ハッピークローバー
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第百四十四話 教会に行ってその二
「わからない位にね」
「酷い人よね」
「働かない、何もしない出来ないで」
「偉そうにしているだけで」
「何も身に着けていなくて感謝も遠慮もしなくて」
忌々し気にさらに言った。
「他の人の為に何かをしたこともない、世の中の役にもね」
「立ったことなくで」
「それでね」
そうした様でというのだ。
「何の為に生まれてきて」
「生きて来たのか」
「迷惑かけてばかりで」
「周りに」
「そんなのでね」
「生きて来た意味ないわね」
「そうだよ、そんな人になる位なら」
それこそというのだ。
「人生やり直した方がね」
「いいわね」
「そう思うよ、まあその人はそんな発想もね」
「ないわね」
「そう思えるのが不思議だけれど」
一華にこう前置き話した、並んで立って吊り革を握っている彼女に。
「この世で一番偉いって思ってるしね」
「それじゃあやり直すなんてね」
「絶対にね」
何があろうともというのだ。
「ないよ」
「そうよね」
一華も確かにと頷いた。
「そんな人はね」
「そもそも偉くて何か」
「それで?よね」
「大体人として偉くても」
そうであってもというのだ。
「神様仏様にはね」
「とても及ばないわね」
「及ぶ筈がないよ」
絶対にというのだ。
「絶対にね」
「そう思うのが普通ね」
「この人信仰心もなかったんだね」
「天理教でお世話になっていて」
「それでもね」
宗教の世界の中にいてもというのだ。
「全くね」
「信仰心もなくて」
「それでそう思えたのね」
「自分がこの世で一番偉いって」
その様にというのだ。
「思ったんだね」
「いや、普通にね」
一華は顔を顰めさせて言った。
「人間なんてちっぽけよね」
「皆ね」
「神様仏様と比べたらね」
「誰だってね」
「うちの学校イスラムの子も多いけれど」
「あの宗教神様が凄く強いからね」
「アッラーね、それこそね」
この神がというのだ。
「全知全能で」
「この世の全てを司る」
「そうした存在で」
一華はそれでと言った。
「そのアッラーの前だと」
「人間なんてね」
達川も言った。
「どんな人でも等しく小さい」
「そうした教えなのよね」
「そうなんだよね」
「そうした宗教もあるし」
それでというのだ。
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