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ハッピークローバー

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第百五十話 妖怪がいる余裕その五

「引き揚げられたらしいな」
「そうなのね」
「そんなに大きくなかったらしい」
 越智はそちらの話もした。
「どうもな」
「まだ子供だったの」
「そうかもな」
「恐竜って大きいけれど」
「どちらも十五メートルはあるらしい」
 モササウルスもティロサウルスもというのだ。
「それが二メートルかそれ位だったらしい」
「じゃあ子供ね」
「そうだな、しかし重要なのはな」
「日本の方にもいるのね、恐竜」
「若しかしたらな」
「そうなのね」
「そしてだ」
 越智はさらに話した。
「長崎県の海の話だが」
「長崎がどうかしたの?」
「あの辺り海の妖怪の話があるからな」
「そうなの」
「どういう訳か結構ある」
 越智は富美子にこの学園では馴染みの深い者達の話もした、話す顔は真剣なもので嘘を言っているものではなかった。
「磯女なりいくちなりな」
「磯女って吸血鬼よね」
「知ってるか」
「そうした妖怪いるって聞いたことあるの」
「そうなのか」
「小学生の頃あっちの子に聞いたわ」
 長崎県出身のというのだ。
「男の子で今普通科にいるけれど」
「そいつからか」
「聞いたの。あっちじゃかなり怖がられてたって」
「そうなんだな」
「あと濡れ姫とかいうのいるとか」 
 富美子はこの妖怪の話もした。
「蛇の身体で女の人の頭の」
「そうした妖怪もいるな」
「あんたも知ってるのね」
「濡れ女と聞いている」
 この妖怪だというのだ。
「上半身が女の人でな」
「下半身が蛇ね」
「川に出て人を襲って血を吸う」
「そうした妖怪だって」
「聞いているが九州にもいたか」
 こう言うのだった。
「そうなのか」
「この妖怪濡れ女ともいうの」
「そうみたいだな」
「そうなのね」
「何はともあれそうした妖怪もいてな」
 長崎の海にはというのだ。
「他にもな」
「いるのね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「いくちなんていう船を何日も通り過ぎる妖怪もいる」
「何日もなの」
「その間身体から油をかなり滴り落としてきてな」
 そうしてというのだ。
「その油で船を沈めるらしい」
「脂症の妖怪ね」
「だからその油を傘を逆さにしてバケツみたいに受けてな」
「溜まったら捨てるのね」
「そうして難を逃れるらしい」
「そんな妖怪もいるの」
「そして恐竜もいる」
 この存在もというのだ。 
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