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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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孫家

 
前書き
ちょっとした未来の話と募っていく戦闘欲求と繋がってますよ。 

 
悟林はトランクスとの結婚式を控えており、自宅で不思議な気分を感じていた。

未来トランクスと初めて会った時、未来の情報とトランクスのことを知った時、未来の自分が鍛えたなら自分も鍛えようと思い、赤ん坊のトランクスを抱いた時、何となくだがトランクスの潜在パワーを感じてその才能を伸ばしてやりたいと関心を示すくらいにはトランクスの存在は大きくなった。

セルとの闘いで2回目の死を経験して生き返れなくなり、生き返るつもりもなかったのでトランクスを鍛えてやれなかったのは残念だったが、仕方ないと割り切った。

しかし、ブウとの闘いで生き返り、末の弟もいたことので肉体年齢が近いこともあって一緒にいる機会は多かった。

好意を伝えられた時は正直、レッドリボン軍の事件が起きるまでは自分を好きになるような物好きな男の子くらいの感覚だったが。

「天下一武道会で会ってから10年近くも経ったんだもんね。大きくなって当然だよね」

抱き締められた時の体の大きさや固さを感じて、あの時のような小さい子供じゃないんだと改めて感じさせられた。

それまではどこか子供時代の付き合いの延長線みたいな感じで少し悪いと感じてしまった。

「昔は嫁の貰い手なんて要らないなんて言ってたのになぁ。そう言えばトランクスさんと会う前に昔ベジータさんと手合わせしてブルマさんに叱られたっけ、まさかベジータさんがブルマさんと結婚して私がブルマさんの子供のトランクス君と結婚するなんて何か変な感じだなぁ」

あの時のベジータは“サイヤ人は恋愛はしない”と言い、自分は“嫁の貰い手なんて要らない”とか言っていたのに自分達を叱ったブルマとその息子と繋がりを得るなんてあの時は夢にも思わなかった。

もし当時の自分とベジータが知っても絶対に信じなかったに違いない。

「そう言えば、明日の式に悟飯は…来ないだろうなぁ、きっと新種の虫か何かを見つけて研究に夢中に違いない」

どうせ明日は悟飯は来ないだろうと判断し、悟飯を思考の外に追い出した。

昔から恋愛や結婚に対して母親のチチから口酸っぱく言われたせいであまり良い感情を抱いておらず、面倒とすら思っていたのに今はトランクスとの結婚式が楽しみだ。

「ふふ、まさか私が誰かのお嫁さんになるなんてね。覚悟してなよトランクス君。私を惚れさせたんだから、怖いと思えるくらい幸せにしてあげるんだから」

悟林が明日の結婚式のことを思いながら周囲を見渡すと少し殺風景な部屋を見渡す。

「…あんまり使ってなかった気がするけど離れるとなると以外と寂しいもんだね」

何やかんやで幼い頃からの使っていた部屋なので自分でも気付かないうちに愛着はあったようだ。

「姉ちゃん、入るよ」

「悟天?どうぞ」

「姉ちゃんの部屋、相っ変わらず殺風景だねー」

部屋に入ってからの開口一言がそれだ。

実際、男部屋は悟飯の私物や悟天の私物がそれなりにあったのに悟林の部屋には必要最低限の物しかない。

強いて言うなら遊園地デートの時にトランクスに買ってもらったロボットみたいなぬいぐるみくらいだろう。

「だって必要な物さえあれば充分だし」

悟林は悟空に似て物欲がない。

食べ物に目がないが、それはサイヤ人の特性による物だ。

良くも悪くも興味がない物に関心が持てないのだ。

「そのさ、明日だよね」

「うん、そうだよ」

「ね、姉ちゃん!僕とパレスちゃんとの結婚式には絶対に来てよね!絶対だよ!兄ちゃんの時みたいにすっぽかそうとしたら一生口聞かないから!」

本当なら色々と姉に感謝したいのだが、恥ずかしさのあまり自分の結婚式に来るようにと誤魔化すように言うと悟林は悟天の心境を理解しているかのように苦笑した。

「はいはい、安心しなさい。流石に悟天の結婚式にはしっかり参加するからさ」

「な、なら良いんだけどね。その…姉ちゃん…要らない心配かもしれないけどトランクス君と何かあったら僕に言いなよ?僕がトランクス君をぶっ飛ばしてあげるからさ」

正直、トランクスと悟林の力関係を考えると要らない心配かもしれないが、自分を可愛がってくれた姉を親友にくれてやるのだからこれくらいは言わせて欲しい。

「はは、大丈夫だよ。そもそも私が喧嘩で負けると思う?」

「全然全くちーっとも」

純粋なサイヤ人の最強が悟空かベジータなら混血では間違いなくぶっちぎり最強の姉なのだから腕っ節関係では悟天は全然心配していない。

寧ろトランクスが何かやらかそうものなら何やかんや誠実なベジータにぶっ飛ばされるだろう。

「…幸せになってよ姉ちゃん。その、流石に頻繁は困るけど暇な時くらいは修行に付き合ってあげるからさ」

「ありがと」

「そう言えば兄ちゃん来るかな?」

「来ないんじゃないの?」

「いや、姉ちゃん。そこは少しくらいは信じてあげようよ」

正直、悟天も少し…いやかなり心配しているがここまで断言されると流石に悟飯が可哀想だ。

「取り敢えず、お休み姉ちゃん」

「お休み悟天。ありがとね」

悟林が悟天に笑みを浮かべると悟天も笑って部屋を後にし、悟林は少し外の空気を吸おうと部屋を出た時、両親の声が聞こえてきた。

「なあ、チチ。何見てんだ?」

床にアルバムを置いて見ているチチを見た悟空が尋ねる。

「これ見てけれ」

チチが見せたのは悟林の写真が入ったアルバムだ。

写っているのは赤ん坊の頃の悟林である。

「うわー、懐かしいなー」

「明日、悟林の結婚式なんだなぁと思ったら昔のアルバム見たくなっちまって」

写真に写っている悟空に抱かれている赤ん坊の悟林は安心したように眠っていた。

他にも無邪気な笑顔を浮かべている写真や少し成長してお揃いの亀仙流の道着を来て悟空と一緒に写っている写真。

他にもあるがセルゲーム後からブウとの闘いの時までの悟林の写真は当時死んでいたので1枚もなかった。

「こんなに小さかったのに大きくなったべなぁ…」

色々あったが娘が幸せになれそうでチチは嬉しかった。

未来トランクスから聞いた別の未来の娘は幸せを掴む前に闘って死んでしまった。

強敵との闘いの末に死ぬことはサイヤ人からすれば誇らしいことなのかもしれないが、地球人としての幸せをほとんど得られなかった未来の娘の分まで悟林には幸せになって欲しい。

悟空も悟空で小さくて自分に修行をねだっていた時期の悟林の写真に触れる。

「悟空さ?」

「あいつはもう明日からこの家にいねえんだよな…なあ、チチ。悟林の奴…幸せになれっかな?」

悟空も育ちや出生のこともあって普通の父親とは言えないかもしれないが、悟空なりに手塩にかけて育ててきた娘には幸せになって欲しかった。

「なれるに決まってるべ。だってオラ達の自慢の娘だもの、寧ろ地球のために体を張った悟林が幸せになれないなんて神様が許してもオラは許さねえべ」

本来なら幼稚園や学校に行くべき年齢の頃からの地球や宇宙の命運を賭けた闘いに身を投じられたのだ。

しかも7年間も死んだりもしていたし、それだけのことがあったのに幸せになれないなんてチチからすれば許せることではない。

「そうだな、お?これ、みんなで川に行った時の写真だ」

「んだ。懐かしいべな~…」

悟林の写真が入ってるアルバムを見て思い出を語る両親に悟林は不覚にも泣いてしまった。

「(ありがと、お父さん。お母さん…)」

バレないうちに退散し、翌日の結婚式に備えて寝よう。

そして結婚式当日、ウェディングドレスを着た悟林は式を進めて最後にスピーチを読む。

「私の人生は他人からすれば多分結構波乱万丈だったと思います。亀仙人のお爺ちゃんの家に行ったら伯父さんが現れて、伯父さんに拐われてから本当に色んなことがありました。初めての師匠が出来たり、闘って死んだり、死んでいる間に気付いたらここにいない馬鹿弟に彼女が出来てその人と結婚したり、末の弟までいたりして。でもその色んなことがあって、別の未来から助けに来てくれたあの人を含めて、たくさんの出会いがあってこの人と一緒になる今があるんだと思います。私は私をここまで育ててくれた両親やここに来てくれた師匠にも感謝しています。本当にありがとう…お父さん、お母さん、ピッコロさん」

悟林なりの精一杯の感謝の言葉に悟空は嬉しそうに笑みを浮かべ、チチはサイヤ人としての本能もあるとは言え地球のために闘った娘が幸せになってくれたことに泣いていた。

悟天は本当に来なかった悟飯に呆れながらも姉の幸せを願い、ピッコロもサイヤ人との闘いに備えて修行した時の幼かった悟林を思い出し、感慨に耽るのと同時に大口を叩いておきながら姉の結婚式を忘れ呆けている馬鹿弟子への説教を心に決めるのであった。

一方、大口を叩いておきながら来なかった悟飯は案の定、新種の虫を発見してそのレポートの整理に夢中になっていた。

「ふんふんふーん♪︎ふふふのふーん♪︎こんな虫がいるなんてなぁ。ピンチになったら赤く光るなんて姉さんや昔の父さんみたいだなぁ。ん…?姉さん…?今日何かあったような…ま、いっか。すぐに思い出せないってことは大したことじゃないんだろうし。今はレポートレポート。そう言えばビーデルさんもパンもいないなぁ。どうしてだろ?」

姉の結婚式はすっかり忘却の彼方であり、すっぽかしたことで怒り心頭のピッコロからの説教を受けるまで数十分後…。 
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