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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第九幕その三

「その閃きはね」
「何かな」
「エンベルグさんは色だったけれど」
「赤と白ね」
「その二色だったけれど」
「僕は宝石だよ」
 それが先生の閃きだというのです。
「それなんだよ」
「宝石なんだ」
「そういえばエンベルグさん言ってたね」
「宝石職人のお知り合いもいるって」
「金物職人のね」
「日本もそうだけれど」 
 先生が今暮らしている国もというのです。
「ドイツも職人の国だね」
「よく言われているね」
「徒弟制度があってね」
「マイスターとか言われる人達がいてね」
「あの国を形成する一つになっているね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「宝石や金物の職人さんもね」
「おられるんだね」
「エンベルグさんのお知り合いに」
「そうなんだね」
「あの人のお家はおドイツで大きな会社を経営しているんだ」
 エンベルグさんのお家はというのです。
「代々ね、今は八条グループの系列の企業の一つで」
「それでだね」
「八条学園の施設で働いているんだ」
「動物園で」
「そうだよ、それでお金には困っていなくて」 
 そうであってというのです。
「職人さんにも知り合いの人達がね」
「おられるんだね」
「ドイツに」
「そうなのね」
「そうなんだ、日本にもね」
 この国にもというのです。
「お知り合いが沢山いるけれどね」
「成程ね」
「顔の広いお家なんだね」
「そうなのね」
「そう、八条グループの系列になったのは戦後だけれどね」
 二次大戦後というのです。
「古い企業だよ」
「そうなんだね」
「成程ね」
「そうした企業だね」
「ドイツにも日本にもつてがある」
「職人さん達にも」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「何を造るか決まったら」
「その時はだね」
「お金はエンベルグさんが出して」
「ドイツの職人さん達が造ってくれて」
「いいものが出来るのね」
「そうなるよ」
 こう言うのでした。
「必ずね」
「うん、じゃあこれからね」 
 ダブダブが先生に言いました。
「じっくりとね」
「先生は考えよう」
「赤と白、宝石からね」
 チープサイドの家族もお話します。
「考えよう」
「是非ね」
「さて、どういったものを考えてくれるか」
 ジップも言います。
「楽しみだね」
「先生はじっくりと考える人だからね」
「その知識と教養からね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。 
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