ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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ちょっとした未来の話
前書き
ちょっとした未来の話です。
流石にこれはないかなと思ったけどスーパーヒーロー見て確信しましたね
悟飯とビーデル、パンの3人が暮らす家は時々祖父母が遊びに来て怖い姉にして伯母が躾に来たり、師匠がお邪魔したりするなど何処にでもある平凡(住人や親族と師匠の規格外さは置いておいて)な家庭の雰囲気を纏っていた。
ある日、この家を起点に凄まじいピッコロの怒声が響き渡り、声の振動に耐えられなかったガラスが割れる。
「この…底抜けの大馬鹿者がーーーーっ!!!!!」
「ひいいいっ!!?」
師匠からの怒声に悟飯がビクッとなって正座をしており、近くにはスーツ姿の悟空とベジータ、悟天が呆れたように見ており、ドレス姿のビーデルやチチとブルマとおめかしをしたパンが耳を塞いでいる。
ヤムチャも天津飯も餃子もクリリンどころか18号すらこいつやっちまったと言わんばかりに額に手を置いていた。
こうなる数週間前に、一度カプセルコーポレーションで行われたパーティーでの悟天の一言が始まりであった。
“ねえ、兄ちゃん。✕✕日の姉ちゃんとトランクス君の結婚式に何のスーツ着てくの?”
“え?結婚式?”
“え?”
悟飯は驚いているが、そんな兄の反応に悟天もびっくりである。
“悟飯、おめえその日は悟林の…おめえの姉ちゃんの結婚式だぞ。忘れてたんか?”
“は、はあっ!?何ですかそれ!?僕知りませんけど!?”
“だって悟飯ちゃんに招待状は送ってないもーん。ビーデルさんとパンちゃんには日にち教えたけどね”
“な、何で僕に送ってくれなかったんですか!?”
自分だけ除け者にされていることに不満を覚えた悟飯は悟林に問い詰める。
“お前に送ったってどうせ仕事に夢中になって来ないだろうから”
あんまりな理由だったが、結構な前科持ちである悟飯なので悟空どころかチチですら何も言えない。
“どうせ来ない奴に送ったって紙の無駄遣いになるからさ、送らなかったよ。”
“ね、姉さんじゃあるまいし、そんなことするわけないじゃないですか!忘れたとは言わせませんよ!僕とビーデルさんの結婚式の参加をサボろうとしたの!!”
“あの時は修行がいいとこだったんですー。寧ろ無理矢理中断させられたこっちの身にもなって欲しいよ。大体お前の結婚式に私が必要って訳じゃないじゃん。何時まで昔のこと根に持ってるの?女々しい奴”
あれは悟飯とビーデルの結婚式当日、悟空ですらスーツを着て参加しているのに悟林の姿は見当たらず、電話してみると修行が良いところらしい。
“お母さん、修行が良いとこだから私欠席するね”
修行と弟の結婚式を天秤にさえかけずに修行を選択した悟林にチチが怒鳴る。
“何言ってるだ!おめえ悟飯の姉ちゃんだろ!ちゃんと出席するだ!!”
“別に悟飯の結婚式に私が必要って訳じゃないじゃない。後で映像で見るから良いでしょ”
“チチぃ、別に悟林が行きたくねえんなら良いんじゃねえか?無理して来させてもよぉ”
“悟空さ…そう言う問題じゃねえんだーーーっ!!瞬間移動で迎えに行ってくるだっ!!”
悪気もなく、それどころか弟の結婚式をあっさりと欠席すると言い放った姉に悟飯はちょっとショックだった。
式場に連れてこられた悟林はドレスに着替える暇もなく、道着姿で写真に写ることになるのであったが、本人に罪悪感は皆無であった。
その時のことを思い出した悟飯はビシッと姉を指差す。
“姉さん!もし僕が本当に姉さんの結婚式を欠席してたら寂しいでしょ!?”
“別に全くぜーんぜん、寂しくも何ともないよ。どうせ来ないの分かりきってるしねー。そうだ、悟飯…賭けしようよ…私はお前が結婚式に来ないことに賭ける。お前は忘れずに来ることに賭ける。負けた方は1年間勝った方に従う…どう?”
“ば、馬鹿にして!僕は姉さんと違ってこう言うのしっかりしてるんですからね!!”
“ほう!ほうほうほーう!言ったね、当日が楽しみだよ”
そして結婚式当日。
案の定、悟飯は研究に夢中になってしまって姉の結婚式を忘れてしまい、窓から現れたピッコロに駆け寄る。
“あ、ピッコロさん。どうしたんですか?”
“悟飯、お前今日が何の日か忘れたのか?”
“え?何の日?…何でしたっけ?”
研究に夢中ですっかり姉の結婚式など忘却の彼方の悟飯にピッコロはその能天気そうな馬鹿弟子に拳骨をしたい気持ちを抑えて小さく呟いた。
“…座れ”
“え?”
“座れと言っているのが聞こえんのかっ!!!”
“え!?は、はい!!”
ピッコロに怒鳴られて正座する悟飯。
“今日は悟林の結婚式だ”
“え…?あっ!!?”
慌てて今日の日付を確認すると悟飯は顔を真っ青にする。
“やっと思い出したか…この…底抜けの大馬鹿者がーーーーっ!!!!!”
そして時間は現在に戻り、ピッコロから説教を受けていた。
「悟飯、こんな所で何をしていた?」
「そ、その…新種の虫のレポートを」
「そんなことを聞いているんじゃない!何が“僕は姉さんと違ってこう言うのしっかりしてるんですからね”だ!!一応お前の結婚式を当日まで覚えていた悟林より酷いぞこの馬鹿者がっ!!!」
「いでっ!?」
姉の結婚式を忘れ呆けるような頭にピッコロは全力の拳骨を叩き込む。
悟空達どころかチチでさえも今回ばかりは助け船を出す気はないようだ。
「あ、あの…姉さん…どうでした?寂しそうにしてました?」
「寂しがるどころか賭けに勝ったと笑っていたぞ。お前のことだから新種の虫でも発見して研究で忘れ去っているだろうとな…賭けの件でしばらくこき使ってやると言っていた。素晴らしいくらいに“信頼”されているなお前は?」
「うぐ…」
その信頼が良い意味ではなく悪い意味なのは悟飯でも流石に分かる。
師匠からの痛烈な皮肉に悟飯は呻く。
「悟飯、おめえ流石に姉ちゃんの結婚式忘れるのはやべえぞ」
娘の晴れ姿をしっかりと目に焼き付けてきた悟空。
「全く、普段から腑抜けているから姉の結婚式すら忘れるんだ」
息子の晴れ姿をきっちりと目に焼き付けてきたベジータ。
普段は戦闘・修行・食事のことが大半を占める2人に言われた悟飯はガクッとなる。
「で、でも…気付いてくれたなら教えてくれても…」
「甘ったれるな!!自分であれだけ言っておいて他人任せか!!」
ピッコロの説教は数時間に及び、一応悟飯は姉の結婚式を欠席してしまったことを謝罪するのだが。
「ほーらね、やっぱり悟飯ちゃんは予想を裏切らないね。しばらく馬車馬のように使ってやるから楽しみにしていてね」
「そ、そんなぁ…」
姉の結婚式をどうして忘れてしまったのか…。
夢中になると時間を忘れてしまう自分が恨めしいと思う悟飯であった。
そして悟空達はカメハウスに集まって昔話を肴にして盛り上がっていた。
「はあ、悟林。嫁に行っちまったのかぁ…前みてえに一緒に修行出来なくなっちまったなぁ…」
色々あったり、サイヤ人故の感性もあって普通とは言えないかもしれないが悟林は悟空なりに手塩にかけて育ててきた娘だったのでいなくなるのに不思議な寂しさを感じた。
「何だよ悟空、お前もやっぱり父親なんだなぁ。娘が可愛いか…分かるぞ悟空、俺もマーロンが嫁に行っちまったら…うう…っ…グスッ」
「泣くな馬ー鹿」
悟空達は昔話を肴にご馳走を食べていたのだが、娘の晴れ姿を想像したクリリンが涙ぐみ、それを見た18号が呆れたように笑った。
「父さん…僕の結婚式の時は全然寂しそうじゃなかったじゃないですか…」
「いや、娘と息子は全然違うだろ」
娘しかいないが、クリリンにもし息子がいたとしても喜びはするだろうが悲しみはしないだろう多分。
「ブウとの闘いが終わってからも修行をろくにしていなかったお前がいなくなったところでカカロットの家は何も変わらんだろう」
「うぐっ!!」
確かにブウとの闘いが終わってからの悟飯は修行をしていなかったので悟空からすれば悟飯がいなくなっても大して変わらないのかもしれない。
ベジータからのツッコミに悟飯は呻くのであった。
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