ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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双子のサバイバル
前書き
サイヤ人編でのサバイバル時代。
サイヤ人との闘いに備えての修行で、ピッコロに荒野に置き去りにされて1人で拳と蹴りを繰り出しながら少しでも動きを鋭くさせようとしていた。
しばらく続けていると空腹になった悟林は食料調達に向かうとちょうど良いところで現れた恐竜。
恐竜は獲物が現れたことで涎を垂らしたが、悟林の獲物を見るような目に背筋が凍り、嫌な汗が吹き出る。
まるで少し前に小猿を食えずに不機嫌そうなこの辺りの弱肉強食の頂点に君臨している恐竜と真正面から出会したような感覚を覚える。
「決ーめーた。今日のご飯は お 前 」
ゆっくりと人差し指を恐竜に伸ばし、涎を垂らしながらジリジリと距離を詰めてくる悟林に恐竜の恐怖心は瞬く間にMAXになり、慌てて逃げ出すが空腹の悟林が見逃すはずもなく鬼ごっこを開始した。
長時間追いかけ回して疲れて果ててしまった恐竜を気功波で仕留める。
因みに悟飯はこの辺りの頂点に君臨している恐竜に追いかけ回され、潜在能力の発露によって高い所に飛び上がって降りられなくなってしまい、泣き喚いていた。
流石に悟林はまだ父親のように全体を焼くような規模のような気功波は放てないので、悟林は恐竜をバラバラにして焚き火でそれぞれの部位を焼いていく。
寝床は既に確保しているので肉が焼けるまで、魚を釣る道具でも用意しようと走り出した。
と言っても頑丈な蔓を見つけるだけだが、この恐竜の肉を餌にして湖に放り込めば肉食の怪物魚はあっさりと食いつく。
何せ少年期の悟空が尻尾で釣りをしていた時も凄い食い付きだったらしいので、肉塊を餌にされたら食い付きはより良くなる。
そして焼けた恐竜の肉に悟林は涎を垂らしながらそれを一口頬張る。
少し固いのはどうやら仕留めた恐竜はまだ若い個体だったようだが、この歯応えは嫌いではない。
本当ならカメハウスから帰った後は大好物のパオズザウルスの唐揚げをチチが用意してくれるはずだったのだが、少し気を抜いた瞬間に父親の死顔を思い出して目頭が熱くなってしまったが誤魔化すように肉にかぶり付き、別の水場で体を洗って、焚き火で体を暖めて寝たが、いきなり現れたピッコロに尻尾を引き千切られて悲鳴を上げるのは別の話。
「痛たた…尻尾いきなり取られてビックリしたよ…今日の朝ご飯は魚にしよう!昨日見つけた蔓に昨日の肉を巻き付けて…」
肉を巻き付けた蔓を湖に放り込むと怪物魚が食いついてきたので一気に引っ張って怪物魚を引き摺り上げて上空の怪物魚を蹴り飛ばして締めると早速朝食にしてはボリュームがありすぎる怪物魚の丸焼きを堪能する。
一方の悟飯は、木の実の生る木が群生している場所を発見したのだが、木の実や野草だけでは腹は膨れない。
「お腹空いたなぁ…木の実だけじゃ全然お腹いっぱいにならないよ…お肉食べたいなぁ…グス…こんなことになるならお父さんとお姉ちゃんと一緒に狩りに行くんだったよ…っ」
勿論悟飯も悟空にサバイバルに役立ちそうな知識は教えてもらっていたが、怖がりが災いして狩りについていかなかったのでこれが悟林との食生活に大きく差を広げることになる。
そして、遠くで2人の食生活と自主修行を見ていたピッコロはあまりにも違いすぎる2人に溜め息を吐いた。
「孫悟空め…極端な育て方しやがって…」
悟林みたいに自立精神が強いならここまでの手間は掛からない物を。
やはりこの時点の悟空には悟飯のような甘ったれを鍛えるのには向いていない。
あの世にいる悟空は再び盛大なくしゃみをしていることだろう。
そして半年後に合流した双子はピッコロの猛修行を受けることになり、悟林も傷だらけだが、悟飯はボロボロである。
「はあ…」
「どうしたの悟飯、食料調達に行くよ」
「お姉ちゃんはどうして楽しそうなの…?ご飯や眠る時以外修行なんて…僕死んじゃうよ…」
「別に私は修行好きだからね。それに後6ヶ月しかないんだよ。それに悟飯は全然武術やってこなかったんだからこれくらいやらないと体に身に付かないでしょ?」
何せ野生の獣程度に自衛出来るようになるまでしばらく掛かったのだ。
これから来るサイヤ人は伯父のラディッツよりも強いらしく、ピッコロからすれば自分達の食事や睡眠時間すら惜しいに違いない。
「それにねえ、悟飯は嫌々やってるから気付いていないんだろうけど、ピッコロさんは悟飯のことをしっかり考えて修行のことを考えてるんだよ?」
「え?ええ?ピッコロさんが?」
「そうだよ、今だって悟飯が生きて修行続けているのもその証拠」
ピッコロは厳しくも悟飯の限界を見極めて修行のレベルを上げているのだ。
悟飯が何時まで経っても厳しいと感じるのはそのためだが、ここまで修行のことを考えてくれる人物がどれだけいるか。
しかし、幼い上に少し前まで武術など怖い物として忌避していた悟飯にピッコロの配慮が分かるわけもない。
「ね、ねえ…お姉ちゃん…一緒に…お、お家に帰ろうよ…空も飛べるようになったからパオズ山に…やっぱり僕なんかいても邪魔になるだけだし…」
「帰りたいなら悟飯1人で帰れば?私は残って修行してサイヤ人と闘う。それにあいつら強さが分かる機械を付けてるらしいから悟飯が嫌でもサイヤ人はパオズ山にも絶対に来るよ。その時、1人でお母さんとお祖父ちゃんを守れる自信があるならどうぞ」
悟林は既に闘う覚悟を決めている上に好戦的な性格から逃げの選択肢はない。
「そ、そんなぁ…」
「悟飯、情けないことばかり言わないの。強さもそうだけど心が弱かったら全然本気出せないんだから、悟飯も前よりずーっと強くなってるんだから」
少なくとも以前の悟飯ならば間違いなく泣き喚いているだろうに弱音を吐く程度になっているのだから精神的にも格段の進歩とも言える。
「そ、そんなことないよ。僕弱いまんまだよ…お姉ちゃんみたいに才能なんて…」
「分かった分かった。お姉ちゃんが分かりやすい証拠を見せたげるよ」
悟飯の胸倉を掴み、遠くの大岩に以前のピッコロよりも速いスピードで放り投げた。
「わあああああっ!?」
「(見せてよ、今の悟飯のフルパワー)」
追い詰められたことで潜在能力が発現し、ピッコロが投げ飛ばした時よりも強烈なエネルギー波が放出され、大岩を粉微塵にしてしまう。
「ほーらね、前の時よりも凄いパワーじゃない」
「こ、これ…本当に僕…?そ、それより何するのお姉ちゃん!?」
「だってこれくらい分かりやすく証明しないとウジウジしてばっかじゃん。優しいお姉ちゃんで良かったね悟飯」
「ーーーーっ!!お姉ちゃんの馬鹿ーーーーっ!!」
「随分と元気が有り余っているようだな」
「あ、ピッコロさん。」
「え?」
振り返ると邪悪な笑みを浮かべたピッコロが立っていた。
「それだけの元気があれば問題あるまい。安心しろ、先程の一撃を当たり前のように出せるようにしてやる」
「だって!良かったねぇ、悟飯!ピッコロさん、悟飯の後は私だからね!!」
「そ、そんなぁ…」
悟林が自主修行をしている間、悟飯はピッコロの地獄の扱きを受けるのであった。
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