バックベアード
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第六章
「これからもな」
「大阪で暮らすの」
「そうするの」
「そうする、ではそろそろ管理人も帰って来るしな」
共に働いている彼がというのだ。
「そろそろな」
「ええ、ゲームの方に移るわ」
「そちらを楽しむわね」
「そうしてもらいたい、懐かしいゲームも多くある」
今自分達がいる屋上のゲームコーナーにはというのだ。
「存分に楽しんでくれ」
「それじゃあね」
「そうさせてもらうわね」
二人もそれならと応えてだった。
ゲームコーナーに移った、だがそこでプレイはせず人のそれを観るだけだった。そうしてある人のプレイを観終えてだった。
そのうえで下の階に下りてだ、杏奈は美嘉に言った。
「まさかこの百貨店に妖怪さんがいるなんて」
「思わなかったわね」
「しかもアメリカから来てるなんて」
「余計に驚くわね」
「こんなこともあるのね」
「ええ、世の中わからないわ」
美嘉はこう杏奈に返した。
「本当にね」
「そうよね」
「ええ、しかしクイーンとクラリスの組み合わせって」
美嘉は音楽の話もここでした。
「やっぱり珍しいのね」
「妖怪さんから見ても」
「しかも女子高生が好きには」
「そうみたいね」
「多分ね」
美嘉は杏奈に話した、その階の中を一緒に歩きながら。百貨店の中だけあって実に色々な店がある。
「クイーンがね」
「女子高生が聴くには?」
「ちょっと、なのよ」
「それでなのね」
「けれどそのクイーンの曲も」
美嘉は真面目な顔で話した。
「アニソンでね」
「使われたの」
「EDでね」
「そういえばあの曲そうだったわね」
杏奈も言われて頷いた。
「確かに」
「そういう意味でクラリスと同じだったのよ」
「クラリスもアニソンだしね」
「アニソンは馬鹿に出来ない」
決してというのだ。
「それはね」
「事実よね」
「むしろね」
否定するどころかというのだ。
「どんどんね」
「聴くべきよね」
「聴いたらね」
そうすればというのだ。
「その分ね」
「得られるものがあるわ」
「そうしたものよ、クラシックもよくて」
そうしてというのだ。
「ポップスもロックもいいけれど」
「アニソンもいいわ」
「もっと言うと特撮の曲もね」
「名曲も多いし」
「歌っても楽しい」
「だからアニソンは聴くべし」
「本当にそうよね」
こうした話を笑顔でした、そしてだった。
二人は百貨店の中を歩いて観て回った、今は妖怪がいるとは想像も出来ない場所だがそれでも涼しく実に快適で二人は楽しく観て回れた。楽しい話もしながら。
バックベアード 完
2024・7・29
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