バックベアード
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第五章
「兎に角暑いのよね」
「冬は暖かいけれどね」
「その反面夏はね」
「この通りなのよね」
「毎年参る、前は海だが」
大阪はというのだ。
「どうにも熱が籠るな」
「京都よりましよ」
熱が籠ると言われてだ、美嘉は冷静に答えた。
「それでもね」
「ああ、京都はな」
妖怪も言われて声で頷いてきた。
「何度も行っておるが」
「夏暑いでしょ」
「大阪以上にな」
「そしてね」
美嘉はさらに話した。
「大阪は冬暖かいけれど」
「京都の冬は寒い」
「そうでしょ」
「あの暑さも敵わぬが」
それと共にというのだ。
「冬の寒さもな」
「凄いでしょ」
「底冷えしてな」
「盆地なのよね、京都って」
杏奈も言ってきた、実は二人は公立のそこそこ以上に偏差値の高い高校に通っていてそこでも成績がいい方であるのだ。
「だからね」
「夏暑くて冬寒いのよね」
「夏は熱気が籠って」
そうなってというのだ。
「冬は冷気が籠る」
「そうなってね」
その為にというのだ。
「夏は暑くて冬は寒い」
「京都はね」
「大阪は夏暑いけれど」
「京都程じゃないと思うし」
「冬は暖かいし」
「京都よりずっと暮らしやすいかもね」
「そうだな、しかも京都は人間同士のしがらみも多く複雑だが」
八日は二人の話を聞きつつ困った様に言ってきた。
「妖怪同士もな」
「しがらみ多いの」
「そうなの」
「古い妖怪が実に多くてな」
そうであってというのだ。
「その妖怪同士のしがらみがな」
「多くて複雑なの」
「そうなのね」
「大阪とは違う」
妖怪の社会もというのだ。
「このざっくばらで庶民的なものがない」
「京都の妖怪さん達の間には」
「そうなの」
「左様」
まさにというのだ。
「これがな」
「そうなのね」
「大阪と京都は色々違うけれど」
「妖怪さん達の中でもなの」
「そうなの」
「いい街だが夏は暑く冬は寒くな」
そうであってというのだ。
「しかもしがらみが多くてな」
「住まないのね」
「京都には」
「わしはな。夏は確かに暑いが」
またこの話をするのだった。
「全体的に見て暮らしやすい」
「それでなのね」
「大阪で暮らしているのね」
「これまでもそうでな」
そうであってというのだ。
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