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シャンブロウ編
  第14話「星々の海、私の好きな言葉です」

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第14話「何年の月日が経っただろうか?」となります。
どうぞ、ご覧ください。
 

 
 星々の海を航海する、とある勢力に属する艦隊の姿があった。
 とある勢力に属する艦隊の正体は、ブリリアンス・ギルドの艦隊である。

 ブリリアンス艦隊の戦力は、アクラメイター級アサルトシップ2隻、アクラメイター級改 戦闘航宙艦1隻、ボレアス級TEミサイル駆逐艦Ⅱ型5隻、AC721重量級支援駆逐艦Ⅱ型6隻、AC721重量級両用突撃艦Ⅱ型4隻、ガーディアン級支援駆逐艦Ⅱ型2隻の合計20隻で構成され、シールドと光学兵装の重粒子砲を標準装備されている。

 どの艦艇も大型だ。
 五百メートル級にも匹敵する四百メートル級のボレアス級Ⅱ型、五百メートル級のAC721重量級Ⅱ型、六百メートル級のガーディアン級Ⅱ型。

 全長が大きいだけではなく、二連装275mm砲と二連装330mm砲に換装し、対空火器を増設、更には光学兵装の重粒子砲が装備されている為、パルス砲と比べ火力は飛躍的に向上した。

 特に目を引くのは、アクラメイター級の存在だ。
 (くさび)型の船体を持つ全長752mのアクラメイター級は、ブリッジは船体中央後部から突き出したタワーが特徴的だ。他艦艇と同じく、艦の砲撃・推力・防御として機能するブリリアンス・ドライブを内奥に宿している。

 アクラメイター級は輸送艦としても戦闘航宙艦としても使える艦艇だが、戦闘に特化した派生モデルが存在する。

 その派生モデルこそが、アクラメイター級改 戦闘航宙艦だ。

 アクラメイター級を戦闘航宙艦として改装された本艦は、アクラメイター級アサルトシップよりも強力な火力と強固な防御性能を保有している。
 
 四連装330mm重粒子砲や二連装275mm重粒子砲を多数装備し、ミサイル、魚雷なども装備している。
 対空火器もアクラメイター級アサルトシップと比べ充実しており、並大抵のミサイル・魚雷攻撃は苦も無く迎撃することが可能。

 防御においても、シールドの上位版である【フィールド】が装備されている為、防御性能は凄まじいの一言。

 そんな艦艇であるアクラメイター級改は、両隣をアクラメイター級アサルトシップに挟まれていた。
 無論、物理的・直接的に挟まれている訳ではない。一定の距離を保っての、だ。

 アクラメイター級改の両隣にはアクラメイター級アサルトシップ、その周りをAC721重量級両用突撃艦Ⅱ型とガーディアン級支援駆逐艦Ⅱ型、更にその周りをAC721重量級支援駆逐艦Ⅱ型とボレアス級TEミサイル駆逐艦Ⅱ型が固めている。
 
 中心に存在するアクラメイター級改は守れているような、否、守られているアクラメイター級改こそが、ブリリアンス・ギルドの頂点に君臨する存在、ギルド長スヴェートが座乗する艦なのだ。

 ――艦隊旗艦〈スラクル〉艦橋。

 「はぁ、大マゼラン銀河外縁部の何処かにあるって、本当にあやふやだ」
 
 艦長席に座る白髮オッドアイの女性スヴェートは、溜め息混じりに言い放った。

 「スノウの奴め」
 
 確かに、確かに自ら行くと承諾の意を示した。
 しかし、だ。なんだ?大マゼラン銀河外縁部の何処かにあるって…。

 艦隊は、伝説の惑星シャンブロウがあるとされる座標に向かっている。
 残り1回のワープで到着する予定だ。
 
 「私が居なくとも、アルポ銀河は大丈夫だろう」

 スヴェートは追憶する。

 アルポ銀河は安全だ。
 アルポ銀河に存在する敵対勢力はブリリアンスの属国となり、その後は不可侵条約を締結し、互いに干渉はしないと固く誓った。
 ブリリアンス艦隊は各地に点在し、外的勢力からの脅威に警戒する構えを常に行っている。今もなお戦力は生産中だ。

 だが、それは良い意味で杞憂なのかもしれない。

 「ブリリアンスは連邦に属しているし、加盟惑星でもあるんだ。安全は保証されている」

 加盟惑星は連邦庇護下であると声高に主張、誰にも冒されぬ聖域を形成し、平和を謳歌する。

 連邦についての詳細はあまり分かっていないが、連邦は莫大な軍事力と政治調整能力を持ち、巨大な軍事兵器を有していることを、スヴェートは知った。

 「何よりもスノウは幹部で、元とはいえ地球人。安全安心だ」

 スヴェートがスノウに関して知っている事は少ない。
 連邦幹部スノウは元の世界で事故で命を落とし、この現実世界に転生した人間であることぐらいだ。そして、親しい関係だとスヴェートは思っている。

 「そういえば、連邦って何とか連邦だった気がする。なんなら正義とかも、何とか正義だったような?」

 何だったか、う〜んと頭を使い思い出そうとするスヴェート。
 まぁ、気にするまではないか。
 そんな大したことではない、そう片付けた彼女は一つ、ふと思い出したことがある。

 「確か、魔女と呼ばれる宇宙人――ジレル人が実在するんだったか?」

 スノウから聞かされた、魔女ことジレル人。

 薄い灰色の肌、白銀または薄い灰色の髪の毛、尖ったエルフのような耳、身体には特殊な模様が特徴のジレル人。

 生まれながらにして特殊な能力を備え、人の心内を読むことが可能で、テレパシーによって脳内へ直接語りかけ、幻視によって人に幻覚を見せて惑わせる。

 「――魔女がその美しい唄声で船乗りを誘い、魂を貪り食う…だったか?」

 人の心を読めるなんて読心術みたいだなぁ、と付け加えたスヴェート。
 
 「そういえば、スノウはこんな事を言っていたな。―――『過去において、数えるのが馬鹿なぐらいの艦艇が消息を絶った宙域がある』…だったか?」

 スヴェートは、そんな宙域があるなら行ってみたいとは思っていた。
 だが行くのは、またの機会だ。私はスノウから頼まれた伝説の惑星シャンブロウを探索する。

 「まずは発見だな。…ん?」
 
 そう意気込んでいた時だ。
 スヴェートの耳に、1人で歌う女の歌声が聞こえたのだ。

 「変な歌だな。おい、そこのお前。こんな歌、流していたか?」

 「イイエ、ソモソモ歌ハ流シテイマセン」

 「…は?」
 
 瞬間、スヴェートの背筋に冷たいものが走った。
 先ほどの魔女の話が脳裏を掠めた。それも、何度もリピートするように。

 『過去において、数えるのが馬鹿なぐらいの艦艇が消息を絶った宙域がある』

 「まさか、この宙域が、そうだというのか…?」

 なんてこった。
 そうと決まれば早速ワープしなくては。スヴェートはワープするよう命令を発した。
 ワープカウントダウンが始まり、やがてワープする準備が完了した。

 「全艦隊、直ちにワープ!この宙域からサヨナラするぞ!」

 ブリリアンス・ギルド長スヴェート率いる艦隊は、現宙域からワープ空間へと姿を消した。
 …この後、とんでもない事態を引き起こし、とんでもない事態と遭遇する事を、彼女は考えもしなかった。 
 

 
後書き
 *インフィットラグランジュと呼ばれるゲームの艦船、登場中!艦船の名前をコピーして検索すると、イメージ出来るゾ。

 さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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