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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第五幕その三

「常に何かが死んでいく」
「そうした作品だね」
「女性の声が強い作品でね」
「その声を楽しむ作品でもあるね」
「そうなんだ、楽しんで悲しんで考えさせられて」
 そうなってというのです。
「とても素晴らしい作品だよ」
「僕達も観たけれど」
 老馬が言ってきました。
「先生と一緒にね」
「先生と一緒に沢山の歌劇を観てきたわ」
 ポリネシアも言います。
「けれどその中でもね」
「薔薇の騎士は素晴らしかったよ」
「忘れられない作品の一つだよ」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「本当にね」
「リリャルト=シュトラウスの代表作の一つだけあるよ」
「先生の言う通り優雅で美麗で」
「素晴らしくて悲しいのよね」
 チープサイドの家族が観てもです。
「あの作品は」
「とても奇麗だけれどね」
「音楽も奇麗なんだよね」
 食いしん坊のダブダブが聴いてもです。
「常にね」
「はじまりから最後まで音楽は奇麗で」
 そしてと言うトートーでした。
「舞台もそうなんだよね」
「奇麗な中に悲しさがあって」
 ジップの言葉もしみじみとしているものです。
「観ていてつい登場人物に感情移入してしまうよね」
「特に元帥夫人にね」
 ガブガブはこの登場人物のお話をしました。
「そうなるわね」
「大人の女性で余裕があってとても上品だけれど」
 チーチーも元帥についてお話します。
「切ない人なんだよね」
「うん、その切なさもね」
 先生も言いました。
「あの人の魅力だね」
「全くだね」
「勿論他の登場人物も魅力的だよ」
「とてもね」
「悪役だってね」
「そうだね、実は僕はこの作品の色について今考えているんだ」
 先生は皆にお話しました。
「舞台のね」
「あの作品の色なんだ」
「僕達が観たのだと白かな」
「銀色もあって」
「黄色や銀色もある」
「そんな舞台だったね」
「この作品はどうしてもね」
 先生はお茶を飲みつつお話しました。
「白や銀が強くなるんだよね」
「登場人物の衣装や背景が」
「舞台のカーテンや柱だってね」
「当時のウィーンの貴族のお屋敷だけれど」
「白か銀色が強いのね」
「それは何故かというと」
 そうした色になっている根拠はといいますと。
「薔薇に理由があるね」
「薔薇の騎士だけあってね」
「薔薇に理由があるんだね」
「そうした色になるのは」
「そうだよ、あの作品独自の設定で」 
 それでというのです、
「結婚する相手に求愛の使者を送るけれど」
「その使者が薔薇を持っていてね」
「それで求愛を伝えるんだよね」
「そしてその薔薇が何か」
「銀の造花なんだよね」
「薔薇のね」
「そう、だからね」 
 先生はさらにお話しました。 
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