしょうね。


「そして我はそこでフローゼに出会った、我は二人と話し合い力が戻るまで二人の元で世話になることにした。そして……」
『オオオォォォォォォッ!!』


 すると突然大きな咆哮がオーフィスさんの話を遮りました。そこに不気味な雄たけびを上げながら壁を打ち壊してなにかが姿を現しました。


「な、なんですか!あの不気味な肉塊のような生き物は……!?」
「キッショ!?マジ無理!!」


 その生物は膨れ上がった肉の塊がクモみたいな足を生やした見た目をしていてサニーさんがキモいと言いました。


「なんだ、あの生き物は?いくつもの電磁波が見えるがまさか……」
「オオオオォォォォォッ!!」


 ココさんが何かに気が付いたようにそう呟くと肉塊の中心に顔が浮かび上がります。


「あの顔はシャルバか!?」


 イッセー先輩はその浮かび上がった顔を見てシャルバだと言います。私にも見覚えがありました、あの顔は間違いなくシャルバです!


「グォォォォッ!」


 私達を認識したシャルバはこちらに向かってきました。


「ハッ、チョーシ乗りやがって……食後の運動と行くか」


 ゼブラさんは大きく息を吸うと胸を膨らませて力を溜めていきます。


「ボイスバースト!!」


 そして凄まじい声の衝撃波を放ちシャルバに直撃させました。


「ダブル・レッグナイフ!!」


 イッセー先輩は回転しながら両方の足からレッグナイフを放ちシャルバの肉体を切り裂きます。しかし……


「んなっ!?もう再生した!?」


 一瞬でゼブラさんとイッセー先輩の攻撃によって負ったダメージを再生してしまったシャルバに先輩は驚きの声を上げます。


「やはりそうか、グルメ細胞が暴走しているんだ」
「グルメ細胞が暴走?どういうことですか?」
「恐らく彼らは適合する食材を食べて壁を突破したのではなく、なんらかの方法で無理やり壁を超えたんだ。悪魔だから今まで耐えられていたが遂に限界が来て暴走してしまったのだろう」
「そんなことが……」


 私はココさんからグルメ細胞が暴走しているという話を聞いてゾッとしました。


「奴の体内から複数の悪魔の電磁波を感じた……死を避ける為に闇雲に食べているのだろう、そんな事をしても意味なんてないのにね。奴の命はもう風前の灯だ」
「じゃああの異常な再生はなんだ?」
「グルメ細胞の暴走によって異常なまでの再生力を得たのだろう、恐らく10分ほどで死ぬけどそれまでは不死身の化け物だろうね。多分僕の毒も効果は無いと思う」
「なら奴を抑えればいいのか」


 イッセー先輩はあの化け物の対処法を考えるとサニーさんの方に視線を向けます。


「サニー兄、出番だぞ!」
「はぁ?ふざけんじゃねーよ!あんな気色悪い奴に俺の綺麗な髪を纏わせろって言いてーのかよ!?マジ無理だから!」
「我儘言うなよ!折角おあつらえ向きな能力があるって言うのに!」


 サニーさんにシャルバの動きを触手で止めてくれと言う先輩でしたが、サニーさんは凄く嫌がって拒否しました。


 まあ確かに脂みたいなネバっとしたギトギトが身体から出ていますし触れたくないっていう気持ちは分かりますが……


「いや止める必要もない、僕が消滅させる」


 サーゼクス様が前に出て大量の滅びの魔力で出来た球を生み出しました、そしてそれを一斉にシャルバに目掛けて放ちます。


「オオオォォォォッ!!」


 しかしシャルバは全身に黒い魔力を纏い滅びの魔力を防いでしまいました。


「あれは滅びの魔力!?なぜシャルバが滅びの魔力を使えるんだ!?」


 流石の事態にサーゼクス様も驚きを隠せないようでした。でもどうしてシャルバが滅びの魔力を……?


 その時私はシャルバが食べた者を自身の力に変えることが出来る能力を思い出しました。


「シャルバは食べた者の力を自身の力に変えることが出来ます!リアス部長の滅びの魔力で死んだと思っていましたが、何らかの方法で生き残ってその時に滅びの魔力を食べていたんだと思います!」
「なるほど、それで奴は滅びの魔力を使えるというのか」


 私の説明を聞いたサーゼクス様は納得した表情を見せます。


「ガァァァァァッ!!」


 するとシャルバは雄たけびを上げながら全身に滅びの魔力を纏って突っ込んできました。


「あぶねぇ!?」


 私達はその場を飛んで回避しましたが神殿の一部が跡形も無く消えてしまいました。


「あれじゃ滅びの魔力がそのまま襲い掛かってきてるのと何も変わらないぞ!」
「落ち着くんだ、イッセー。シャルバの命は持って後7分ほど……それまで耐えればいい」


 イッセー先輩は攻撃が出来ないことに焦りますが、ココさんは冷静に時間を稼げと言います。


「よし、奴の気を引いて時間を稼ぐぞ!」


 私達はイッセー先輩の言う通り奴の気を引いて時間を稼ぐことにしました。


「ガアアアァァァァッ!!」


 シャルバが滅びの魔力を光線のように口から発射してきました。私達はそれを飛んで回避します。


「喰ワセロォォォォォォッ!!」


 すると今度は体中から滅びの魔力を弾丸のように発射してきました。神殿は既に天井も壁も穴だらけになって崩れてしまいました。


「ぐっ、コレに一発でも触れたらアウトってのがヤバイな!」
「何とか持ちこたえましょう!」
「あっぶね!?俺の髪に当たる所だったじゃねえか!」
「ふん、そのうっとおしい髪を少しは減らした方がいいんじゃねえか?」
「うっせー、黙ってろ!」


 イッセー先輩と私は冷や汗を流しながら攻撃を回避していきます。


 防御も効果がないので一発でも当たればお終いという緊張感に押しつぶされそうになりました、でもグルメ界ではそういった攻撃をしてくる猛獣だらけだと思うので予行練習だと思い落ち着きます。


 因みにサニーさんが必死に髪を守ろうとしてゼブラさんに馬鹿にされて怒っていました。


「おい、オーフィス!グレートレッド!お前らも手を貸してくれよ!」
「我、食事で忙しい。邪魔をするなら殺す」
「その程度の奴くらいお前達でどうにかしろ」
「くそっ、こんな状況でも呑気に飯を食いやがって……!」


 アザゼル先生がオーフィスさん達に加勢をお願いしましたが断られてしまいました。まあ仕方ないですよね。


 それからなんとか奴の攻撃を避け続けて5分ほどが過ぎます。


「よし、奴の電磁波が弱くなってきている。あともう少しだ」


 ココさんがシャルバの様子を見て弱っていると言います、あと少しですね……!


 しかしシャルバは急に向きを変えて私達とは違う方向に向かって走り出しました。


「あれ、逃げだしましたよ?諦めたのでしょうか?」
「いや、あの方角は……!マズイ!奴が向かってる方向には避難した悪魔たちがいる場所だ!」
「あの野郎、俺達じゃ食えねえと判断して獲物を切り替えたってのか!?」


 私はシャルバが逃げ出したのかと思いました。しかしサーゼクス様がシャルバが向かおうとしている方向には避難した悪魔たちがいると叫びます。


 それを聞いたアザゼル先生はシャルバが獲物を変えたのかと言いました。


「逃がすか!」


 イッセー先輩が後を追おうとしますがシャルバは回転しながら滅びの魔力の光線や弾丸を乱射してきます。


「うおっ!?」
「きゃああっ!!」


 私達はそれを回避するだけで精一杯の状況になってしまいました。


「あっ……」


 後ろの方から何か声が聞こえたような気がしましたが、今はこっちに集中しないと死んでしまうので思考を切り替えます。


 シャルバは高速で避難した悪魔たちがいる場所に向かっています。


「あの速度だと1分足らずで避難場所にたどり着いちまうぞ!」
「そんな事になったら避難した人たちが……!」


 イッセー先輩と私は最悪の光景を想像してしまいました、しかし滅びの魔力で体を包み込んでいるシャルバには手が出せません。


 一体どうしたら……


「ふんっ」


 そこにオーフィスさんが現れてシャルバを殴り倒しました。小さくて可愛らしい手からは想像もできないえげつない打撃がシャルバを地面にめり込むほど叩きつけたんです。


「なっ、いつの間にやったんだ!?」
「しかも滅びの魔力で包まれたシャルバを殴ったのにノーダメージとは……僕でも難しいことをあっさりとやってのけるとはね……」
「ふん、あんなもんどうってことねーだろうが」


 一瞬で攻撃に移ったオーフィスさんの速さにアザゼル先生が驚きサーゼクス様は驚愕して冷や汗をながしていました。


 ゼブラさんは大したことが無いと言いますが警戒心は強めていますね、本当に素直じゃないんですから……


「でもどうしてオーフィスが急にシャルバを攻撃したんだ?さっきまで非協力的だったのに?」
「原因はあれだ」
「うおっ!?」


 困惑していたイッセー先輩の背後からグレートレッドさんが現れてそう言いました。


 あんなに大きくて存在感に溢れているのに気配や匂い、動きの動作などが一切なくまるで瞬間移動したかのような現れ方にイッセー先輩は本気でビビっていました。


「あ、あれってなんだよ?」
「あそこを見てみろ」
「あそこって確か私達が食事をしていた場所……あっ、跡形も無く消し飛んでいます」


 グレートレッドさんが指を刺した場所を見た私はそこが先程私達が食事をしていた場所だと気が付きました。


 しかしその場所はぽっかりと穴が開いたかのように地形が消えていたのです。それを見て私はシャルバの滅びの魔力を思い出しました。


「まさか流れ弾が直撃したんですか?」
「そうだ、だがそれだけだったらオーフィスも気にしなかっただろうな。オーフィスは食材を無駄にすることを嫌う、ましてや久しく味わっていたフローゼの味付けを堪能していた所を邪魔されたのだ。最早暴れ狂う邪龍になるだろう」
「まあ確かに食材を無駄にする奴は許せないな」


 私は先程のシャルバの攻撃がオーフィスさんとお弁当に当たったんだと理解しました。そしてそれでオーフィスさんがキレたのだとグレートレッドさんが説明してくれました。


 それを聞いていたイッセー先輩もキレたことに納得していました。


「お前、殺す」


 オーフィスさんはそう呟くとまた打撃を叩き込みました。その一撃でまた空間にヒビが入ります。


「マズイ、オーフィスの攻撃でこのフィールドを維持している魔法結界が壊れてしまう!」
「お、おい!オーフィス落ち着けって!」
「殺す」


 サーゼクスさんがフィールドが崩壊すると言いアザゼル先生がオーフィスさんを落ち着かせようとします、ですが彼女は聞く耳を持たず淡々と拳を振り続けました。


「死ね」


 既にボロボロになったシャルバに向かってオーフィスさんは両手を上げて振り下ろします。すると空中に亀裂が走ってそこから超巨大な隕石が落ちてきたんです。


「天蓋新星」


 隕石はシャルバに激突して凄まじい衝撃を発しました。もうこの時点でオーバーキルですが余程怒っていたのかオーフィスさんはまた両手を上げました。


「おまけ」


 もう一つ隕石を召喚したオーフィスさんはまるで団子を重ねるように先に落としていた隕石の上に落としました。


 そして最後には恐ろしい巨大な爆発を引き起こしたんです。


「ぎゃああっ!?この世の終わりだァァァッ!?」
「攻撃の余波で私達も死んじゃいますぅぅぅっ!!」


 あまりの衝撃にとてつもない余波が私達を襲い掛かってきました!これが直撃したら間違いなく消滅してしまいます!


「雷鳴八卦」


 すると何処からか取り出した金棒を最早光速を超えた速度で振るうグレートレッドさん、すると爆発がかき消されてしまいました。


「た、助かったのか?」
「お、俺は別にビビッてねぇし?こんなもん何てことねぇし?」


 アザゼル先生が助かったのかと辺りを見渡します。するとサニーさんは誰も何も言ってないのに何故かビビってないと言い出しました。


「死相は誰にも見えなかったけど彼が助けてくれるだとはね」
「フン、余計な真似をしやがって」


 ココさんはあれだけの規模の攻撃が来ると予想していたのか全員に死相が出なかった事に意外そうな顔をしていました。でもそれがグレートレッドさんが助けてくれるからだとは流石に予想できなかったみたいですね。


 後ゼブラさんは余計な事を……みたいな感じでふてくされていました。まあいずれはゼブラさんもあんなことできそうな気がしますが今は仕方ないですよ。


「でもどうして助けてくれたんですか?」
「お前のチキンが気に入ったからだ」
「そ、そうですか。喜んでもらえたのなら良かったです」


 どうやら私が作ったピリ辛チキンが気に入ってくれたから助けてくれたみたいですね、運が良かったです。


 しかしその時でした、私達のいる空間に大きな亀裂が走ってしまったのです。


「おいおい、まさか……!」
「ああ、先ほどの攻撃に耐えられなかったんだろうね。フィールドが崩壊する!」


 イッセー先輩は皆が思ったことを口に呟きます。そしてサーゼクス様がフィールドが壊れると言いました。


「早く全員を避難させないと!」
「いや間に合わねぇぞ!」
「落ち着け、アイツらが来たからもう大丈夫だろう。まさかこんなところで再会する事になるとはな」


 先輩とアザゼル先生の会話に入ってグレートレッドさんがアイツらが来たと言いました。誰の事かと聞こうと思ったのですか……


「グランドノッキング(弱)」


 何か地面を叩いたような音がしたと思った瞬間、亀裂が止まり空間の崩壊が収まりました。


「今のはまさか……」
「危なかったのぅ、ワシがいなかったら皆死んどったぞ」
「次郎さん!」


 そう、賭けつけてくれたのは次郎さんでした。


「ま、まさか崩壊するフィールドや空間そのものにノッキングをかけてしまうなんて……」
「なんでもありじゃねえか。ノッキングって付ければいいってもんじゃねーだろうがよ……」


 生物ではなく空間にさえノッキングするというあまりの規格外の実力にサーゼクス様とアザゼル先生は言葉を失っていました。


 前に三大勢力の会談の時も次郎さんが似たようなことをしていましたが、あの時はそちらに目が行かないほど色んなことが起こったので改めて驚いたのでしょうね。


「次郎か、久しぶりだな」
「んん?もしやお前さんレッドか?久しいの~!それにこの気配はまさか……」
「二狼?」


 グレートレッドさんが次郎さんに声をかけると彼は珍しく目を丸くして驚いていました。しかしそこにオーフィスさんが現れて次郎さんに駆け寄っていきました。


「やはり貴方でしたか、零蝶(れいは)姉さん。お久しぶりですなァ」
「二狼!やはり二狼だ!髪の色を変えた?」
「コレは白髪ですじゃ、貴方と違ってワシらは年を取るのでねぇ」


 オーフィスさんを零蝶と呼び親し気に話していました。


「次郎さん、あんたオーフィスと知り合いなのか?」
「おや、言っとらんかったか?ワシらアカシア様の弟子は皆零蝶姉さんを知っとるよ。何故なら彼女はアカシア先生とフローゼ様の娘じゃからな」


「はっ?」
「えっ?」


 次郎さんの口から衝撃的な内容が出て来て私とイッセー先輩は一瞬固まってしまい……


『ええええぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇええええっ!!?』


 二人そろってすさまじく大きな声で驚いてしまいました!!地の文でも驚いてしまいました!!


 そしてこの後、私達はオーフィスさんとアカシアさんや一龍さん達との関係を知る事になるのでした……

 
 

 
後書き
 小猫です。保護してもらったとは既に聞いていましたがまさかオーフィスさんとアカシアさんが義理の親子だったとは思いもしなかったですよ。


 そうなると一龍さんと次郎さんはオーフィスさんの妹になるのでしょうか?節乃さんとはどういう関係なんでしょう、それにグレートレッドさんはいつ皆さんと出会ったのでしょうか?


 うう~、とっても気になります!次回にしっかりとお話を聞かないといけませんね!


 次回第142話『明かされる過去の話!オーフィスの家族!!』で会いましょうね。

 
 次回も美味しくいただきます……にゃん♪ 
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