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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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未来悟飯の馴れ初め

 
前書き
未来悟飯が出会える可能性があるのはあの時期以降だな 

 
未来悟飯は未来ビーデルと共に久しぶりの穏やかな時間を過ごし、ブラックの件で疲弊していた心身もようやく癒されていくのを感じていた。

「どうぞ、もう1人の僕に未来のビーデルさんも」

「ありがとう、悟飯」

「悪いな、気を利かせて」

飲み物を渡すと自分よりも17年後の未来だからなのかは分からないが、まだまだ初々しい自分達と比べて夫婦としての貫禄がある。

「あ、あの…もう1人の僕と未来のビーデルさんはどうやって出会って…いだあっ!?」

デリカシーがない愚弟の足を踏み潰す悟林。

まだ人造人間の脅威が去っていない時期での出会いなのだからきっと思い出したくないこともあるかもしれない。

馴れ初めを知りたいくらいでそんなことを聞くような物じゃない。

「馬鹿、人造人間が暴れてる時に出会ってるんだから思い出したくないことがあるかもしれないんだからそんなこと聞くんじゃないよ。」

「いや、いいよ姉さん。俺達の心の整理はついたしな。俺がビーデルと会ったのは姉さんが死んでからしばらくしてだったな。人造人間がオレンジシティを襲っているニュースを聞いて俺とトランクスが向かったんだ。」

人造人間が暴れた最初は未来トランクスも赤ん坊だったので知らないだろうが、一応軍隊が向かったりした。

しかし当然ながら返り討ちに遭い、そして当時世間一般で格闘技世界チャンピオンのミスターサタンは人造人間の攻撃をトリックと勘違いして無謀にも人造人間に挑み、テレビ中継までされていたのだが、その時のテレビを見ていた超戦士を知る者達からの評価は未来悟飯と赤ん坊の未来トランクスを除いて散々な物だった。

未来悟林からは“世界一のアホ”

未来チチからは“正気とは思えねえな”

未来牛魔王からは“無駄死にするぞ”

未来亀仙人からは“あいつは死んでも良いかもしれん”

未来ブルマからは“馬鹿の世界チャンピオン”

未来ウーロンからは“やれやれ…どうしようもねえ馬鹿だ”

それぞれが未来サタンの評価をした後、人造人間のニュースで映った人造人間と対峙した時の人造人間側の評価も散々な物だった。

トリックだのなんだの言う未来サタンに冷酷な人造人間すら呆れていた。

未来17号からは“何だあいつは?”

未来18号からは“面倒そうなのが来たね”

会ったことのないタイプの人間に困惑していた人造人間。

そして無謀にも人造人間に突っ込んで意味のない攻撃をした後に未来17号は未来サタンを鬱陶しそうにアナウンサーらしき男の方に弾き飛ばした。

あまりの鬱陶しさに遊ぶ気も失せたのか未来サタンとアナウンサーは激突して即死。

人類の希望があっさりと殺されたことに人々がパニックを起こすが未来サタンのせいでやる気が削げたのか未来の人造人間は町を後にした。

未来サタンは人造人間を倒せなかったが、未来サタンのおかげで救われた命はあるのが救いか。

そして未来ビーデルは唯一の肉親である父を喪い、オレンジシティの友人であるシャプナーやイレーザ達と避難生活をしていたが、運悪くオレンジシティが再び人造人間の標的になり、未来ビーデルも友人と共に逃げようとしたが、間に合わずに遭遇してしまう。

“残念だったな、逃げられなくて”

“ふふ、あんた達は運が良いね。私達は今機嫌が良いんだ、あっさりと終わらせてあげるよ”

鞄に服やゲームが入っており、上機嫌な人造人間は手の平を向けてきたが、未来悟飯と未来トランクスが間に入った。

“人造人間!これ以上お前達の好きにはさせないぞ!!”

“ここは僕達が何とかしますから皆さんは逃げて下さい!!”

未来悟飯と未来トランクスの介入に人造人間が辟易したように口を開く。

“何だ、またお前達か”

“折角いい気分なのに邪魔するんじゃないよ。さっさと倒して人間共で遊ぶよ17号”

“姉さんの仇を討たせてもらうぞ!行くぞトランクス!”

“はい!!”

2人は超サイヤ人に変身して人造人間に向かっていった。

そしてオレンジシティで何度も大規模な爆発が起きてしばらくしてラジオで人造人間がオレンジシティから離れたと聞いて未来ビーデル達は自分達を助けてくれた2人の安否を確認しようとした。

誰もいなかったので助けてくれた2人は死んでしまったのかと思ったが、未来悟飯が瓦礫を退かして起き上がり、未来トランクスを抱き起こしていた。

“く…っ!トランクス…しっかりしろ…!”

“大丈夫!?あなた達!?”

“え…?き、君達は…?”

“シャプナー、彼をお願い!”

“おう!”

2人は未来ビーデル達に助けられ、避難所で手当てをしてもらった。

“あ、ありがとう…助けてくれて”

“お礼を言うのはこっちの方よ。あなた達が来てくれなかったら私達は人造人間に殺されていたもの”

これが未来悟飯と未来ビーデルの出会いだった。

それからは未来悟飯は食料などの物資を渡すついでに未来ビーデル達に会いに行った。

同年代の友人がいなかった未来悟飯にとって彼らとの会話や触れ合いはとても新鮮であり、数少ない未来悟飯にとっての娯楽であった。

時には未来トランクスも会いに行き、未来ビーデル達と接する未来悟飯の楽しそうな姿に安堵し、未来トランクス自身も大分可愛がられたりした。

未来悟飯と未来ビーデルはどちらも父親が武道家と言う共通点もあって話が弾んだりした。

“私のパパはね。お調子者だったけどみんなのために人造人間に挑んだの、口が悪い人は口先だけのチャンピオンなんて言うけど私にとって勇敢なパパなの”

“そっか…”

未来サタンのニュースでの姉達の評価は散々だったが、未来ビーデルにとって彼は自慢の勇敢な父だったのだ。

“悟飯君のパパはどんな人だったの?”

“そうだなぁ、父さんはまるで空みたいな人だった。修行に夢中になって母さんに怒られても飄々としていたけど、闘いになると俺達や仲間のために誰よりも体を張ってくれたんだ。でも、俺が子供の頃にウイルス性の心臓病で死んでしまってね…俺達も辛かったけど、父さんはもっと辛かっただろうなぁ。父さんは生粋の武道家でもっと強い人と闘いたいと思っただろうし…きっと父さんが生きていてくれたら…こんな酷い世の中にはなってない…それくらい俺にとって強い人なんだ”

“ウイルス性って…そっか…悟飯君のパパもみんな辛かったわよね…”

昔、不治の病と言われた心臓病を患った者は苦しみの末に死んでいった。

未来悟飯の父親ならきっと強かったのだろうし、父親に憧れて武道家を目指していた未来ビーデルは同じ武道家としてどうしようもない病による病死をした未来悟空に同情する。

“悟飯君はこれからも人造人間と闘うの?”

“ああ、仲間と姉さんの仇を取らないといけない。俺達が闘うのを止めたら地球は滅んでしまう。だから闘いを止めるわけにはいかないんだ”

“そう、無理だけはしないでね…悟飯君”

“っ…うん”

悲しげに優しく微笑む未来ビーデルに未来悟飯は思わず心臓が跳ねたような感覚を覚えた。

妙な感覚を不思議に思うが、未来悟飯はそれに嫌な物を感じず寧ろ大切にするべき物だと思った。

それからも未来悟飯は未来ビーデルに会いに行き、友人となったシャプナー達とも会話を弾ませ、持ち前の正義感でみんなを引っ張る未来ビーデルを支えているうちに恋仲になり、そして娘を儲けたのである。

「そ、それがもう1人の僕と未来のビーデルさんの出会いだったんですね…」

踏み潰された足を押さえながら悟飯が言うと悟林が溜め息を吐いた。

「はあ、うちの愚弟とは大違いだ。どうしてお嫁さん相手への接し方にこんなにも差が出るのかね?」

「まあ、そっちの俺は若いし。ずっとパオズ山にいたんだろう?」

悟飯はずっと閉鎖的な山奥暮らしなせいで仲間以外の人間と接する機会がなく、未来悟飯は人々を助けるために人と接する機会が多かったのも嫁への接し方にも差が出たのであろう。

「なるほど、じゃあ引きこもりのこいつは平和になった時点でポンコツに成り下がる運命だったのか。悲しいなー、悟飯。お姉ちゃんは愚弟がまともになれないことを思い知らされて悲しいよー。引きこもりのデリカシーのないヘタレになっちゃって可哀想にー。お姉ちゃん涙が止まらないよー。シクシクシクー」

「全然悲しそうに見えないんですけど姉さん!!?」

喧嘩をする2人を見て羨ましそうに見つめる未来悟飯。

あの時、自分が修行をして強くなっていたら自分も自分の世界の姉とあんな風に仲良さそうな喧嘩が出来たのだろうか?

夫の寂しそうな雰囲気を感じた未来ビーデルはそっと手を重ねて優しく微笑んだ。 
 

 
後書き
悟空が死んでギャグ補正が消滅した世界では流石のサタンも駄目だった 
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