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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第五幕その四

「あの作品の色はね」
「白や銀だね」
「舞台全体がそうなるんだね」
「あの薔薇が銀の薔薇だから」
「そうだから」
「それに音楽もね」
 こちらもというのです。
「そうした感じだね」
「色にすると白か銀」
「それが強いなんだね」
「確かにそうした音楽かな」
「あの作品の音楽は」
「そうだね、そして」
 先生はさらにお話しました。
「舞台もそうした色なのかな」
「確かハプスブルク家の色は金色だね」
 王子が言ってきました。
「そうだね」
「うん、そうだよ」 
 先生は王子にその通りだと答えました。
「かつてのオーストリア=ハンガリー帝国の旗に黄色が入っていたけれど」
「あれは金色だね」
「ハプスブルク家の色だよ」
「ハプスブルグ家が皇帝だから」
「国旗にもその色が入っていたんだ」
「そうだったね」
「けれどあの作品はね」
 薔薇の騎士はというのです。
「銀の薔薇だから」
「音楽もそうだから」
「それでね」
 その為にというのです。
「ハプスブルク家の都ウィーンが舞台でも」
「白や銀色が強いんだね」
「そして赤や黒や緑といった色はね」
「ああ、あの作品のイメージにはね」
「合わないね」
「僕もね」
 王子も確かにと頷きました。
「そう感じるよ」
「そうだね」
「あの作品は色がはっきりしているね」
「歌劇の作品は多いけれど」
「薔薇の騎士は特にだね」
「色が強くて」
 それでというのです。
「その色がね」
「白や銀色なんだ」
「そのことを論文で書いていこうとね」
「考えているんだ」
「うん、あと王子はウィーンに行ったことはあるかな」
「あるよ」
 王子はすぐに答えました。
「音楽の都でスイーツがいいよね」
「そうだね」
「そしてハプスブルグ家の宮殿もあって」
「シェーンブルン宮殿だね」
「歌劇場もあってね」
「あそこで多くの作品が上演されているね」
「舞踏会も開かれたりしてね」
 先生に笑顔でお話しました。
「素敵な街だね」
「僕もそう思うよ」
「日本にはないね」 
「欧州の趣があるね」
「音楽にスイーツに」
「薔薇の騎士にある貴族の趣もあるね」
「しっかりとね、ただ冬はかなり寒いらしいね」
 王子はこのお話もしました。 
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