新オズのかかし
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第五幕その七
「皆がいなかったら私もどうなっていたか」
「大変だったね、あの頃は」
「ロンドンでね」
「お父さんが破産したんだったね」
「それでお亡くなりになってね」
「セーラ嬢は孤児になって一文無し」
「そうなったからね」
二人でお話します。
「だからね」
「学院の中であっという間に扱いが酷くなって」
「屋根裏に追いやられて」
「こき使われたね」
「ああしたことは絶対に許されないことだよ」
魔法使いは少し怒ったお顔になって言いました。
「幾らお金がなくなってもね」
「急に掌を返してね」
「粗末に扱うなんてね」
「何でも虐待だったそうだね」
「その酷さは」
「何でも日本のアニメだとね」
魔法使いはそちらのお話をしました。
「とんでもないいじめだったそうだよ」
「ううん、いじめのお話は聞くけれど」
「オズの国にはないからね」
二人でお話します。
「僕達はお話を聞くだけで」
「実感はないんだよね」
「一体どんなものか」
「どれだけ酷いか」
「私も幸い聞いているだけだけれど」
魔法使いも実際に見たことはありません、もっと言えば経験したこともない様です。とても幸せなことに。
「とても酷くて醜いものだよ」
「そうなんだね」
「いじめというものは」
「そのいじめをね」
魔法使いはセーラを見つつ言いました。
「彼女は受けていたんだよ」
「酷いね」
「よく我慢したね」
「ですが今はです」
ラメダスが深く深刻に考えるかかし達に言いました。
「ご覧の通りです」
「幸せになったんだね」
「セーラ嬢は」
「ダイアモンド鉱山が手に入って」
「お父さんは実は破産していなくて」
「それで、です」
そのうえでというのです。
「お金が戻って無事にです」
「豊かに暮らせる様になった」
「そうだね」
「そしてロンドンを後にされて」
そうしてというのです。
「インドにおいてです」
「幸せにだね」
「過ごせる様になったね」
「そうです」
かかしと樵に答えました。
「再び」
「お嬢様は本当に苦労されました」
ベッキーも言ってきました。
「ミンチン先生に酷い扱いを受けて」
「そのミンチン先生は許せないね」
臆病ライオンは怒って言いました。
「何があっても」
「そうですね」
「全く、お金がなくなってもね」
「酷いことをしてはいけないですね」
「そうだよ、とても悪いことをしたよ」
ミンチン先生はというのです。
「許してはいけないよ」
「はい、ですがそれはです」
「それは?」
「終わったことでして」
そうであってというのです。
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