神々の塔
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第七十八話 光の神その五
「ほんまに」
「僕もや、失楽園とかでもな」
この書でもというのだ、ミルトンが書いた名著である。
「読んでて悪い存在か」
「思えへんね」
「むしろ必死に生きてて頑張っててな」
「応援したくなるね」
「そんな存在やな」
「こっちの世界でも」
綾乃はこの世界における悪魔の話をした。
「世界を憂いてはるし」
「僕等にも試練を与えてな」
そうしてというのだ。
「強くなる様にしてくれてるな」
「そやね」
「世界を崩壊させたり人を破滅させたりとかな」
「させへんね」
「自分達の信者にしようとしても」
それでもというのだ。
「決してや」
「邪悪やないね」
「その辺りを理解せんとな」
「あかんね」
「キリスト教の悪魔よりや」
中里は忌々し気に言った。
「ほんま人で腐りきった」
「邪悪って呼ばれる風になると」
「もうな」
それこそというのだ。
「アンラ=マンユさんの悪よりもな」
「悪やね」
「それが吐き気を催す邪悪でな」
「神霊さんが司る悪とちゃうね」
「見た瞬間に顔を顰める様な」
そうしたというのだ。
「ほんまな」
「嫌なもんやね」
「そうした悪はな」
「悪といってもほんま色々でな」
羅は達観した様な顔で述べた。
「神霊さんが司る悪は世界の柱や」
「闇もまた」
「そうしたもんでな」
「邪悪やないね」
「邪悪はな」
それはというと。
「ほんまな」
「またちゃうね」
「そや」
「薄汚いっていうか」
「エゴがあるわ」
「人のそれが」
「神霊さんかてエゴがある」
彼等もというのだ。
「確かにな、しかしな」
「人とはまたちゃうね」
「司るもんにはな」
「エゴが入らへんね」
「それぞれのお仕事にな」
「アンラ=マンユさんもやね」
「そや、それでや」
その為にというのだ。
「悪でもな」
「邪悪とはちゃうね」
「そうなってるわ」
「吐き気を催す邪悪ってな」
施も言ってきた。
「人の持つ醜い面が入るさかいな」
「醜くてやね」
「それで吐き気すらな」
「感じる位やねんね」
「エゴ、悪意、残虐性」
「そんなもんが入って」
「純粋な悪やなくてな」
悪は悪でもというのだ。
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