神々の塔
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第七十八話 光の神その六
「ドス黒くて歪んで醜い」
「そうしたもんになるね」
「闇も只の夜とか暗がりの闇やなくて」
そうではなくというのだ。
「嫌なもんが混じった」
「そうした闇やね」
「そう思うわ、そして正義もな」
「真逆でやね」
「アフラ=マツダさんが司る正義とな」
それと、というのだ。
「人の正義は違って」
「そこに人が入ってるね」
「自己犠牲と科勇気とか博愛精神とか」
「ええもんが入って」
「黄金の精神やな」
施はこの言葉を出した。
「それにや」
「なるんやね」
「人は醜い面もあれば」
「奇麗な面もあるね」
「それが人や、両方あるんや」
「それで正義に奇麗な面が入ったら」
「その時はな」
まさにというのだ。
「黄金の精神になる」
「素晴らしいもんになるね」
「そしてそれを見たらな」
そうすると、というのだ。
「自分のことやなくてもな」
「感化されて」
「自分もとなる、その黄金の精神はな」
これはというと。
「アフラ=マツダさんの正義とはまたちゃう」
「それでいて素晴らしい正義やね」
「そや、そうした心を持ちたいな」
「そうなる様にしたいね」
「人はな」
「うちもそう思うわ、難しいけど」
黄金の精神を備えることはというのだ、人は何かに目覚めなければそれを持つことが適わないのかも知れないと思いつつ言った。
「持ちたいね」
「ほんまそやな」
「けど持ったら」
「それは最高の力になるわ」
「その人にとって」
「創作の世界にはあるな」
メルヴィルはそちらの世界のことを考えつつ綾乃に話した。
「現実の世界にもあって」
「そうした世界にもやね」
「あってな、それを読んだり観ることもな」
「大事やね」
「わしが好きなんはな」
創作の世界における黄金の精神の持ち主はというと。
「小公子もやな」
「ああ、あの子やね」
「ほんまに強い子や」
「明るくて前向きで」
「屈託なくてな、苦労もしてる筈やが」
幼くして父親に先立たれていてだ。
「その苦労を苦労と思わず」
「ほんまに前向きで」
「思いやりも深くてな」
「あんなええ子はおらんね」
「そうはな、そうした子やから」
だからこそというのだ。
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