八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百六十七話 口臭その五
「相当なもので」
「歯もなの」
「丈夫だったわね、甘いものなんてなかったしね」
「ああ、甘いものは歯に悪いわね」
「お肉か乳製品で」
食べるものはというのだ。
「飲むものはお乳かお茶だから」
「お茶がない時代もあったわね」
「そうした風だったから」
「虫歯にならなかったの」
「糖分あまり採らなかったから」
だからだというのだ。
「そうだったのよ」
「虫歯の元は糖分だし」
「それでよ、けれど今のモンゴル人は」
「甘いものも食べるわね」
「あるものをね」
「何でも食べるのね」
「連合の他の国と同じでね」
そうであってというのだ。
「羊肉と乳製品だけの食生活はね」
「もう違うのね」
「そういったものを沢山食べているけれど」
この時代でもというのだ。
「けれどね」
「ご飯とかパンも食べるのね」
「特に都会だとね」
「そうなのね」
「けれど歯を磨いても」
毎日そうしてもというのだ。
「モンゴルじゃ大抵無臭ね」
「そうした歯磨き粉使ってるのね」
「そうなの」
こう話すのだった。
「これがね」
「そうなのね」
「それでね」
ナンはさらに話した。
「あんたの今の薔薇の香りはこれはいいと思ったわ」
「そうなのね」
「お洒落ね」
今も口から薔薇の香りを刺せるアロアに笑顔で話した、見ればナンの今の顔はにこにことしている。
「本当にね」
「そう言ってくれるのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あんた薔薇好きだったのね」
「好きよ」
アロアはナンの今の問いに笑顔で答えた。
「お花は何でもでね」
「薔薇もなのね」
「好きよ」
「そうなのね」
「あんたも薔薇好きでしょ」
「そう言われるとね」
ナンも否定しなかった。
「好きよ」
「そうよね」
「一番好きなお花は蒲公英だけれどね」
「蒲公英なの」
「草原に咲いてるのよ」
ナンはアロアに笑顔で話した。
「それでゲルで暮らしていても」
「道端に見るのね」
「それがよくてね」
それ故にというのだ。
「蒲公英がね」
「一番好きなのね」
「白や青や赤い蒲公英も好きだけれど」
そうした色の蒲公英も星によっては咲いているのだ。
ページ上へ戻る