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八条学園騒動記

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第七百七十六話 普通にいる幽霊その十

「本当にね」
「自由ないのね」
「何度も言うけれどね」
「兎に角自由がなくて」
「それでね」
 そうであってというのだ。
「お風呂もね」
「嫌でも入る」
「入らないといけないの」
「絶対にね」
 それこそというのだ。
「何があっても。しかも」
「しかも?」
「熱いぬるいはね」
 湯加減がというのだ。
「言えないの」
「そうなの」
「絶対にね」
「そこも絶対なのね」
「だから我儘や不平不満は」
 そうしたことはというのだ。
「言えない方々なの」
「きついわね、そのことも」
「プライベートもなくて」
 それでというのだ。
「そうしてね」
「そのうえで」
「不平不満もなのね」
「言えなくて特にお食事がね」
「言えないのね」
「嫌いなものを出されても」 
 それでもというのだ。
「残さずにね」
「食べないといけないのね」
「流石に下戸であられるなら」
 実は皇室にはお酒に弱い方が時折出られるのだ、昭和帝もお酒に弱いことが歴史に書かれていたりする。
「お酒は飲めないけれどね」
「そうなのね」
「けれどね」
「食べものの好き嫌いは」
「特にね」
 とりわけというのだ。
「言えないのよ」
「つくづく辛いところね」
「ブラックもブラックよ」
「お暮し自体がご公務だし」
「お給料、自由になるお金もね」
 これもというのだ。
「ないしね」
「あの、宮内省の予算って」
 アロアがこの話をした。
「少ないので有名よね」
「そうだしね」
「それで自由になるお金も」
「ないの」 
 そうだというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「私も皇室に生まれなくてよかったって」
「思ってるのね」
「だって肩凝りになっても」
 自分が気にしているそのこともいうのだ。
「自由にね」
「今みたいになの」
「お風呂入られないし」
 だからだというのだ。
「もうね」
「皇室に生まれなくてよかった」
「そうよ、大体ね」
 彰子はこうも話した。
「お生まれになった瞬間に特撮ヒーローにおめでとうございますってね」
「言われるの」
「そんな物々しい人生なんてね」
 それこそというのだ。
「嫌でしょ」
「特撮ヒーローの人になの」
「そう、お生まれになられたら」
 その時にというのだ。 
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