ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第五幕その二
「漢字を覚えたらね」
「後は楽だね」
「そして漢字は表意文字だから」
「その言葉の意味を考えると覚えやすいね」
「そうなんだ、むしろね」
ここで苦笑いになって言う先生でした。
「日本語はね」
「特異だよね」
「文字は三つあるし文法もね」
「独特でね」
「こんなに複雑な言語はないから」
それでというのです。
「僕も苦労しているよ」
「今もだね」
「学ぶにあたってね」
「日本語はそうだね」
「けれど本当にラテン語を覚えたら」
教会即ち神学で使われているこの言語をというのです。
「かなりね」
「楽だね」
「そうだよ」
「そういうことだね」
「本当にね」
さらに言う先生でした。
「神学は欧州の学問の源流だよ」
「その源流をしっかり学んでいるから」
「僕はあらゆる学問を学べているんだ」
「そうだね」
「それで今も学んでいて」
「芸術もだね」
「芸術、音楽も舞台も絵画もね」
そうしたもの全てがというのです。
「神に捧げるものだから」
「やっぱり神学が源流だね」
「そうなんだ、つまり僕の学問は」
「神について学ぶことだね」
「医学も然りだよ」
「本当にあらゆるものが神学からはじまるね」
「欧州の学問はね。薔薇の騎士はリヒャルト=シュトラウスの作品だけれど」
この人が作曲したのです。
「この人も聖書からの作品を作っているしね」
「サロメだよね」
「オスカー=ワイルドの作品を元にしているけれど」
「サロメは聖書に出て来るからね」
「だからね」
「あの人も神に関わる作品を作っているね」
「欧州を語るには」
そうするにはといいますと。
「やっぱりね」
「まずキリスト教があるね」
「そうだよ、だから僕の学問は何でもじゃなくて」
「一つだね」
「神について学んでいるんだ」
そうだというのです。
「そうしているんだ」
「そうなるね」
「そう、本当にね」
それこそというのです。
「神学なくしてね」
「先生の学問はないね」
「うん、それで次の論文は薔薇の騎士だけれど」
あらためて作品のお話をしました。
「素晴らしい作品だよ」
「リヒャルト=シュトラウスの代表作だね」
「貴族社会の優雅さと美麗さとね」
「恋愛の素晴らしさと切なさがあるね」
「誰も死なないけれど」
そうした作品でもというのです。
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