故郷は大空にあり
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第五話 記憶
「ねぇねぇ、F/A18ちゃん」
「なんですか」
「みてみてぇ!これぇまだまだここが栄えてなかったころの…」
「別に今でも栄えてはないでしょう。」
「あはは…F/A18は辛辣だね」
「でも、きっとここも栄えるから!栄えなくても、奇跡が何とかしてくれるから!」
「奇跡なんて存在しないんですよ。いい加減現実を見たらどうなんですか?
ましてやあなたは中隊長でしょう?奇跡などとありえないことを言わないでください。」
「え、F/A18ちゃん…そこまで言わなくても…」
「いい加減にしてください、中隊長としての責任の重さを知ってください!」
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「……ちゃん?……A18ちゃん…F/A18ちゃん!」
「うゔ…ゆ…め?…夢なの?」
「大丈夫?うなされてたけど」
「う、うん、大丈夫…だよ、絶対、恐らく、メイビー、多分」
「大丈夫じゃないって、ほら、体温計」
「あ、う、ありがとう」
「無理しすぎたらダメなんだよ?悪夢を見るのはストレスが原因なことが多いんだから。」
「分かってるけど…」
ピピピ
「ん、36.7…熱は無いのか。」
「だから大丈夫だって…ちょっとうなされてただけだし…」
「ちょっとじゃないよ!」
「んう…提督の所へ行かないと…」
「大丈夫だから!私から提督に事情は伝えとくから!ね?」
「でも…」
「でもじゃないよ、身体を壊してからじゃ遅いんだから!」
「うぅ…」
「ま、そういうことでいいね!今ご飯作ってくるから待ってて、」
「SU30…私が作るから…」
「ほら、ベットから降りちゃダメでしょう?」
「頭が痛い…」
「いつも遅くまで起きすぎなの、いつも基地で休めてないでしょ」
「休めてないって言うか…休みたくないんだよ」
「どういうこと?」
「少しでも夢に落ちそうになると、思い出す…」
「?」
「私の…先輩のことを。私が…殺した…先…先輩を」
「だ、だ、大丈夫?」
「私が…あんなことを…先輩を…何もかもが無駄だ…亡くなった人は帰ってこない…」
「そ、そうだけど!でも新しい出来事、新しい友達、それに、出会えなかった場所だって」
「先輩は亡くなってしまったのに…私は…私は!他人に助けられる形でまた生き残ってしまった…
私なんか…」
「大丈夫、私は…そばにいる。ずっと、ずっとね。」
「私…は、大丈夫。」
「F/A18、こっち向いて」
「…?」
「ん」
「なに、これ」
「まあ、持っておきなよ。(F/A18にマフラーを貰ったお礼だけどね)」
「わか、った…持っておくね」
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「落ち着いた?」
「う、うん、ごめんね?なんか」
「大丈夫だよ。助け合い、でしょ?」
「そうだよね、」
「これ、経口補水液なんだけど…心配しすぎてたかな?」
「いや…うん…」
「まあいいや。今日一日はあんまり考えない、自己否定しちゃダメだからね。」
「わかった…ありがとう」
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