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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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前書き
悟飯はお姉ちゃん大好きです一応。 

 
悟林は鼻歌を歌いながら重箱に料理を詰めていく。

チチは西の都がある方向を拝んでおり、悟空は弁当の余り物を有りがたく頂いていた。

「ほら、悟天。これお前とトランクス君の分」

悟林はカプセルに弁当を入れて悟天に渡す。

「ありがと、でも姉ちゃん。トランクス君のだけ1段高いよ。恋人と可愛い弟で差別はいけないと思うなー」

「あらそう、なら悟天ちゃんはお弁当要らないんだー。ならお父さんに…」

「有りがたく受け取らせて頂きますお姉ちゃん様」

学校の給食はあるのだが、サイヤ人である悟天とトランクスには全く足りず、そのことに頭を悩ませていると弁当を持っていけばいいと悟林から助言を貰った。

弁当の持ち込みは駄目だと伝えると昼休みに学校を抜け出して食べれば良いと言われてその手があったかと2人は空腹で苦痛でしかなかった午後の時間がマシになった。

「そうそう、トランクス君に買い食いしないように伝えておくからね」

「ん、頼んだよ。」

「お母さん、私、材料集めてブルマさんのとこに行くよ。結構作るからさ」

「おおー、気をつけるだぞー」

出ていった悟林にチチはニコニコ、悟空は食べ終わって物足りなさそうだ。

「姉ちゃんも意外に尽くすタイプだよね」

「当たり前だべ!オラの娘だぞ!」

「「………」」

「何か言いたげだなぁ?2人共?」

「「別に?」」

チチの睨みに悟天はそそくさと離脱し、悟空は視線から逃げながら茶を淹れてそれを啜っていると悟飯とビーデルが出てきた。

悟飯がレッドリボン軍の騒動の際に家の壁を破壊してしまったので直るまでは実家に世話になることになった。

「おはようございます。あれ、姉さんは?」

「悟林は材料を採りに行ったぞー」

「へえ、今日何かありましたっけ?」

「ビッグイベントに決まってるべ!悟林がトランクスに料理を振る舞いに行っただよ!愛妻料理だべ!愛妻料理!!」

「今日、悟林。あっちに泊まってくってよ」

悟飯は両親から与えられる情報を脳が処理するのを拒否する。

あの姉が?

恋愛や結婚にまるで関心を持たず、トランクスと交際をしてもずっと道着や修行道具が恋人みたいな変人な姉が?

交際相手の家に泊まって手料理を振る舞うとか恋人らしい行為を?

昔の姉を知っている悟飯からすれば昔と今の違いに頭がおかしくなりそうだった。

「嘘だっ!!!!」

悟飯の叫びがパオズ山中に響き渡り、鳥は飛び立って眠っていた獣は飛び起きた。

そしてあまりの音量にビーデルと悟空とチチはひっくり返ってしまう。

「な、何だよ悟飯?でけえ声出して…」

あまりの音量に耳がイカれそうになった悟空がフラフラしながら起き上がる。

「これは異常事態ですよ!姉さんが彼女らしいことをするなんて全宇宙の危機の前兆です!!」

今の姉は何かがおかしい。

きっと質の悪い病気になってしまったのか、それとも全宇宙の危機の前兆なのではないかと思ってしまう。

「悟飯君、それはお義姉さんに対して言い過ぎ」

「そうだぞ悟飯、おめえ姉ちゃんの幸せを素直に喜べねえのけ?」

ビーデルとチチは溜め息を吐きながら悟飯を宥めるが、普段の姉を知るからこそ悟飯は現状を受け入れられないのだ。

「大体みんなどうしてトランクスとの交際を普通に受け入れてるんですか!?あの姉さんですよ!?闘うことと修行にしか興味がなかった変人の姉さんがですよ!?姉さんに恋人が出来るだけでもおかしいのに恋人らしいことをするなんて有り得ないでしょ!?」

何故みんなはトランクスの彼女としての悟林を普通に受け入れているんだと困惑する悟飯だが、ビーデルとチチの視線は冷たい。

「それを鈍感でデリカシーのない悟飯君が言うんだー?」

「少なくても悟林はおめえだけには言われたくねえと思うだよ。全く、どの口が言うだ…大体昔のおめえよりは恋愛に関して悟林は分かってたからオラ達からすればおめえの方がびっくりだべ」

何せビーデルは天下一武道会に備えての舞空術を教えてもらう時にも悟飯のデリカシーゼロのお言葉を頂戴し、早く進展して欲しいチチからすれば悟飯が失言しないかヒヤヒヤしていたこともある。

「ですよねー、お義母さん。悟飯君が鈍感だからお義姉さんに色々手伝ってもらいましたしー」

「うぐ…」

少なくても興味や関心がなかっただけなので悟飯よりは恋愛と言うのを理解していたし、悟飯は知らないが悟林はブルマの(面倒臭い)恋愛相談もしたことがあるので悟飯にだけは絶対に言われたくないだろう。

妻と母からの冷めた視線に悟飯は呻く。

「悟飯、おめえもあんまり姉ちゃんのこと悪く言うもんじゃねえぞ」

悟空からも珍しく叱られ、悟飯はしょんほりである。

「だって…今の姉さんは僕の知ってる姉さんじゃないみたいで…」

悟飯からすれば姉の悟林は昔から…いや、超サイヤ人への変身が出来るようになってから闘いや修行にしかあまり関心を示さないので今の姉が、トランクスとの時間で楽しそうに笑う姉が自分の知らない別人と思えてしまうのだ。

「そりゃあ、おめえとトランクスは違うだろ?おめえが姉ちゃんの悟林しか知らねえようにトランクスしか知らねえ悟林だっているんだしよ」

そもそも悟林が悟飯に一番厳しく接するのは中途半端なことばかりするからだ。

修行をしたかと思えば勉強や仕事に傾倒したりと半端なことを続けるくらいなら戦士を引退して普通に学者をして欲しいと思っているのだ。

悟林からすれば別に悟飯が闘わなくとも自分達が負ければ地球は終わりなのだし。

実際、悟林は悟飯の仕事に関しては父親としての姿勢が悪くない限りは一切否定はしていない。

「悟飯、おめえだって姉ちゃんに幸せになってもらいてえだろ?だからあんまり悪く言うもんじゃねえぞ?良いな」

小さい子供を論すように言う悟空にチチは父親らしい悟空が見れて嬉しそうだ。

チチとビーデルから追い出された悟飯は町へ行って落ち込みながらお気に入りのアイスクリームを食べていた。

「悟飯、どうしたんだお前?」

「何を落ち込んでるんだい?」

「あ、クリリンさんに18号さん。」

声のした方を向くと買い物でもしていたのか、クリリン夫婦がいた。

「どうしてそんなに落ち込んでるんだ?話してみろ、困ってるなら相談に乗るぞ」

「その…実は…」

取り敢えず朝のことを話すとクリリンは苦笑した。

「まあ、悟林ちゃんは本当に闘うのが好きだからなぁ。でも悟飯も少し言い過ぎたな?悟飯、お前は悟林ちゃんに幸せになって欲しくないのか?」

「そ、それは…し、幸せになって欲しいですけど…」

「なら、余計なことは言わずに祝ってやれよ。悟林ちゃんがお前に対して厳しいのはお前のためでもあるんだぞ」

「え?ええ?そうですか?」

正直、悟飯にとって今の姉は厳しくて怖い存在だ。

しかし18号から見れば言い方はキツいがチチとは別方向で過保護に近い対応をしている。

「それはそうだろ?私も双子の弟がいるから悟林の気持ちも少しは分かる。有り得ないけど、もし17号が頼りないか優柔不断なことしてたら私でも2~3は言ってるよ」

色々とドライな姉弟関係だが、何やかんや互いのことを気にしているのだ。

あの性格が極悪人の未来の2人でさえ未来悟飯達に破壊されるまで一緒にいたのだし。

「悟飯、悟林は確かにあんたに厳しいかもしれないけどね。それはあんたのことをしっかりと考えてるってことさ。もしあんたのことが本当にどうでもいいなら相手にすらしないよ。気にかけてもらえるだけ大事にされてるんだ。もっと悟林のことを考えてやりな」

18号はかつての自分達を思い出す。

昔の自分達は札付きの不良で誰からも必要とされてなかった。

そんな自分達の手を取ってくれたクリリンと顔も名前も知らない弟の妻には感謝している。

もし、自分達の手を取ってくれる存在と出会えず、目的すらなかったらきっと八つ当たりのように何の関係もない人々を攻撃していただろう。

「は、はい…」

「それにしても悟飯、トランクスが赤ん坊の頃の時もそうだけどよ。お前口ではそんなこと言いながら本音は大好きなお姉ちゃんがトランクスに取られて悔しいんだろー?見た目によらずシスコンだなーお前」

「ち、違いますよ!ぼ、僕はただこれから姉さんに振り回されるかもしれないトランクスが心配なだけで…」

クリリンにからかわれた悟飯は顔を真っ赤にしながら叫ぶと2人はからかうように笑った。

「「嘘だな」」

「本当ですってばー!!」

悟飯の叫びにクリリンと18号は笑い、そして18号はクリリンに優しく微笑んだ。 
 

 
後書き
良く良く考えたら家族として過ごした姉弟の時間は原作悟空と大して変わらんのか 
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