バイオハザードなんてクソくらえ!【未完】
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第3話
第1.5話 「自分の名前は言えるかな?」「私の、名前は…」
〜〜アンブレラ社 医療研究所〜〜〈サミュエル・ゼノビアSIDE〉
私は彼女へ畏敬の念を浮かばざるを得ない。いや違う、私は畏敬の念を打たれた。アンブレラがラクーンシティに核ミサイルを発射し、壊滅させてから三週間が経過。
最初はラクーンシティが壊滅される前に「ある種のウイルスが広まった」と報道されたがその後、核ミサイルの爆発も市内の原子力発電所の老朽化した原子炉がチェルノブイリ原子力発電所事故と同様にメルトダウンを起こしたと偽証。
いやはや、アンブレラの真実を捻じ曲げる能力には、驚嘆に値するな。
驚嘆はそれだけでは無い。なんとあのラクーンシティから脱出に成功した人間が極わずかではあるが居たのだ。それも核ミサイルを発射された最中、又はラクーンシティへの着弾とほぼ同時に…。
その内の一人、アリス・アバーナシーは生き残ったが彼女はもう少しの所で死ぬ所だったのは危なかった。
というのも私は墜落現場に直接、部隊と共に赴いた。墜落場所はアーレイク山脈のラクーンシティ郊外の所にある滝が落ちる一番下の所にある岩場。
アリスの他には大人三人と少女一人がC89ヘリに乗っていた筈だが、遺体すら無いとはどうなっていることやら。アリスを発見出来ただけでもよしとするが…しかし、あの時は実際、彼女は死んだようにも見えた。
アリスは少し大きい金属の破片に貫かれていた。普通の人間なら即死だろう。
だがしかし”普通”では無い彼女はこうして、私の目の前にあるガラス製タンクに、滋養液をタンク中に満タンにした中で浸かっている。呼吸装置込みで。
「ゼノビア博士、アリス・アバーナシーが覚醒寸前となりました」
気持ち良さそうに浸かっているなアリス。自分が一方的に思っているだけだが。
「しかし、彼女には驚かれますね。普通の人間が負えば致命傷どころか死すら至るというのにすっかり完治してしまうとは。驚きですわね」
「同感だ。カヤナン博士」
自発的に再生でも限度があると思うがアリスは特別な人間であるからな。
私はタンクに歩み寄った。手を触れた時、アリスの瞳がパッと開いた。…一瞬ビビって後ずさりそうになったのは私だけの秘密だ。
「聞こえるかね?私の言葉が分かるかい?」
アリスは私の方を向いて、頷いた。ならばよし。
「コール。滋養液の排出を開始しろ」
彼は頷き、手元のキーを叩き始める。彼による操作によって液が引き始め、暫くすると液体が全て無くなったと同時にタンクの全部が垂れ幕にように開き、アリスは床に投げ出された。痛そう。
私はアリスが生まれたままの姿であることを再認識し、警備員から白衣を貰い、アリスへ差し出した。アリスは震える身体にソレを巻き付けた。
私はアリスの隣に座り、アリスのブロンドの髪を撫でて優しく彼女の手を擦りながら握った。アリスはキョロキョロと見渡している。私へ問おうと頑張ろうとするも声で出てこなかった。おそらく「…こ、此処は、何処…?」と言いたいのだろう。
「何処かって?心配は要らない。此処は安全だし、君自身も安全だ。さぁ、立ってごらん」
私は立ち上がり、彼女も立ち上がったがよろめいた。無理も無いな。三週間も自身の足で立っていないし歩いていないのだ。アリスは私の身体に寄りかかり、私は彼女を支柱のところに導いた。
「ほら、ここならしっかりと立てることだろう」
アリスの瞳は途方に暮れていた。人形のように表情が無いのを見ると、コレまでの事を覚えているか正直怪しすぎると感じざおえないな。ん?
「おや?彼の持っている物が気になるのかい?」
私の問いかけにアリスは頷いた。
どうやら私の隣に立っているドイルが今していることが気になるようだ。
ドイルが今しているのは近くのモニターを読み出しながら自身が持っているクリップボードのリストをチェックする仕事だ。
私は彼からクリップボードとペンを素早く掴んでアリスへと見せる。
「コレが何か分かるかな?コレはペンだ。ほら、こんな風に使うんだ」
「ペ…ペン?」
「やってごらん」
私は一言一句ゆっくりと明確にアリスへ喋り、ペンの機能を示す為、チェックリストやメモ欄に文字を書いていく。その後、クリップボードとペンを渡して、やってみるよう促した。アリスは直ぐに受け取り、アリスはペンを短剣を扱うように持ち、チェックリストの紙をくねくねと書いた。
関係の無い話になるが、くねくねは確か日本の怪談で登場する存在だったか。…仕事に戻ろう。
しかし、この様子を見るにまるで幼い子供、それこそ無垢で何も知らない状態に見えるな。確認が必要だ。それも基本的な事から。
アリスからペンとチャックリストを取り上げて、手持ち無沙汰のドイルに返却。私はアリスの頬を両手で添えるように撫でるように当てた。
「私を見てくれ。君の名前は何だ?何か覚えているかな?」
「私のーー名前は…私の名前は……」
アリスはこの言葉の意味を頑張って掴もうと繰り返した。この様子を見ると応援したくなるな。頑張れ!っと。
アリスは回復に絶賛向かっている。正確に言えばほぼ回復した。なれば次に為すべきことは…、
「彼女を24時間監視下に置くこと。今日中に血液検査一式と電解質の分析を出しておいてくれ」
「ゼノビア博士ッ」
後はそうだな。上級反射テストに電気インパルスの観察も実施して欲しいな。
「事前の上級反射テストを必ずやっておくんだ。それから電気インパルスのモニターしてくれ」
「ゼノビア博士!」
コール君、どうしたんだ?落ち着け。まぁ、彼へと振り返っていないから声音で判断しているだけだが。
「ゼノビア博士!」
コールが悲鳴にも近い声で叫んだ。私は溜息を付きながら彼へ近づいた。
「本当にどうしたのだ。一体何だ?」(呆れ口調)
「そ、それが、彼女…っ」
彼女が何だって?まさか彼女の名前が分からないなんて言わないよな?
「私の名前はーーーアリス」
ほら、君のおかげで本人が名前を低い声で言ったじゃないか…本人?私はパッと振り返った。
「フン…。”何もかも”覚えてるわ」
アリスがニヤリっと笑った。同時に敵意や殺意と言った視線と感情を私に向けている。
記憶が戻ったのか!いやそれにしても何故、私に敵意と殺意を向けているのか。
心当たりは…凄いあるな、ありまくりだな。
アリスはドイルが持っているペンを掴み、目にも見えない程のスピードでドイルの瞳寸前に止めて、肘タックルを食らわせてその一撃の元でドイルを倒した。
あっという間だな、と呑気に思いながら私はこの場から立ち去りたがったのだが気がつくと腕を掴まれて、投げられるくらいの勢いでタンクに衝突し、タンクが粉々となり、そしてガラスだらけの床に勢いよく倒れてしまう。痛すぎる。
「キャーッ!?」
「ぐわーッ!?」
「スタンガンを喰らえ!…あれ?効いてない?あ、俺に帰ってきた。ということは俺、気絶しちゃう?…タァアアア!!」バタン
…気絶したフリをしよう。気配でアリスが立ち去ったと分かったら顔を上げて、状況把握に努めよう。
しかし意識が朦朧としているな。私は痛みを堪えて意識を保とうとするが容易では無いな。だがそれでも!
アリスはこの場から立ち去ったようだ。
私は倒れた姿勢のまま、顔を上げた。監視モニターを見上げると行方不明だった筈のSTRAS所属ジル・バレンタイン、元UBCS隊長カルロス、民間人のL・J、そしてアッシュフォード博士の娘であるアンジェラと共に脱出したようだ。
「大丈夫ですか?」
この場に駆けつけた医者が馬鹿げた質問をしてきた。大丈夫だと?お前の目には大丈夫に見えるのか!
「心配を掛けてくれてありがとう」
まぁ私は偉いからな。今のこの感情は自分の腹に収めて置こう。私は医者の手を借りて立ち上がり、医務室に向かいながらコールに話し掛ける。
「この医療研究所を引き払い、デトロイドの施設に移るぞ。あぁそれと、アリス計画の始動も忘れるな」
アリスはアンブレラにとって必要な存在だ。取り返さねば。
それにしてもな、感染はラクーンシティで止めれた。それなのに何故か拭えないのは自分でも不思議だな。
第2.0話 「終末、来ちゃった♪クソ!!」
ラクーンシティは始りに過ぎず、一ヶ月でアメリカ全土に感染が広まり、数ヶ月で世界中に広まった。終末、来ちゃった♪。なんで「♪」だよ。違うだろうックソ!!
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