ロミトラ対象、降谷さんの協力者になる。
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4.降谷さんの困惑。
----------------------------------- case : Reincarnator
私は仲間の人を眉尻を下げながら見上げた。
彼もだいぶ困惑した表情を浮かべている。
「……あ、あの」
「……はい」
やっと私は声が出るようになったみたいだ。
仲間の人の声は明らかに戸惑っている。
「わ、私、銃刀法違反、とかですよね、絶対、アレ……」
仲間の人は困惑の表情をますます歪める。
「……モノは、消えてしまったように見えましたが」
「わ、私も、何が何だか……」
無意識におろおろとしてしまう。む、無理もないでしょう……? 何あれ……?
「ちょっと持ち物検査的なことをさせていただいてもいいでしょうか?」
「自分でもそんなに丁寧に扱っていただけるのが申し訳ないくらいです、好きなだけやっちゃってください……」
私は鞄を差し出し、両手を上げた。テレビで銃を突き付けられたりしてた人がよくやってたポーズです。
しばらく彼は丁寧に調べていたけど、アレも、他に怪しいモノも出てこなかった。
「い、一体……と、ともかく、モノがないと逮捕とかはできないように思います」
「そ、そうですか……自首とかしたほうがいいのかな……」
「……信じられる人は少ないかと……」
「……どうしましょう……」
「と、とりあえず、ふ……あのかたが帰ってくるのを待ちましょう」
「は、はい……」
しばらくして、鬼の形相をした安室さんが戻ってきた。ヒイィィイ……怖いいいいいい……。
「……失敗した」
「……あ」
彼の腕にはさっきの『兄貴』が抱えられていたけど、彼は既に息絶えているように見えた。
「もう一人いた。そいつにやられた」
「そうですか……」
「あ、兄貴……ッ!?」
手錠を手にも足にもかけられて転がされていた私の取り引き相手が悲壮な声を上げた。
「自分を置いて逃げたヤツを惜しむのか」
「……うるせぇよ」
彼は苦々し気に吐き捨てて顔を逸らした。
「あなたは、車ですか?」
安室さんが仲間の人に聞いている。雰囲気がまだ怖いので仲間の人も少し怯えていた。
「いえ、追っていたので電車とタクシーです」
「なるほど。じゃあ、彼女とこいつと……この遺体は僕が連れて帰ります」
「よ、よろしくお願いします……!」
そして安室さんはギロリと私を睨んだ。
「……ついてこい」
「は、はい……」
安室さんは男性二人を難なく担いでずかずかと歩いていく。
は、速い。私は頑張って走った。着いた時にはすごく息が上がっていた。モヤシです、すみません。
前世でよく見たRX-7FDはなかなか傷だらけだった。
私が独りで突っ走ったせいで例の無茶な運転をして追いかけてきたんですね……ごめんなさい……。
安室さんは『兄貴』をトランクに入れ、私の取り引き相手については拘束を増やして後部座席に。私は助手席に押し込まれた。て、手錠とかかけないんですね。お慈悲をありがとうございます……。
帰りはとても安全運転だった。
安室さんは先に警察庁か警視庁らしきところに向かい、二人を仲間らしき人に預けていた。
車に戻ってきた安室さんはすぐに発進した。
私は震えが止まらない。
しばらく走って、安室さんがぽつりと言う。
「……アレは、何だ」
私は眉根を寄せて俯く。私も、何なのか分からないんです……。しょ、正直に、言っていいのでしょうか……怖い……。
「……私にも、分からないんです……なんであんなことができたんでしょう……」
「……」
安室さんは疑いの目でこちらを睨んでいる。
「どこかで、気が済むまで調べてください。私も、知りたいくらいで……」
「元からそうするつもりだ。普通誰も信じられないだろうから、あの家で僕がやらせてもらう」
『僕』。
素が出てるのかなあ。
やっぱり『秋本さん』は作りもので……『安室さん』とは全然違ったから、もしかしたらもう会えないのかもしれない。そのことがちくりと胸を刺した。
やがてあの部屋のあるマンションに到着した。
私の腕を掴む安室さんの力は結構強くて、痛かった。
部屋に入ってからは終始無言だった。
「……ッ」
脱げ、と言われた。あんな銃が消えたんだから無理もないと思う。
羞恥で全身が燃えそうになったけれど、きっと今更だ……と私は自分に言い聞かせる。
色々と探られる。
でもやっぱり、何も出てこない。
「……服を着ろ」
「は、はいっ……」
震える手で服をきちんと着直して安室さんを見上げると、やっぱり怖い顔をしている。本当に怖い。
「……何も、出てこなかったな」
私も眉根を寄せた。
「そう、ですね……」
安室さんが腕を組んだ。
「証拠も何もないから、逮捕することは難しいだろう。……本当に、覚えがないんだな?」
「はい、本当に何も……何アレ……ッ……私、どうしちゃったんでしょうか……」
訳の分からなさと、安室さんが怖くて、ぐっと抑えようとしたけど涙が浮かんでしまう。きっと泣ける立場じゃないのに。
これが誰にも見られていない所で発現していたりしたなら、ワァイ転生特典かなとか呑気に喜んでいたのかもしれないな、とぼんやり思う。
でもこんな状況でこれがあるのを知った。安室さんと仲間の人に知られているのが、混乱させてしまったのが、すごく怖い。
何故か、安室さんがいたたまれなさそうな顔をした。
そしてぽすんと頭に手を置かれる。
「……え……?」
「お前にも何が何だか分かっていないんなら責められない。怖がらせて悪かった」
そういえば安室さんは、コナンくんが常識外れでもすんなり受け止めて、認めていた。
本当懐がとても広い人だなあ……。
不遜にも安心のようなものをしてしまって、私はぼろぼろと溢れてきた涙を止められなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、わけのわからないことをして、わけのわからない人間で、ごめんなさい……!」
安室さんが眉根を寄せていた。
頭の上の手のひらが、するりするりとゆっくり撫で始める。
「……ただ、お前は僕が監視する。大学に出勤するのはここからにすること。持ち込みたい荷物があるようなら車で送迎する」
「……ごめんなさい……出勤、許してくださって……ありがとうございます……!」
「……謝らなくていい」
私は息を詰まらせた。眉根を寄せて俯く。
安室さんはしばらく私の頭を撫で続けていた。
そんなことしてもらえる人間じゃないと思うのに。
その優しさに、また私の目から涙が落ちていった。
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必要なものがあれば何でも持ち込むようにと言われてFDで私の家まで送ってくれた。
無言になってぼんやりしているうちに着いてしまった。もちろんナビなんか、していない。
そりゃやっぱり家なんか知られてるよね……。
何にも知らない私だったらどういう反応をしただろうと思って、驚いた感じで安室さんと私の部屋のあるアパートをきょろきょろと交互に見遣る。状況に少し驚いたのは本当。
けれど安室さんはじっと私を見るだけだった。そしてぽつりと言う。
「……行くぞ」
「……はい」
私は眉尻を下げて俯く。
やっぱり、安室さんの中には『秋本さん』が見当たらない。
何にも言わずに安室さんも部屋に入って来るけど、きっと荷物を持ってくれる気なんだと思うし、何だろうと私に拒否する権利はないなとも思う。
……私が普段から片づけも掃除もキッチリする性格で良かったです。
「書籍で持って行きたいものは?」
「全部覚えてるのでひとまずは要らないです」
安室さんが少し驚いている気がした。結構「バカ?」って言われてるし私自身「バカ……?」って思ってるので無理もないと思った。
「パソコンは?」
「……ああ……でもタワー型なので、それもひとまずは要らないです」
そう言うと安室さんは少し考え込んだ。
「……セキュリティの関係でノート型を持ち歩いたりはしない、か」
お一人で納得したように呟いているけれど、その通りなんだと思います。私がそうしてるのではなく決まりです。……と、そこまで思って。
「……あ」
「どうした?」
「あの……」
少しお伝えするのが怖い。でも悪いことをしたのは私だ。
「取り引き相手とのやりとりで、何だろうこれって謎だったことのメモとか、見たら処分しろって言われたアナログな資料とか、とっといてあるんですけど……要りませんか?」
安室さんは少しだけ目を見張った。そしてふっと小さく苦笑する。
ふわっと私の頭に手のひらが置かれて、少しだけ撫でられた。今度は私が目を見張る。
「本当、変なところばかりしっかりしてるな」
「へ、変な、ところ……」
しどろもどろしてしまうけど、私が和んでもいいとはあんまり思えないので、早々にこれですと言ってPCデスクの側の本棚の一番下からダンボールをひと箱ひきずり出す。
「あ……少し、重いので……いったん持っていかせてくださ」
私が全部言い終わる前に安室さんはひょいっと持ち上げた。……片手で。
「存在しないんじゃないかってくらい軽い。他には?」
思わずぽかんと見つめてしまいました。時間を取ってしまっている場合じゃないと気を取り直す。
「あとは服とか歯ブラシとかを、キャリーケースに入れようと思います。以上です」
「そうか。じゃあ僕はいったんこれを車に運ぶ」
「はい」
多分気を使って外してくれたのかなと思ったから、先に下着とかのあんまりお目に入れたくないものを詰めた。
少しして戻ってきた安室さんは、整頓しながら詰めようとして並べていたシャンプーやトリートメント等を見て小さく首を傾げていた。
「消耗品はうちにあるもので良くないか? 種類にこだわりが?」
安室さんのお家にあったのって性別問わず使える質の良いやつだった気がする。
「特にないですけど……なんか、悪いなって……」
「そのあたりは気にするな。そういうのより、普段使いのマグカップとか箸とかはないのか? そういうのは自分のものを使いたいって人は結構いると思うんだが」
「あ、確かに……思い至りませんでした。ありがとうございます」
そして素直に従ったほうがいいと思い消耗品はしまいなおして他の物を詰めていると、安室さんがぽつりと言った。
「……僕について何か聞かないのか」
「……」
さすがに、何か気づいていないとおかしい、よね。
私は少し考えながら俯いた。
「……本当は客引きさんじゃないんじゃないかな、とは思いました。けど……私が不穏分子なうちは、明かさないでください。聞く気も、ありません」
「……そうか」
……会話が続かない。
私がまとめ終えて安室さんのほうを見ると、彼はそういえばと口を開く。
「冷蔵庫の中身は? 長くもたない物はあるか?」
「あ……!」
そう言えば、結構ある。早めに帰った日は夜ご飯を食べてからお酒を飲みに街に出ているのだ。
マイバッグにしている編みかご系の買い物かごを出してきて、冷蔵庫の中身を詰めていく。
「……へえ。自炊するんだ」
「意外、ですか? 料理は好きなんです。成分とかその調整とかを考えるのが楽しいからって言うと、たいていの人が変な顔をしますが」
「……なるほどな」
「そういえば、お家にデジタル秤とか計量カップとか軽量スプーンはありますか?」
調整が楽しいからやっているので、これらは私にとっては必須なのです。
「デジタル秤はさすがにない。あと計量カップとかもお前が使いたい性能がないかもしれない」
「なるほど、です」
傷むのがいやなものとお気に入りのお手製調味料をかごに詰めてから、量り各種を各所から引っ張り出して、小さいものはパックに詰めて……私は少し悩んだ。
「秤は僕が車まで持っていくから、お前は他のを。運転中はお前が膝に乗せておけ。精密機械だろう」
「はい。ありがとうございます」
そして安室さんのお家にそれらを運び入れたあと。
「少し行くことろがある。着いてこい」
「はい」
どこに、行くのかな。
----------------------------------- case : Furuya
助手席に乗せた彼女にアイマスクをかけさせた。困惑した様子ではあったがやはり何も聞いてこない。
これは、物覚えは良いらしい彼女に場所を記憶されないためだ。
目的地に着いてもアイマスクは取らない。手を引いて歩いていく。
許可された者にしか与えられないカードキーで中へと進む。
そして目当ての施設にたどり着いてようやく、彼女のアイマスクを外した。
そしてつけることが決まっているゴーグルを二人して装着する。ここを利用する他者に顔が分からないようにするため、多少ゴツい。
周囲を見回して彼女はまた困惑の表情を浮かべた。
「ここ、は……?」
「射撃訓練場」
彼女は目を丸くした。そして的が並ぶ方向を見遣る。
長距離射撃用のラインまであるような施設だが、公のものではない。本当は存在してはいけない場所。公安のお抱えだ。
「……あの、わた、し……」
「僕個人はもうあまり疑ってない。ただ確たる証拠になる情報が得られれば、監視の手を緩められるかもしれない」
「そう、ですか……」
僕はあの時見たモノに近いフォルムの銃をいくつか借りて来る。無人だが借りるには先程のカードキーが必要で、誰がどうしたのか管理者が見れば丸分かりになるシステムだ。何本借りたのかと不思議がられそうだが、各種の練習がしたかったで通るくらいのものだ。
「扱いが分かるかどうかを見る。まずはこれだ」
と、示したのだが。
「……っ!」
彼女はまともに持ち上げられなかった。
「……は」
「……重い、です……」
へにゃりと申し訳なさそうに眉尻を下げて彼女が俯く。
そういえば、あんな程度のダンボール箱で弱音を吐いていたなと思い出す。
あんなモノを易々と構えていたのだからまさかこうなるとは思っていなかった。まずは握力や筋力を測定しておくべきだったか。
しかし既に不可思議なことばかり起きている現状、アレがあのナリでものすごい軽量だったなんてことがないとは言えない。
ふう、と小さくため息をついて僕は借りたものたちを全て返した。あの調子ではどれであろうが持ち上げられないだろう。
「じゃあ、もう一つだけ」
僕は懐から愛用のP7M8を取り出して彼女に握らせた。やはりこれでさえ重そうに見える。しかし、確かめなければいけない。
彼女はぽかんとしてP7M8と僕の顔とで視線を往復させている。
「……構えろ」
(まるでなってない……)
しかしフリの可能性を指摘されてもおかしくない。
僕は彼女の構えを少しずつ修正していく。
形だけはそれっぽくなった。僕からすればどうみても『形だけ』は、だ。
そのことに少し居たたまれなさも覚えながら、聞く。
言われて彼女は恐る恐る、懸命な様子で前方に向けてP7M8を持ち上げた。しかし。
「ここからどうすれば撃てるか、分かるか」
「え、えと……安全装置があるんですっけ……?」
ドラマなどでそのことを知っている人間はかなりの数になるだろう。だがそれはどれもこれも同じものじゃない。
「どれだか分かるか」
ゴーグルであまり見えないが、困り切った顔をしている想像がつく。
ものによって違うものだから、これを知らないからと言ってまだ無罪放免はしてやれない。
「……ここを握り込んで、押し込んで維持」
彼女の指の上からそれをやってやるが、たったそんなことでさえ潰してしまいそうな細さにますます居たたまれなくなる。
カチリ、と、音がした。
「それからフレームをスライドして装填する」
フレームをカシャリと音がするまで引いて離すと、カチンと音を立てて元に戻った。
「リアサイトの間にフロントサイトがくるようにして的に照準を合わせる。どういうことか分かるな」
「はい。なるほど、です」
指でひとつづつ示しながら聞くと、彼女は小さく頷いた。こういう察しは良いんだな。
しかりやはり一連の動作は何もかもがぎこちない。どう考えても手慣れてなんかいない。
加えて、極度の緊張が見えた。
「……少し、落ち着け。深呼吸」
彼女は素直に細く長く、静かに呼吸した。
少し置いて、彼女の背に回って構えや姿勢を更に修正していく。
「どこかにだけ変に力を込めずに、全身で身体を支えるつもりでいろ」
「はい……!」
そしてまた、一呼吸置く。
……確かめるべきことのためには、彼女を支えてはならない。忸怩たる思いを抱えながら、彼女から離れる。
「よし。それじゃ、カウント3で、引き金を引くこと。あまり深く考えなくていい、落ち着いて、撃つんだ」
「は、い……!」
「────3・2・1」
パァンと乾いた音がした。タイミングは完璧だ。しかし。
僕は彼女の顔の前に手のひらを滑り込ませた。予想──というより、願い、かもしれない──通りに銃身が思いきり跳ねてくる。ゴーグルをしているとはいえ、こんなものに当てるわけにはいかない。
衝撃から少し後ろに尻もちをついた彼女が右肩を抑えていた。
「────ッ……」
声になっていないが悲鳴が聞こえた気がした。
「……やっぱり、ここで肩が外れるんだな。嵌め直すから、一応奥歯を噛むんだ」
ギリ、と彼女が奥歯を噛みしめたのを確認して、僕は慎重に関節をもとに戻す。
「悪かったな。しかしこれで分かった。お前は」
「いえ、きっと分かっていません」
彼女は何故か、打って変わって強い眼をしていた。しかし表情には苦渋が滲んでいる。
「……的を、見てみてください」
「……?」
僕は言われるままにレーンの先を覗いて、愕然とする。
「……ど真ん中!?」
そのレーンの的には先ほどまで絶対になかった銃痕だった。
理解不能な事態。しかし、理解不能だからこそ今はそれは放置すべきだ。
「……いや、それよりひとまず肩の手当てを……」
言おうとして、僕は目を見張った。
彼女の手に、またあの物々しいリボルバーが出現していた。
小型のライフルほどのサイズはある。それを彼女は、肩が外れているにも関わらず右手のみで持っていた。それも、先程は重そうだったのにまるで平気な様子だ。
「……やっぱり……撃たなければいけないと思うと、出て来るみたいです。そして」
僕は、目を疑った。
美しい装飾の施された黒い銃はなくなり、代わりに現れたのは彼女の身長ほどもある長大で物々しいスナイパーライフルだった。構えも堂に入っている。
しかしそれはあの時と同じように光になって霧散していった。
彼女はふにゃりと座り込んだ。
「……なんなんでしょう、これ……! 私、人間じゃ、ないのかな……?」
そう言って顔を覆う彼女の姿は痛ましかった。
「……今はいいから、肩の治療を……!」
彼女の背に手のひらを添えて声をかけていると、別から肩をぐいと引かれて僕は焦る。
いつの間にか他に人間が入ってきていたのか……!?
しかし、そこにいたのは。
ゴーグルで目の辺りが隠れているくらいじゃ、わからなくならない。
「……ヒロ……?」
映像や音声での監視はされていないのを知っているから、思わず口に出る。あぁ、彼女がいるのに。
「……彼女については、聞いてもいいことか?」
「……分から、ない。しかし、恐らくこのことを知っているのは僕だけだ」
「そういう系か……」
「しかし今は彼女の治療を優先させてくれ」
「治療?」
「拳銃で撃たせたら肩が外れた」
「!?」
そのあたりは目撃していなかったのか。
「とにかく、ここを出よう」
僕はまた彼女にアイマスクをかけさせた。
ヒロがパーカーのフードを深くかぶった。
しかし、やはり君も公安だったんだな。
張りつめていた糸が少し緩んでいく。
僕にとってはヒロが……あの頃の伊達班の皆が、やはり何よりも安心できる存在なんだ。
後書き
※降谷さんの仮の偽名が「秋本広志(あきもと・こうし)」となっていますが、これは声のかたが過去演じておられた犯人役の名前です。
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