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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その三十三

「自分達はな」
「特別にご馳走作らせてですね」
「それを食ってるんだよ、そして提督になるとな」 
 将官の階級を持つ者はというのだ。
「もうな」
「何か専属の給養員が付いているんですよね」
「コックだよ」
 給養員でなくというのだ。
「コックがだよ」
「付いていですか」
「それで提督の為だけにな」
「料理作ってるんですか」
「三食な」
「兵隊とは違うもの食っていて」
「その中でもだよ」
「専属のコックが作ってますか」
「あっちの提督はな、それで司令になるとな」 
 この立場になると、というのだ。
「もう乗艦に音楽隊までいて飯の時に」
「演奏ですか」
「とんでもないだろ」
「何様なんですか」
 兵士はここまで聞いて思わずこの言葉を出した。
「一体」
「いや、何様ってな」 
 曹長は兵士に笑って返した、二人共席に着いていてそこでトランプをしながらそのうえで話をしている。
「言うまでもないだろ」
「っていいますと」
「お貴族様だよ」
 これだというのだ。
「要するにな」
「貴族だからですか」
「平民と違う飯食ってな」
「メニューも食材もですか」
「士官用の厨房で作ったものでな」
 厨房も違うというのだ。
「それで提督になるとだよ」
「専属のコックが作ったもので」
「それでな」
 そのうえでというのだ。
「豪勢に食ってるんだよ」
「腹立ちますね」
「貴族って連中にはだよな」
「はい、とんでもない連中ですね」
「人間に階級なんてないんだよ」
 曹長は言い切った。
「絶対にな」
「あれですね、俺公庫の授業で習ったんですが」
 この兵士は高校を卒業してすぐに練習員として入隊している、それでこの度この艦に乗艦してサハラにいるのだ。
「人の上にです」
「人を作らずだな」
「ええ、それで人の下にです」
「そうだよ、けれどな」
「エウロパはですか」
「そうした社会でな」
 曹長もその言葉は知っていて語った。
「食ってるものも別なんだよ」
「食うものにさえ差別があるんですか」
「とんでもない社会だな」
「はい」
 実際にとだ、兵士は怒った声で答えた。
「最悪ですね」
「俺もそう思うさ」
 曹長もだった。 
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