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金木犀の許嫁

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第二十八話 二人一緒にその八

「それでね」
「お婿さんを迎えて」
「西宮家を継ぐ?」
「そう言われても」
 それも急にとだ、白華は戸惑って答えた。
「ちょっと」
「お返事出来ない?」
「今急に言われましても」
 それでもというのだ。
「言えないです」
「そうなのね」
「はい、ただ私がお家を継ぐことも」
「そう、西宮家でなくてもね」
「養子に入ってですね」
「あるから。本当に天理教だと」 
 この宗教の教会ならというのだ。
「もう普通にね」
「養子さん迎えますね」
「教会とそこにある教えをね」
「継いでもらう為に」
「それでよ」
「養子さんもですね」
「よく迎えるの。女の子だけなら」
 その教会の子供がというのだ。
「普通にね」
「お婿さん迎えますね」
「そうよ」
 そうなるというのだ。
「天理教じゃそうでお寺や神社も」
「事情は同じですか」
「日本の宗教ではよくあるのよ」
「お家を継いでもらう人が必要ですか」
「そう、お寺でも神社でもね」
 キリスト教の教会に限らずだ、そしてそれが仕事になったりもするので信仰心があればこちらの路にも進めるのも日本であるのだ。
「そうだから」
「それで、ですか」
「白華ちゃんも考えてね」
「わかりました」
「今すぐでなくても」
「将来はですね」
「養子に入ることもね」
「猿飛家は兄さんが継ぎますし」
 今は秀樹と男二人でまた酒を飲みつつ話している兄のことを話した。
「私はフリーですが」
「やっぱりね」
「お家のことはですね」
「あるでしょ」
「はい」
 まさにと答えた。
「やっぱり」
「私達はね」
「古い武士のお家で」
「十勇士もね」
「やっぱり武士ですね」
「忍者だけれど」
「幸村様にお仕えして」
 そうしてというのだ。
「しかも直臣だったので」
「完全にね」
 それこそというのだ。
「武士よ」
「その身分は」
「もう身分はないけれど」
 それでもというのだ。 
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