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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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孫家の一時

 
前書き
某忍者漫画のネタ体術奥義。 

 
悟林は今日もパオズ山で畑の整備をしていた。

修行している時も楽しいがこの作業をしている時も中々楽しいので恐らく性に合っているのだろう。

「よし、良い時間だし、悟天。おやつだよ」

そしておやつの時間になり、手伝ってくれていた末の弟にこっそり用意していた焼き菓子を与えると悟天は喜んで受け取ってくれた。

「ありがとう姉ちゃん!」

焼き菓子を美味しそうに頬張る悟天を悟林は優しく微笑む。

死んでいる時に生まれたが、父親に瓜二つなのもあってすぐに弟と受け入れることが出来た。

全くこの可愛げを口先だけの生意気な双子の弟に分けて欲しい物である。

畑仕事を終えて自宅に戻ると悟飯がピッコロに耳を引っ張られて外に連れ出されていた。

「あれ?ピッコロさん、悟飯が何かやらかした?ちょっと悟飯!何をやらかしたの!?正直にお姉ちゃんに教えなさい!!またグリーンダサイマンみたいな見ていて恥ずかしい奇行を町のど真ん中でしたんでしょ!?」

きっとこの愚弟はあの頭のおかしい変態衣装を着て奇行を繰り返したか、それともまたおかしな奇行をしたのだと確信して悟飯に詰め寄った。

「何で僕がやらかした前提になるんですかぁ!?それとグリーンダサイマンじゃなくてグレートサイヤマンです!!ピッコロさんに少しは修行しろって連れ出されたんですよ」

「何だ、ピッコロさん。馬鹿で感性が狂ってる愚弟だけど厳しく扱いてやってね」

単なる悟飯の自業自得だと理解した悟林は興味を失って家に帰ろうとした。

「待て、お前は悟飯の相手をしろ」

「ええ!?」

「嫌だよ」

「ええっ!?」

ピッコロの言葉に驚き、それを却下した悟林に悟飯は更に驚いたが、悟林からすれば悟飯と手合わせする理由も利点も1ミリもないのである。

「だって悟飯ちゃんと手合わせして私は何を得られるの?単なる力押ししか能がない馬鹿とやるのは面倒でしかないし、第一やる気のない奴とやったって意味がない。大体悟飯より私の方が強いんだから私がやられた時点で悟飯には何も出来ないと言うわけで泣き虫弱虫根性なし悟飯ちゃんは今まで通り部屋の隅っこで勉強してれば?」

馬鹿にしたように優しく言う悟林に流石の悟飯もムカッとなった。

「い、言いたい放題言って…!僕が勝ったら二度とそんなこと言わせませんからね!!勝負だ姉さん!!」

「いや、やらないって言ってるでしょうが全く。こんな挑発に乗るなって 一応お前戦士でしょうが」

怒っている悟飯と対象的にこんなあからさまな挑発に怒る悟飯に呆れる悟林は一定の距離を取り、悟飯は構えた。

「行きますよ姉さん!」

「お前はもう少し頭を冷やすことからやり直した方が良いね」

懐から何かを出す仕草をする悟林に悟飯は警戒する。

「(何を出すんだ?まさか姉さんが武器を!?)」

そして懐から出したのは1冊の漫画本であり、それを読み始めた。

「…何ですかそれ?」

「悟天が貸してくれた漫画。何でも大人気の忍者の物語らしいよ。ああ、別に気にしなくて良いよ。お前程度なんか漫画読んでようが何も変わらないから」

「ひ、久しぶりに…心の底からイラッとしたぜ…!姉さーーーんっ!!」

怒りに任せて潜在能力を解放した悟飯は完全に自分を舐めきっている姉に突撃する。

「そんな馬鹿正直な突進が通用するわけないでしょ阿呆」

悟飯の拳をかわして頭上を飛びながら悟飯の後頭部を後ろから蹴り飛ばし、あまりの痛みにしゃがむ悟飯の背中にまるでボールを蹴るかのような蹴りが入って吹き飛ぶ。

「うわあっ!?」

近くの木に勢い良く激突した悟飯を気にせずに漫画を読み、漫画の戦闘描写に感心する。

「へえ、こんなのもあるんだ。」

「こんのーーーっ!!」

先程よりもスピードを上げて突撃し、悟林は悟飯の猛ラッシュを片手で捌きながら漫画を読む。

やはりパワーがあっても技術が父親やベジータどころか他の仲間と比べても全く足りていない。

ブウとの闘いがあっても全く懲りていないのだからある意味悟空よりも楽天家だ。

悟飯の背後を取って大振りな回し蹴りを叩き込むと悟飯は勢い良く地面を滑っていく。

「お、これ使えるかも…」

「く、くそお…いい加減にしろーーーっ!!」

どれだけ攻めても漫画を読むのを止めない悟林に怒りの頂点に到達した悟飯は全霊の力を拳に込めたが、それもあっさりとかわされて背後に回られて悟林は漫画を閉じて両手を組んで人差し指を立て、指に強大な気が収束されていく。

「仮にも戦士が何度も後ろ取られんな馬鹿。何とか秘伝体術奥義!✕年殺しーーーっ!!」

手を組む。

両方の人差し指だけを突き立てて狙いを定める。

相手のお尻にブスっとな。

漫画読む限り単なる“物凄い急所攻撃”である。

ただし超人の超上澄みの悟林の無駄のない速度と動き、そして鍛えられた指と指先に収束された気と駄目押しと言わんばかりの界王拳によってその威力は正に必殺を超えた超必殺。

指が刺さった瞬間に指先の気を解放し、凄まじい轟音と共に煙を上げて上空へと吹っ飛んでいった。

「うぎゃあああああああっ!!」

悟飯の悲鳴と共に星となり、悟林は近くの水場で手を洗って漫画の続きを読んだ。

手合わせを見ていた悟天と通りすがりの悟空は爆笑し、ピッコロは吹っ飛んでいった悟飯に関心も示さずに漫画を読み続ける悟林に溜め息を吐き、実力差があり過ぎると頭を悩ませながら悟飯を探しに行った。

「うん、面白い……かも?」

流石に夢中になる程ではないが、悟天が夢中になるのも分かると思って悟天に漫画を返した。

「姉ちゃん面白かった?」

「うん、まあ…面白かったよ」

面白いと思える部分はあったし、嘘は言っていない。

「なあ、悟林?悟飯ちゃん知らねえだか?」

「知らない」

何せ今回挑んできたのは悟飯の方なのだから詳細を話して理不尽に怒られて探す羽目になるのは御免被る。

一方悟飯はピッコロに回収されて動きがあまりにも直線的過ぎるなどの説教を受けており、尻の激痛に耐えながら聞いているのであった。

そして数時間後、デンデの治療を終えて戻ってきた悟飯はチチに遅く帰ってきたことを叱られていた。

「一体どこで遊んでただ!?最近グリーンヤサイマンばっかやってっから成績落ちてるし、これ以上成績が落ちるならグリーンヤサイマンは禁止だべ!!」

「そ、そんなぁ…グリーンヤサイマンじゃなくてグレートサイヤマンです…」

「そんなことはどうでもいいべ!しばらくグリーンヤサイマンの変身装置は没収するだ!!」

「ああっ!!」

チチに変身装置を没収された悟飯は落ち込んでいたが、しばらく変態衣装を見なくて済むので目に優しい日々が続くのであった。

「ねえ、お父さん。今日はヨカッタネ大根植えようよ。あれはすぐに成長するからさ。」

悟飯の奇行を見ずに済んでいるので悟林の心は雲1つない青空や星空のように穏やかである。

「(何か機嫌良いなぁ)そうだなぁ。あれは味が濃くて美味えもんなぁ。成長したらチチに煮物にして貰おうぜ!」

「僕も手伝う!!」

「ありがとう、悟天。そろそろパオズ山の秋の味覚も良い頃だろうし、栗とか拾っていこうか、3人は何食べたい?」

栗だけでなく木の実や茸も大量にある。

サイヤ人でも満足する自然の恵みがこのパオズ山にもあるのだ。

さつまいもも美味しい季節だろうし、腕によりをかけて可愛い弟や尊敬する父、そして何時も苦労をかけている母に作ってやろう。

「オラ、栗ご飯が良いなぁ!」

「僕はモンブラン!」

「うーん、オラは栗きんとんだべか…」

バラバラだが3人はきっと喜んで食べてくれると分かっているからこそやる気が出る。

悟飯は適当に余り物で良いだろう。

3人は早速外へと飛び出し、チチは娘達が取ってくる食材を調理するために道具を出し始めた。

「うんうん、これが家族ってもんだ」

これからもこんな幸せな時間が続けば良いとチチは願った。

パオズ山を散策し、早速悟林は栗やら木の実を収穫していき、悟空と悟天も美味しい栗料理を食べるために収穫する。

しばらく探して集合時間になると3人が集まり、栗拾いの成果を見せてくれた。

「僕、こんなに拾ったよ!」

悟天の籠には大量の栗が入っており、悟林は無邪気な弟に微笑みながら自分の成果を見せた。

「私もたくさん拾ったよ。後は木の実とか茸とか」

悟林は悟天以上に栗を拾っており、美味しそうな木の実も茸も籠に入っていた。

「へへ、オラも大量だぞ」

悟空も籠に大量の栗が籠に入っており、しかも大きな猪を仕留めていた。

どうやら冬眠の前に餌を求めていた所を悟空に仕留められたようだ。

「ふふ、どうやらお父さんに負けたようだね悟天…悟天?」

本来なら素直な性格故にすぐに返事を返してくれるはずの弟が頬を膨らませていた。

「僕が一番少ない」

「「へ?」」

「僕が一番少ないよ」

それを聞いた悟空と悟林は顔を見合わせた。

悟林は栗の量こそ悟天と大差ないが、木の実や茸で差をつけており、悟空は2人より多く栗を収穫しており、でかい猪まで仕留めているので確かに一番少ない。

不機嫌になっていく悟天に悟空と悟林は幼さ故のプライドを刺激されていることに気付いて慌てた。

「た、確かに悟天が一番少ねえけどよ…あ!でもオラも悟天くれえの時は全然採れなかったんだぞ!姉ちゃんだってそうだし!なあ!?」

「え?そ、そうそう!お姉ちゃんも悟天くらいの時は全然採れなかったんだよ。悟飯に至っては悟天と比べること自体がおかしいくらいに悲惨だったもん!」

「え?お父さん達が?そっかあっ!!」

機嫌が良くなる悟天だが、悟空も悟林も悟飯も悟天くらいの年齢の時から今と同じくらい採っていた。

だが、機嫌が良くなっている悟天を不機嫌にする必要はないと思いながら無邪気に家に帰ろうとする悟天を2人は優しく笑みを浮かべながら追い掛けた。 
 

 
後書き
因みに私は栗は甘露煮が好きです 
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