神々の塔

「お祖父さんの伯爵さんもや」
「その心を救えたね」
「そうなったわ、ああした心を持てば」
「ほんまに強いね」
「人を助けられるわ」
「実際お祖父さんの伯爵さん救ったり」
「そやからな」
　このことがあるからだというのだ。
「小公子はな」
「黄金の精神の持ち主やね」
「そや」
　まさにというのだ。
「そう言ってええわ」
「人は素晴らしいもんを見ると感化される」
　トウェインも言った。
「そしてそうなりたいって思う」
「そのうえで努力するね」
「そのこともええことや」
　綾乃に対して話した。
「そうした正義はな」
「ほんまにそやね」
「人のそうした面をな」
「見ることやね」
「ほんまな」
「そやね、素晴らしいものを見てお手本にする」
　綾乃も確かな声と顔で話した。
「そうすることやね」
「そや、素晴らしい人やものを見たら」
　その時はというのだ。
「お手本にすることや」
「それが一番やね、妬んで落とすんやなくて」
「目指すことや、聖人君子を前にしたらな」
「素直にお手本にせんとね」
「あかん、素晴らしい人は素直にや」
「お手本にして目指して努力する」
「ほんまそこで嫉妬したらあかん」
　トウェインは強い声で述べた。
「ほんまそや」
「嫉妬は禁物やね」
「そして逆にな」
　トウェインはこうも言った。
「あかん奴、吐き気を催す邪悪なんてな」
「反面教師にすることやね」
「ああはなるまいや」
「そう思うことやね」
「それでそいつと逆のことをすることや」
　こう言うのだった。
「屑な部分のそれをな」
「そやね」
「それとな」
「それと？」
「起きた世界のわいの故郷やが」
「カルフォルニアやね」
「あそこは今怪物がいてはる」
　真顔での言葉だった。
「野球でな」
「大谷さんやね」
「何やあの人って思ったわ」
「それ言うたらもう九州の子達なんか」
「特に福岡の美鈴ちゃんな」
「ホークスファンやからね」
　それ故にというのだ。
「二〇一六年の悪夢があって」
「十一・五ゲーム差ひっくり返されたのよね」
　アレンカールがこのことを言った。
「これが」
「そう、それで今も言うてるねん」
「ホークスの地元の九州の子達が」
「特に思い入れの強い美鈴ちゃんがやね」
　山田美鈴、星の者である彼女がというのだ。
「今も言うてるね」
「恐ろしいバケモノやてね」
「投打で圧倒されてやさかい」
　バッターとしてだけ、ピッチャーとしてだけでなかったというのだ。世の中そうした人物も存在しているのだ。