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博士の挑戦状

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第百八十五話

                第百八十五話  件の男
 ブリーフ13への包囲網は狭まっていた、このことはブリーフ13自身よく認識していてであった。
 協力者のアジトの中でだ、協力者に言っていた。
「このままではだ」
「あんた捕まるな」
「それも仕事の話ではない」
 剃刀の様な目で角刈りの顔で言った。
「痴漢や変質者としてだ」
「捕まえられそうだな」
「俺は変質者ではない」
 ブリーフ13は言い切った。
「決してな」
「そ、そうか」
 協力者は彼の裸ネクタイに白ブリーフ一枚のその恰好を見て述べた。
「あんたがそう思うならそうだな」
「それでだ」
 ブリーフ13はさらに言った。
「どうすべきか考えたが」
「どうするんだい?」
「今ならまだ間に合う」
 だからだというのだ。
「今のうちに去る」
「神戸をか」
「そうする」
 こう言うのだった。
「そのつもりだ」
「その方がいいな、警察も本気だしな」
「日本の警察は優秀だ」
「あんたなら大丈夫だと思うが」
 捕まらないというのだ。
「鬱陶しいしな」
「今のうちにだ」
「逃げるんだな」
「神戸を去る」
 こう言うのだった。
「今すぐにな」
「ああ、じゃあ手を貸すぜ」
「いや、いい」
 協力者の協力は断った。
「今なら充分にだ」
「逃げられるか」
「だからだ」
 それでというのだ。
「今のうちにな」
「逃げるんだな」
「そうする」
「一人でだな」
「そうだ、ではな」
 ここまで言ってだった。
 ブリーフ13はすくっと立った、そうして真夜中に一人密かに神戸の山中に入って山道を通って神戸を後にしたのだった。


第百八十五話   完


                   2024・7・19 
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