ハッピークローバー
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第百四十七話 文化祭開催その三
「その時もね」
「そうなのね」
「兎に角毎日ね」
「お風呂に入るのね」
「それで身体奇麗にして」
「汗を洗い落として」
「体臭もね」
これもというのだ。
「落としてるわ」
「ああ、洗ってね」
「そしてね、それで体臭落とすには」
ケニアの娘はそれにはと話した。
「湯舟に入った方がね」
「シャワー浴びるよりいいのよね」
「そう、お湯に体臭が染み出て」
「落ちるのよね」
「垢や汚れもね」
そうしたものもというのだ。
「湯舟に浸かる分ね」
「落ちるわね」
「だからいいのよ」
シャワーよりもというのだ。
「汚れや体臭にとってはね」
「湯舟に浸かった方がね」
「富美ちゃんも思うでしょ」
「今日はシャワーだったけれどね」
富美子はそれでもと答えた。
「やっぱりね」
「湯舟に浸かる方がね」
「体臭も落ちて」
「垢や汚れもよ」
「そうよね」
「いや、実はね」
ケニアの娘はこんなことも言った。
「芥川龍之介の作品でね」
「あの人の作品ね」
「末期の作品で」
富美子に考える顔で話した。
「つね子の憂鬱か夢か忘れたけれど」
「どっちかの作品ね」
「黒人の体臭とか書いてたのよ」
「そうだったの」
「それ読んで体臭するのかって思って」
「気を付けてるの」
「やっぱり誰だって体臭するでしょ」
ケニアの娘は真顔で話した。
「特に女の子はね」
「きついのよね」
富美子も真顔で答えた。
「女の子の体臭って」
「これがね」
「よく甘い香りがするとか言うけれど」
男子達はというのだ。
「これが実はね」
「きついのよね」
「更衣室やおトイレなんて」
そうした場所はというと。
「むわっとね」
「物凄い体臭するわよね」
「それでなのね」
「黒人に限ったことじゃないけれど」
「意識する様になったの」
「私黒人だしね」
芥川が書いたその人種だというのだ。
「ケニア生まれで」
「それで意識してるのね」
「そうなの」
まさにというのだ、ケニアの娘は富美子に対して芥川のその小説で読んで感じたことから言うのだった。
「これがね」
「そうなのね。ただね」
「ただ?」
「芥川よね」
富美子はこの作家であることを確認した。
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