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ハドラーちゃんの強くてニューゲーム

作者:モッチー7
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第17話

大魔王バーンと戦うべく異世界で力を蓄えようとしたハドラーちゃん。
そこで出逢ったぶくぶくとの戦いは、ガンガディアを驚かせてばかりであった。
「何!?極大閃熱呪文(ベギラゴン)を……片手で?しかも2つの呪文を同時に?」
ただ、あの男……ガンガディアの宿敵であるマトリフなら、2つの呪文を同時発動なら出来そうだが、果たして、マトリフですら極大閃熱呪文(ベギラゴン)を片手では……
ガンガディアが考え事をしている間も、ハドラーちゃんとぶくぶくとの戦いは続いていた。
「右手にメラゾーマ、左手もメラゾーマ……合体!」
「お!?今度は火炎系呪文の極大呪文か!?」
ぶくぶくと言う肥満男は、ガンガディアを驚かせてばかりであった。
「……憧れる」
一方のハドラーちゃんは堪ったものじゃない。今からこれを喰らわなきゃいけないのだ。高熱や爆発に対して高い耐性を持ち、魔生物としての肉体の再生能力も身につけているが、ぶくぶくの頭上で構成されている巨大な大火球に耐えられるかどうか?
「メラガイアー!」
ぶくぶくがハドラーちゃんに向けて容赦無く大火球を投げつけた。
だが、ハドラーちゃんは避けずに仁王立ち。これには流石のぶくぶくとガンガディアも驚いた。
「何故動かない!?諦めたのか!?」
「ハドラー様!何を!?」
しかし、ハドラーちゃんは不敵な笑みを浮かべた。
「馬鹿言え。この程度で驚いては、大魔王のカイザーフェニックスに笑われるわ……ふん!」
何と!驚いた事にぶくぶくのメラガイアーを殴ったのだ。
「素手でだと!?耐えられるものか!?」
そんなぶくぶくの強気に反して、ハドラーちゃんに殴られたメラガイアーは四方八方に炎と衝撃波を撒き散らしながら徐々に小さくなっていった。
今度はぶくぶくが驚いた。
「何!?僕様のメラガイアーを物理攻撃だけで破壊する気か!?」
そうこう言っている内に、ハドラーちゃんに殴られたメラガイアーは消滅した。
「……驚いたー……」
閃熱呪文(ギラ)爆裂呪文(イオ)の呪文は自分がもっとも得意とするところであり、ゆえにこの程度では応えない」
ハドラーちゃんの自慢話を聞かされたぶくぶくは、メゾラゴンを破った相手にメラガイアーを使った自分の戦術の稚拙さを恥じた。
「……言われてはそうだな。色々と別属性魔法を色々と試すのが、未知の敵との戦いの常識だったね」
ぶくぶくは三度2つの呪文を同時発動させたが、ぶくぶくの両手に現れた光玉はさっきとは色が違った。
「右手にマヒャド、左手もマヒャド……合体!マヒャデドス!」
「あ!?今度は氷系呪文の極大呪文!?」
流石のハドラーちゃんも上空に逃げようとするが、間に合わずに足を凍らされて身動きが取れなくなった。
「たった2属性目でもう正解を引き当てるなんて、僕様の勘も捨てたモノじゃないね?」

ぶくぶくのマヒャデドスで足を凍らされて動けなくなったハドラーちゃんは、目を閉じながらぶくぶくが次々と放つ合体呪文の事について考えていた。
(左右の手から2つの呪文を同時に繰り出し合体させる事で、2つの特性を混ぜた呪文を生み出したり、同じ呪文の効力を倍加させたり出来る……その気になれば、本来自分にしかかけられない呪文を他人にかけるといった事も出来そうだな……だが、よくよく考えたらそんなに難しい事か?アイデアそのものは単純だ。なら!)
決意を新たにしたハドラーちゃんが目をゆっくりと開けると、我慢が出来なかったフレイザード2号の背中が視界に飛び込んで来た。
「……フレイザード、何をしている?」
「なにって!見て解ってよ!」
フレイザード2号のご立派な忠誠心を鼻で笑いながら優しく命令する。
「どけ」
一方のフレイザード2号は驚きを隠せない。
「待って!せめてその足を私の炎で―――」
「大きなお世話だ。退け」
困惑するフレイザード2号の肩を優しく叩くガンガディア。
「良いのかい?盾を自ら捨てて」
ぶくぶくの挑発に青筋を浮かべるハドラーちゃん。
「盾?俺の手下だぞ?」
そうすると、ハドラーちゃんの両手に2つの爆裂呪文(イオラ)を出現させた。
「何々!?君達の世界のイオ系統の最上級はイオラなの!?」
ぶくぶくの挑発をあえて無視し、ハドラーちゃんは再び目を閉じた。
爆裂系呪文(イオ)の極大呪文は極大爆裂呪文(イオナズン)だが、それは、単純な事を言えば爆裂呪文(イオラ)より極大爆裂呪文(イオナズン)の方が強力なだけだろ?なら、爆裂呪文(イオラ)の威力を上げれば……ポップ(あいつ)閃熱呪文(ベギラマ)が俺の閃熱呪文(ベギラマ)を押し返した時や大魔王バーンのカイザーフェニックスを考えれば、その原理は間違いではない筈!?)
その結論に至ったハドラーちゃんは、両手の2つの爆裂呪文(イオラ)に更に魔力を注ぎ込む。
「こおぉーーーーー!」
ぶくぶくは、その様子に背筋を冷やした。
「まさか……見真似稽古!?たったアレだけで、僕様の合体呪文を盗んだのか!?だが!」
ハドラーちゃんがやろうとしている……もといやりたがっているモノを喰らったら、自分は敗けると悟ったぶくぶくが慌てて合体呪文を連発した。
「スクルト!ピオリム!バイキルト!合体!スピオキルト!右手にスカラ!左手もスカラ!合体!スカラル!右手にマヒャド!左手にバギクロス!合体―――」
それに対し、ハドラーちゃんは冷静に両手の2つの爆裂呪文(イオラ)に更に魔力を注ぎ込み続けた。
「ほおぉ!呪文を3つ同時に発動とは、貴様はなかなか器用天才な様だな?」
一方のぶくぶくは、さっきまでの余裕は既に無く、額は既に汗だくであった。
「五月蠅い!喧しい!消えろ化物!氷刃嵐舞!マヒアロスぅーーーーー!」
ぶくぶくが無数の氷の刃を纏った暴風を放つ中、ハドラーちゃんの脳裏にある単語が浮かんだ。
「右手に極大爆裂呪文(イオナズン)、左手も極大爆裂呪文(イオナズン)……合体……」
そして、その浮かんだ言葉を静かに口にした。
最大爆裂呪文(イオグランデ)
一方のガンガディア達は、ハドラーちゃん対ぶくぶくに驚かされてばかりであった。
極大爆裂呪文(イオナズン)を2つ同時!?ハドラー様!」
そんな中、ぶくぶくのマヒアロスとハドラーちゃんの最大爆裂呪文(イオグランデ)がぶつかり合い相殺。その時に出た衝撃波はメラガイアー破壊時とは比べ物にならないモノだった。
「は……ハドラー様ぁーーーーー!?」
ガンガディア達の心配をよそに、ハドラーちゃんは爆煙の中に立ち、対するぶくぶくは……
「はあぁ……あっ……ぁー……」
目の前の爆煙が消えた途端、力無く倒れ伏すぶくぶく。
「ふっ、俺の……勝ちの様だな?少し僅差だったが……」

心配になったガンガディア達がぶくぶくに勝利したハドラーちゃんに駆け寄る中、クレオは茂みの不穏な動きから目が離せないでいた。
「おいおい。そこのデブはお前の味方じゃないのか?」
「黙って!」
だが、クレオは緊張した面持ちで不気味な動きをする茂みにゆっくりと近づいた。
その額には大量の汗が……
「どうやら……あんた達の激しい戦いが、とんでもない連中を呼び寄せた様ね?」
「呼び寄せた?」
クレオがそう言うと、さっきまで不吉な動きをしていた茂みの中から、緑色のデスタムーア第三形態の様なモンスターが3体出現した。
慌ててハドラーちゃんを庇う様に臨戦態勢をとるガンガディア達。
「頭部と両手しかない魔物だと!?」
「そう。こいつはルシファーヘット。両手と頭がワンセットのモンスターよ」
クレオの構えからルシファーヘットの危険性を察するガンガディア達。
「だったら不味いな……誰か早くハドラー様を―――」
だが、心配するガンガディア達を払いのけ、ルシファーヘットに立ち向かおうとするクレオの隣に立つハドラーちゃん。
「何を言っている?……この程度でへこたれている様じゃ、大魔王バーンには届かんわ!」
ガンガディア達は頭を抱えてしまう。なにせ、さっきまで自分達がいた世界にとっては規格外と言って良いぶくぶくと一戦交えたばかりなのにもう戦うと言いだすのだから。
だが、それでこそ我らが主ハドラーだとも思った。
戦闘の時は常に先頭に立ち、自らの強さで不平不満をねじ伏せて無数の魔物達を従わせて率いる。
これこそハドラー。獄炎の魔王の姿なのだ。
対するルシファーヘットは、身も凍り付く様なおぞましい雄叫びを上げた!その口から激しい波動が巻き起こる!
ガンガディア達が少しだけ後退りしながら防御態勢となる中、クレオとハドラーちゃんは冷静に立っていた。
「あのぶくぶくも凄かったが、貴様も凄いのだな」
「いやいや、ほとんどあの家の中にあったチートのお陰ですけどね」
おぞましい雄叫びが効かないとみるや、左手でハドラーちゃんを鷲掴みにし、地面に激しく叩き付けた。
だが、苦しんでいるのはルシファーヘットの方だった。
「うぎゃあっ!」
ハドラーちゃんの覇者の剣がルシファーヘットの左手を貫いていたのだ。
「これで終わりか?」
ハドラーちゃんは立ち上がると、ルシファーヘットの頭部に容赦無く覇者の剣を突き刺した。
一方、2匹目のルシファーヘットはクレオに何度も連続パンチを繰り出していたのだが、全て躱されていた。
そこで、ルシファーヘットは炎の玉を吐き出した!火の玉は火柱となった炎が燃え盛る!
が、これもクレオは全て躱した。
「あ、当たりたくないので」
怒ったルシファーヘットが瞳を怪しく光らせた。
が、クレオは盾を使って遮り、右手の剣に聖なる光を集中させる。
「聖光……一文字!」
剣から光の刃を放ってルシファーヘットを両手ごと真っ二つにするクレオ。
「うぎゃあっ!」
だが、3匹目が急上昇してザオリクを唱えてしまい、ハドラーちゃん達が倒したルシファーヘット2匹が復活してしまった。
「きしゃあぁー!」
が、ハドラーちゃんは冷静に悪魔の様な微笑みを浮かべた。
「なるほどな……1匹でも残せば、そいつが先にくたばった方を復活させるか……」
「なら……全員を極力同時に倒さなければならなくなった訳ね?」
そこに、極大消滅呪文(メドローア)発射準備を整えたフレイザード2号がスタンバイしていた。
「ハドラーちゃん!反撃の準備ができたよ!」
その言葉を合図に、ハドラーちゃんは右腕から生やした覇者の剣に魔炎気を纏わせ、クレオは剣に再び聖なる光を集中させる。
これには、せっかく復活したルシファーヘット達が蒼褪めながら汗だくとなった。
しかし……だからと言ってハドラーちゃんが手加減する訳がない。
「行くぞ!」
3匹のルシファーヘットは(駄目基で)全身を震わせ、冷たく輝く息を一斉に吐いたが、ハドラーちゃんの突進は止まらない。
「超魔爆炎覇ー!」
「聖光……一文字!」
極大消滅呪文(メドローア)!」
「うぎゃあっ!」
と叫びのおまけつきで、3匹のルシファーヘットは塵も残さず跡形も無く消滅した。
「ぅ……うーん……」
そこで漸くぶくぶくが目を覚ます。
「僕様は確か……」
その隣には、3匹のルシファーヘットを塵も残さず跡形も無く消滅させたハドラーちゃん達の姿に呆然となったガンガディアがいた。
「お主、ぶくぶくと言ったな?」
「……何が遭った?」
「……ルシファーヘットと言う魔物は、そんなに弱いのか?」
ガンガディアの質問に驚く。
「ルシファーヘット!?あのS級モンスターをいとも簡単にだとぉーーーーー!?」
ぶくぶくの驚きを視て、改めてクレオが凄い存在である事を再確認するガンガディアであった……

そこへ、執事の様な衣装を纏いシルクハットを被った少女が、何の前触れも無く出現した。
「流石ですな御三方。あのルシファーヘットをいとも簡単に倒すとは」
「誰だ貴様は?先程のは貴様の差し金か?」
ハドラーちゃんに睨まれてもビクともしない執事風の少女。
「これは失礼。試す様な真似を致しまして申し訳ございません。ですが、ルシファーヘットに敗けている様では―――」
ハドラーちゃんはハッとしながら執事風の少女の言葉を遮った。
「俺が目指している物には届かない……か?」
その言葉にクレオが俯き、フレイザード2号が気付いてチラッと見る。
「で、その俺の最終目標と貴様が何の関係が有る?」
ハドラーちゃんの質問に対し、執事風の少女は笑い踊りながら説明する。
「皆さん、より優れた存在に進化してみません?弱点だらけの体質とおさらばしてみません?」
ガンガディアがその言葉に反論する。
「進化だと!?そんな簡単に言うな!進化がいとも簡単に出来るなら―――」
「誰も苦労はしない?」
「うっ……」
そして、少女はガンガディアの過去を見透かしたかの様に語る。
「努力家の苦労人らしい考えだねぇ。でも、その考えは悪くない」
呆れるハドラーちゃん。
「で、結局何がしたいんだ?」
「プレゼントです」
「そうです。あのルシファーヘットをいとも簡単に倒す皆さんなら、進化の果実を食べる資格が有ると思いますので、進化の果実が実る神木の所までご案内しましょう」
ガンガディアがまた吠える。
「進化の果実だと!?それを食うだけで強くなるなら、誰も苦労はしない!」
「硬いですねぇ。知識人は、柔軟な思考と広い視野が肝心ですよ?」
「ぬうぅ……」
少女はハドラーちゃんの方に向き直ると
「で、貴女方は如何です?其処の方の様に進化の果実に頼らない成長を目指すか?それとも、進化の果実を食べてより優れた存在に進化するか?」
ハドラーちゃんは少しだけ引いた。
「つまり、努力を嘲笑うか褒め称えるか?お前、この俺を試しているのだろ?」
その言葉に少女は少しだけ戸惑った。
「……疑り深いですねぇ?でーすーが!私だって何も考えずに進化の果実を配っている訳ではありません!」
そう言われたハドラーちゃんは考え込んだ。
(確かに、ガンガディアの言い分は最もだ。アバン達やアバンの使徒共も必ずそう言うだろうし、俺もガンガディアの言い分に賛成だ……だが!今はそんな事を言っている場合じゃない!大魔王バーンを排除しないと、俺は何時まで経っても地上を支配できない!それに……)
ハドラーちゃんはふと親衛騎団の事を考えてしまった。
親衛騎団(あいつら)には窮屈な目に遭わせてしまったからな。親衛騎団(あいつら)はこの俺に絶対の忠誠を誓ってくれた良き部下であったが、この俺の命が短過ぎるが故に親衛騎団(あいつら)は短くて窮屈な人生を送ってしまった……)
ハドラーちゃんは親衛騎団の短命に対して自責の念を抱いてしまったが……1周目のヒムはまだ生きています!
一方、クレオは何かを思い出して苦悶の表情を浮かべた。
「ねぇ……」
「何ですか?」
「私がもっと早く……」
「もっと早くに?」
クレオは苦悶の表情のまま質問を止めた。
「いいえ、いいです。もう終わった事ですから」
ハドラーちゃんとクレオの苦悶を見かねたフレイザード2号が挙手した。
「はいはぁーい!私、立候補しまぁーす」
その言葉にガンガディアが驚く。
「なな何!?あんなご都合主義過ぎる話に乗るつもりか!?」
バルトスもフレイザード2号に反論する。
「そうです!この話、美味過ぎます!何かの罠かもしれません!」
だが、フレイザード2号はあっけらかんと答える。
「だから私が行くんじゃん。私はハドラーちゃんの禁呪法で誕生した存在。もしもの時は、ハドラーちゃんの禁呪法で修理してくれれば良い」
死をも覚悟の上で進化の果実の許に案内すると言った少女に同行しようとするフレイザード2号の笑顔に打たれたハドラーちゃんとクレオは、先程の苦悶が嘘の様に凛々しい武人の顔となった。
「俺も行こう!どの道、大魔王バーンを越えねばここまで来た意味が無いからな」
「私も行きます!もうあんな悲劇は2度とごめんですから!」
それを聞いたガンガディアが慌てる。
「ハドラー様!」
だが、ハドラーちゃんはそんなガンガディア達を安心させるかの様に右拳を突き出した。
「安心しろ。俺は死なん。まだまだやらねばならん事も多いし、アバンと約束してるしな」
その言葉でマトリフの事を思い出してしまったガンガディアは、もう進言は無駄だと悟った。
「……止めても無駄な様ですね?なら、約束して下さい。必ず地底魔城に帰り着くと」
「……ああ!約束する!必ず大魔王バーンを斃して地上を我が物にすると!」
ガンガディアとハドラーちゃんがグータッチすると、そろそろ出発しても良いと判断した少女が声を掛けた。
「では、出発しましょう!其処の家の新たな主候補の皆さん!」
その言葉にぶくぶくが慌てた。
「ちょちょちょ!この家の主って……まさか、その果実も僕様の師匠からの贈り物!?」
だが、執事風の少女もハドラーちゃんもフレイザード2号も既にその姿は無かった。

ぶくぶくは、執事風の少女の後を追わなかった事を後悔した。
「あーーーーー!チキッたぁーーーーー!」
愕然とするぶくぶくの肩を優しく叩くガンガディア。
「最早信じるしかない。あの女の言う果実が本当により優れた存在に進化させる進化の果実であり、ハドラー様達が必ず帰って来ると」
だが、ぶくぶくが後悔している理由は違った。
「いや!アレは間違いなく僕様の師匠が用意してくれた進化の果実だ!なら、僕様も食うのが筋!それなのに……」
呆れるガンガディア。
「え……そっち!?」
そんな漫才の様なやり取りにつきあいきれなくなったバルトスは、ガンガディアに今後の方針を訊ねる。
「それより、ハドラー様が進化の果実を取りに行っている間、我々はどうする?」
「それは……既に考えてある?」
ぶくぶくはガンガディアが言ってる意味が解らなかった。
「は!?進化の果実を食い損ねた―――」
「いや、貴方には進化の果実に勝るとも劣らない武器があります」
「武器!?僕様のどこに?」
ガンガディアがぶくぶくの方に向き直ると
「異なる2つの呪文を同時に発動させ、それを組み合わせて新たな魔法を生み出している。それに、我々は極大閃熱呪文(ベギラゴン)極大爆裂呪文(イオナズン)を片手で発動させる事が出来ない」
そして、ガンガディアはぶくぶくに向かって片膝をついた。
「その器用さ……ご教授願いたい!」
自分がガンガディア達に必要とされている事に気付いたぶくぶくは、声を絞り出しながら答えた。
「わ……解った……僕様で良いのであれば……」 
 

 
後書き
デスタムーア第三形態の量産型モンスターとして、本作オリジナルモンスター『ルシファーヘット』が登場……

って、弱過ぎますね(笑)
この筆者がデスタムーアの事をよく知らな過ぎるのがよくない様です。デスタムーアVSダークドレアムの印象しかない(笑)

キギロ
「貴様の空っぽぶり、ここに極まれりだな」

ま、今回の本当の目的は、『ぶくぶく』と言う異世界の魔法使いとの戦いを通じて、ハドラーちゃん達にロトの紋章に登場する合体魔法や『IX』以降に登場する呪文を体験させ、その経験を活かして大魔王バーン打倒の為の呪文を身に着ける事です。
なので、前回登場した『合尾クレオパトラ(通称クレオ)』の強さを説明する為にルシファーヘットにはかませ犬役を演じて頂きました。

キギロ
「言い訳まで空っぽぽいな」

今後しばらくは、ハドラーちゃんとクレオのグループとガンガディアとぶくぶくのグループの二手に分かれてそれぞれ強化する予定です。 
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