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ハッピークローバー

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第百四十七話 文化祭開催その四

「あんたが読んだの」
「図書館で読んだのよ」
「芥川って自殺してるでしょ」
「そうなのよね」
 ケニアの娘もこのことは知っていた。
「最後の方鬱でね」
「そう、それが作品にもね」
「出てるの」
「私その二作品知らないけれど」
 それでもというのだ。
「馬の脚読んだら」
「その作品も末期?」
「その頃の作品でね」
 そうであってというのだ。
「かなりね」
「おかしいの」
「もうね」
 それこそというのだ。
「狂ってるんじゃないかって」
「思ったの」
「書いた芥川がね」
「そういえばね」
 ケニアの娘も否定しなかった。
「読んでいてね」
「おかしいって感じたのね」
「私もね」
「やっぱりね」
 富美子はさらに言った。
「自殺する直前だったから」
「色々おかしくなっていたのね」
「少なくともね」
 富美子はどうかという顔で眉を顰めさせて話した。
「人が死んでね」
「その馬の脚ね」
「何か脚が馬になるなんて」
「普通は書かないわね」
「死んでも転生とかね」 
 今の流行りから話した。
「そうするでしょ」
「天国に行くとか」
「それがね」
 その筈がというのだ。
「何でも脚だけがね」
「馬のそれになって」
「生き返って」
 そうしてというのだ。
「色々苦しむのよ、蚤が出たり隠したり」
「世の中の不条理さ書いたとか」
「それでもね」
 富美子はそれでもと話した。
「幾ら何でもね」
「おかしいのね」
「そう、もう何もかもがね」
 その馬の脚という作品はというのだ。
「おかしいから」
「そうなのね」
「読んでいてね、最後奥さんにその姿で出てね」
「脚が馬のそれになった」
「お別れしてどうもね」
 その結末も話した。
「自殺するみたいだし」
「そうなの」
「読んでいておかしさしかね」
 狂気、それをというのだ。
「感じなかったわ」
「そうだったのね」
「実際自殺する直線の芥川本当におかしくなっていたそうよ」
 その為精神科で診断も受けていた、そしてその精神科医が俳人として知られる斎藤茂吉であったのだ。 
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