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神々の塔

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第九十三話 それぞれの神具その六

「どんどんや」
「堕ちていって」
「もう人の底を抜いてな」
「人やなくなるね」
「仏教で言う餓鬼にもな」
「なるね」
「ええとこのない、誰が何をしても救えん」 
 そうだというのだ。
「ほんまの屑、餓鬼にや」
「なるね」
「そうなるとな」
 それこそというのだ。
「どうにもならん、努力してこそや」
「人はよおなるけど」
「その努力をせん奴はな」
 そうした輩はというと。
「最初からな」
「せえへんね」
「それこそ一生な」
「何の努力もせえへんで」
「ほんまどうにもならん」
「そうした風になって」
「性根は腐って」
 堕ちてというのだ。
「それでや」
「人でなくなって」
「もう人ではな」
 この存在ではというのだ。
「誰が何してもな」
「救えへん」
「どんな宗教でも哲学でもな」
「人では無理やね」
「そや、ほんまな」
「救われるにしても」
「ある程度のもんが必要や」
 こう言うのだった。
「ほんまな」
「人である位の」
「そや、もうそれがな」
「餓鬼になると」
「ええ教えに触れても」
 そうしてもというのだ。
「そっちには行かへん」
「それどころか不平不満ばかり言うね」
「普通の人が言わへん様なアホなこと言うてな」
 そのうえでというのだ。
「決してや」
「ええ教えには近づかへんで」
「ずっと酷いままや」
「それで救われへんね」
「例え救ってもな」
 そうした行動を取ってもというのだ。
「衣食住や仕事提供してな」
「それでもやね」
「感謝せんで」
「不平不満ばかりで」
「それで自分でよおなろうと努力もせんで」 
 そうであってというのだ。
「結局や」
「あかん様になるね」
「今僕感謝って言うたけど」 
 芥川は自分からこの言葉を出した。
「反省もせん、遠慮もせんで謙虚さもない」
「自分のことに気付かへんで」
「ほんまな」
「誰が何してもあかんね」
「それこそ神霊さん達やないと」
 人を超越した存在でなければというのだ、芥川は塔で試練を与えてきた彼等のことを思い出しつつ話した。 
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