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ハッピークローバー

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第百四十四話 教会に行ってその三

「人間が偉いなんてね」
「ないね」
「ええ、それに」
 一華はさらに言った。
「この人のこと聞いて何が偉いか」
「そうそう、全然わからないよね」
「だって働いてなくて」
 それでというのだ。
「いつも怠けていて」
「働いてないからお金もないし」
「それで技能だってね」
 これもというのだ。
「ないし」
「資格とかね」
「それで学歴のお話するとあれだけれど」
「そっちもないんだよね」
「レベルの低い高校出て」
「何でもね」
 達川も言った、この人のことはかなり細かいことまでわかっていて彼等もまたよく知っているのである。
「それで就職して」
「三年位で辞めてね」
「それから失業保険頼りで」
「切れそうになったらまた働いて」
「貰える位働いてまた辞める」
「それで失業保険切れそうになったら」
「それの繰り返しで」
 そうした人生でというのだ。
「まともに働かないで」
「技能も資格もなくて」
 一華はどうかという顔で言った。
「財産もないし」
「普通の家の長男さんってだけでね」
「人脈、お友達もなくて」
「そうらしいね」
「慕う人もいないし」
「というか誰からも相手にされてない」
「そんな人がね」
 まさに何もないがというのだ。
「何処が偉いのか」
「俺わからないよ」
「私もよ。長男さんだから?」
「いや、俺も長男だよ」
 それを言うと、とだ。達川は一華に言った。
「それ言ったら」
「同じね」
「けれど偉いなんてね」
 それはというのだ。
「本当にね」
「ないわね」
「ないよ」 
 一華に真剣な顔で答えた。
「それこそね」
「全くよね」
「ないから」
 それこそというのだ。
「帆等にね」
「誰もがそう思うよね、何でもね」
 一華は首を傾げさせながら言った。
「本好きで」
「知識はあったみたいだね」
「けれどそんなことでね」
「偉いか」
「ものを知ってる人なんて」
 それこそというのだ。
「この世にいくらでもいる施学者さんなんて」
「凄いよね」
「そっちのプロだから」
 知識を蓄えることについてというのだ。
「そうだからね」
「凄いよね」
「それで本読むだけだと」 
 一華は首をまた傾げさせて言った。 
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