おぢばにおかえり
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第八十三話 回廊ひのきしんその四十九
「本当にね」
「やっぱりそうですよね」
「ええ、言ったことは戻らなくて」
「禍いの元ですね」
「出してしまったらね」
辛そうに言われました。
「もうね」
「戻らないですね」
「そうよ」
こう言われるのでした。
「本当にね」
「そうですよね」
「だからね」
「失言には気を付けることですね」
「どんなに怒っても許せないってその時思ってもね」
「それでかんろだいの前で言ったんですよね」
ここでまた新一君が言ってきました。
「最高の失言ですね」
「え、ええ」
先輩は俯いて答えられました。
「私のことから言っているから」
「あそこにかんろだいありますね」
新一君はさらに言いました。
「後ろに見える場所で西の礼拝堂で言われましたね」
「そうなの」
「後でそっちに行きますけれど」
「いい加減にしなさいっ」
私は新一君を注意しました。
「それが失言って言うの」
「そうですか?」
「そうよ、何処まで人の昔のことほじくり出せば気が済むのよ」
「こうしたら相手は反論出来ないから効果あるんですよ」
「言われた相手がどれだけ嫌な思いするかわかってるのよね」
「嫌いな相手の嫌がることは調べてでも知ってやる主義なんで」
「あのね、ずっと言ってるでしょ」
今回もです。
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