ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第五幕その五
「ウィーンは」
「うん、ロンドンも寒いけれどね」
「ウイーンもだね」
「寒いよ、だから日本の感じで冬のウィーンに行くと」
「寒くて仕方ないね」
「僕もすっかり日本に馴染んだから」
そうなったからというのです。
「冬のウィーンにはね」
「用心して行かないとね」
「寒くて仕方ないよ」
「そうだね」
「日本はね」
この国はといいますと。
「やっぱりいい気候だよ」
「過ごしやすいね」
「だから植物もよく育って」
「お花もだね」
「そして薔薇もね」
「よく育つね」
「有り難いことにね」
こうお話します、そしてです。
先生はお茶を飲んでからです、あらためて言いました。
「お花がよく育ってしかも沢山の種類があることも日本のいいことだけれど」
「何かあるんだ」
「そうした国でも」
「何か音大があるんだ」
「そうなの?」
「和歌でお花を詠うね」
そうするというのです。
「そうだね、けれど薔薇の和歌はね」
「あっ、ないね」
「アニメではあっても」
「ベルサイユの薔薇が」
「そうだけれど」
「それでも和歌になると」
皆にお話します。
「ないね」
「何かそんな感じじゃないね」
「和歌に薔薇って」
「和歌では色々なお花が謡われるけれど」
「それでもね」
「薔薇は心当たりがないよ」
先生としてはです。
「勿論俳句でもないよ」
「何か着物着て薔薇を観るってね」
「平安時代の歌人にしても」
「合わないね」
「絵柄的に」
「そうだね、僕もね」
また言う先生でした。
「どうにもだよ」
「連想出来ないね」
「今は日本のあちこちに薔薇があるけれど」
「それでもね」
「薔薇は和歌や俳句には合わないね」
「着物にも」
「そして日本人第一のお花は」
それが何かといいますと。
「桜だね」
「そうだよね」
「何と言ってもね」
「日本と言えば桜」
「そんな感じだよ」
「桜と薔薇どちらを選ぶかといったら」
そうなると、というのです。
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