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夢幻水滸伝

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第三百六十一話 戦の期限その十

「策士策に溺れるっていうな」
「そうですね」
「そや、策略に優れていてもな」
「その策略を使うことに夢中になり」
「他が見えん様になってな」
 そうなりというのだ。
「相手のことも考えんとな」 
「策を用いていき」
「やがて失敗する」
「そうなりますね」
「何でも溺れるとあかん」
 メルヴィルは強い声で言い切った。
「ほんまな」
「それはですね」
「そや、そればかりになってな」
「他のことは見えへん様になって」
「それを身を持ち崩す」
「お酒でもそうですね」
「博打でもな、何でも程々がな」 
 慎みを以て楽しむことがというのだ。
「ええんや」
「そうですね」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「奇をてらってばかりなんはな」
「あきませんね」
「優れた策士でも溺れるとあかん」 
 先程言った通りにというのだ。
「まして奇をてらうことばかり考えるんやったらな」
「それは策士ですらないですね」
 ルイスが言ってきた。
「そうですね」
「そや、もうな」
「それこそですね」
「何もわかってへん奴や」
「そうですね」
「漫画とかでありきたりの展開描かんと言うてな」
 そうしてというのだ。
「奇をてらう、変な展開とキャラばかりやとな」
「ストーリーもキャラも破綻しますね」
「そうなってな」
「碌でもない作品になりますね」
「実際そうした作品もあるしな」
 世の中にはとだ、メルヴィルは言った。中にはまともな創作に触れたことがないとしか思えない漫画家もいたりするものだ。
「そうした作品はもうな」
「まともやないですね」
「碌なもんやない」
 それこそというのだ。
「王道、オーソドックスが何故あるか」
「そのことを考えることですね」
「そや」
 まさにというのだ。
「大事なんはな」
「そうですね」
「そやからな」
「ここはオーソドックスをですか」
「守って戦うで」
「そうしますね」
「そして相手がミスしたり隙が出たらな」
 その時にというのだ。
「奇襲を仕掛けたりな」
「そうした時こそ奇襲ですね」
「それかな」
 若しくはというのだ。
「攻め込む」
「奇襲やなくても」
「そうする、それでええな」
「はい、それではですね」
「基本を守ってな」 
 戦のそれをというのだ。
「忠実にや」
「戦っていきますね」
「そうするで」
 こう言って実際にだった。 
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