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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~

作者:黒井福
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XV編
  第211話:非情にして無情

 撤退したジェネシスが集まったのは、ヴァネッサ達ノーブルレッドのアジトであった。それは別にそこが彼らにとっても重要な拠点の一つだったからではない。ただ単純に、手近な集結地点としてお誂え向きなのがそこだったと言うだけの話だ。
 元は廃棄物処理施設跡であったそこは、現在主にノーブルレッドの3人が生活し且つ錬金術師としても活動できるように、外見に反して内部はしっかり整えられていた。

 その一画に、本来の家主である3人を押し退けるような形でジェネシスの構成員である魔法使い達が集まっている。

「うぐっ!? うぅぅ……!?」

 普段であればヴァネッサ達が身を休める為のベッドの一つをオーガが占拠し、その周りにベルゼバブを始めとした数人の魔法使い達が囲んでいる。まるで何かの儀式のようなその光景に、無理矢理追いやられる形となった3人は忌々し気に睨みつけながらもそれ以上の事は出来ずにいた。

「く、くそ……!? この、俺が……俺様が、あんな……!?」

 変身を解いたオーガの状態は酷いものだった。全身に夥しい切り傷が刻まれ、包帯を巻かれてはいるがその傷の治りは明らかに遅い。
 全身を苛む苦痛にオーガが悶えていると、まるで影から姿を現したかのようにジェネシスの首魁であるワイズマンがメデューサを伴って現れた。

「苦しそうだな、オーガ?」
「ワイズマン、様……! も、申し訳ありません、こんな姿を……!」

 不遜にして粗野な言動が目立つオーガも、流石にワイズマン相手となると姿勢を正すのかしおらしい態度を取った。尤も全身に包帯を巻かれ、体を動かせないのでベッドの上に寝かされたままであったが。

「構わんよ。それより、ザババの刃に討たれたそうだな?」
「は、はい……ですがご心配なくッ! こんな傷、直ぐに……」
「そうか……」

 まるで許しを請う様に必死に弁明するオーガであったが、ワイズマンはそれを話半分に聞き流しながら右手に指輪を嵌めハンドオーサーの前に翳した。傍からそれを見ていたノーブルレッドの3人は、彼が何をするつもりなのか分からずそれを見ているしか出来ない。

 そして次の瞬間、3人は信じられないものを見る事となった。

〈ライトニング、ナーウ〉
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「「「ッ!?!?」」」

 突然、ワイズマンが手から電撃を放ちオーガの全身を焼き始めたのだ。動く事が出来ないオーガはそれを避ける事も防ぐ事も出来ず、全身を電撃に焼かれけたたましい悲鳴を上げるしかない。

「がぁぁぁぁっ!? わ、ワイズマン、様……!? な、にを……!?」
「ザババの刃は物質的・霊的に相手を切り裂く無情の刃。まともに喰らえばお前はもう助からん。どの道長くはないだろう。ならば、いっその事さっさとその身命を終わらせて、新たな器に明け渡すのが賢明というものだ」

 ジェネシスの魔法使いにとって、新たな器とは即ちファントムの事を示す。そう、嘗てヒュドラや最初のメデューサがそうであったように、ワイズマンはさっさと人間の魔法使いとしてのオーガの命を終わらせ、ファントムとして再誕させようと言うのである。

 幾ら敗者とは言え、元は己の配下であった者に対する非情にして無情な仕打ちを目の当たりにし、ノーブルレッドの3人は思わず恐怖し身を寄せ合って震えていた。
 そんな彼女達の前で、遂にオーガの人としての命の灯が燃え尽きる。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 一際大きな悲鳴を上げたかと思うと、オーガの体が罅割れ砕け散る。そして後には、左肩から腰に掛けて斜めに走る大きな口を持つ異形の存在、オーガファントムが残されていた。
 生まれ落ちたオーガファントムは、ゆっくりと体を起き上がらせ魔法使いと言う殻から飛び出た己の姿を見下ろす。

「う、ぁぁ……ん~…………」
「おはよう、オーガ。気分はどうかね?」
「最高です……ワイズマン様」

 嘗ての配下が異形の物となったにもかかわらず、ワイズマンは変わらぬ様子で話し掛ける。対するオーガも、姿形は変わりながらもワイズマンに対しては敬う姿勢を崩さない事に、一見すると変わったのは外見だけで中身は何も変わっていないのではないかと思わせた。

 しかし…………

「ワイズマン様……腹が減りました。何か、良いものはありませんか? 例えば……」

 そう言いながらオーガはノーブルレッドの3人に目を向ける。表情の分からない異形の顔だが、その視線からは明らかに彼女達3人を食料でも見るような捕食者としての視線を感じた。その視線を前にヴァネッサ達は胃が縮むのを感じ、思わず後ろに後退りしそうになる。
 だがそれをメデューサが背後から押さえた。何時の間にそこに居たのか、メデューサはノーブルレッドの3人を後ろから押す様にして前へと歩かせ、その勢いで3人はその場に崩れる様に倒れ込んでしまった。

「あぅっ!?」
「い、つつ……」
「ひっ!?」

 3人が倒れた丁度目の前に、オーガが立ち塞がる。左肩から右腰に掛けて走る大きな口は僅かに開かれ、牙の覗く口からは涎が垂れていた。今にも頭から丸呑みにされそうなその迫力と悍ましさに、エルザは目に涙を浮かべて這いずる様に下がるも直ぐにメデューサの足にぶつかりそれ以上下がれなくなる。

 恐れ戦く3人に、オーガは手を伸ばす。それに対しヴァネッサは咄嗟に2人の前に出て両手を広げながらワイズマン達に抗議した。

「待ってくださいッ! これでは話が違いますッ! 私達はまだ……!」
「お前達の不始末の所為で、オーガがこうなったと言うのに?」
「それは……!?」

 ヴァネッサの必死の抗議も、メデューサの一言で封殺される。確かに、埠頭での不始末が原因でミラアルクが窮地に陥り、その始末をつける為向かったオーガが重傷を負い結果こうなった。因果関係は明らかであり、そこを突かれるとヴァネッサとしてもぐうの音も出なくなってしまう。
 それでも何とか、せめてミラアルクとエルザだけでも見逃してもらおうと彼女はワイズマンに懇願する。

「と、チャンスをッ! 今一度チャンスをくださいッ! 次こそは、必ず……!」
「いいだろう」

 驚いた事にワイズマンはあっさりと懇願を承諾し、オーガを下がらせた。その呆気なさにヴァネッサ達は逆に呆気に取られて口をポカンと開けてしまう。

「あ、え……本当、に……?」
「うむ。確かにオーガがこうなった事の遠因は君らの不始末にある。だが不始末を追求するのであれば、もっと別の者が居ると気付いたのでね」

 そう言ってワイズマンが指を鳴らすと、彼とオーガを残して他の魔法使いは一斉に姿を消した。その光景に唖然としていると、ワイズマンはオーガを伴ってその場を離れながら言葉を続けた。

「来客があるのだろう? 早く準備したまえ」

 ワイズマンとオーガは静かにその場から姿を消した。だが彼らが居なくなった後も、ヴァネッサ達は今目にした光景のあまりの恐ろしさに全身を鎖で縛られた様にその場から動く事が出来ずにいた。




***




 不穏な雰囲気を崩さぬジェネシスとノーブルレッドに対して、S.O.N.G.の方も決して明るい雰囲気を維持しているとは言い難い状態であった。

「ジェネシスに、元パヴァリアの錬金術師の残党……こうも後手に回らされるとはな」

 苦い顔をした弦十郎の言葉が発令所に静かに響く。それも分からないではない。南極での騒動を発端としたかのようなこれまでの戦闘は、いずれも決して勝てないと言う戦いではなかった。

 ジェネシスに対しては仕方がない。連中は潜伏している間に練兵し、その戦力を増強させた。加えて今まで伏せていた幹部を呼び寄せ、こちらの戦力に対抗しようとしている。幹部と練度を上げた魔法使いが組み合わされば、なるほど確かに厄介で負けはしなくても勝てないのは無理からぬことと思えなくもない。
 だが錬金術師達に関しては話が別だ。実際に戦った感想ではあるが、エルザもミラアルクも、どちらも以前戦ったサンジェルマン達に比べれば単純な戦闘力では劣っている印象しかない。稀血と言うアキレス腱により戦闘に制限が掛かる事を加味しても、正面からのぶつかり合いでなら勝てると思わせる戦いだったのだ。

 その最大の要因は、やはり敵の動きの読め無さにあった。

「しゃーないって、旦那。ジェネシスは勿論、あの3人に関してもアタシらは分からない事ばかりだったんだ。まさか連中が錬金術で体を改造されてて、その体を維持する為に輸血が必要だなんて思ってもみなかったんだからさ」

 現在、少なくともあの3人が目的としている稀血と呼ばれるタイプの全血製剤に関しては一か所に集めた挙句厳しい警備が敷かれる事で対処している。次に彼女達が輸血用血液を必要とするのが何時になるのかまでは分からないが、次に稀血に限界が来た時が恐らく彼女達との戦いの決着となるだろう。

 だがその間に、彼女達とジェネシスが何をしてくるかまでは想像も出来なかった。

「ああいう輩は手練手管を駆使してこちらを翻弄してくる……颯人さん、何か分かる事はありませんか?」

 エルザやミラアルクの行動や言動から、相手がどのような傾向の相手かを翼が推察する。察するに、あの3人は積極的に強者と真正面から戦う様なタイプではなくジェネシスの様な圧倒的強者の影に隠れながら闇討ち、だまし討ちなどで目的を達成しようとするタイプだ。防衛には成功したが、ライブ会場を狙った時などが正にそれである。もし襲撃が成功していたら、後手に回らされたS.O.N.G.は敵への対処と避難誘導の為奔走を余儀なくされかなりの苦戦を強いらされていただろう。その結果、仲間の誰かが倒れてもおかしくはなかった。

 言い方は悪いが、こういう風に相手を翻弄する事に関して言えば颯人がこの場では一枚も二枚も上手だ。その経験から何か分かる事はないかと翼が問い掛ければ、颯人は帽子を被り直しながら口を開く。

「さて、ね……そもそもジェネシスの連中が遺骸の腕輪を奪って何するつもりなのかも分らんし。強いて言える事があるとすれば、連中に協力してる第3者を見つけ出す事じゃねえかな?」

 埠頭での件の発端は、ミラアルクとエルザの2人が黒服を着た男達との取引現場を見られた事が始まりだった。あの錬金術師達は、ジェネシスと別の組織を繋ぐ仲介のような役割を果たしている可能性が高い。となれば、そこから切り崩していくのが現状できる唯一の事であろう。

 颯人の見解に異論を唱えるものは誰も居なかった。実際それ以外で出来る事もなかったし、何らかの組織が動いているのであれば掴める尻尾はどこかにある筈だからだ。

 一先ず軽いミーティングはそこで終了となり、装者や魔法使い達は各々解散となった。
 その際響が翼と奏をカラオケに誘った。

「あっ! そうだ、奏さん翼さんッ! 今度皆でカラオケに行こうって話してたんですけど、2人も一緒にどうですか?」
「お、いいねぇ。デカいライブも終わったし、たまの気晴らしには丁度いいか。な、翼?」
「ふむ…………」

 響からの提案に乗り気な奏に対し、翼は顎に手を当てて思案顔になる。

「……今は予断を許さぬ有事……あまり羽目を外し過ぎる訳にはいかないわ」
「翼……」
「翼さん……」

 確かに彼女の言う通り、未だ今回の件に関しては解決の兆しも見せていないし、呑気に遊んでいる暇はない。生真面目な彼女らしい返答に、奏と響は何とも言えない顔になってしまう。実際翼の言う通りではあるし、カラオケをしている最中に何かあれば即座にそれに対応しなければならないのではあるが。

「でも……」

 と、ここで翼が急に声のトーンを変えた。肩から力を抜いた様な声色に2人が翼の顔を見ると、そこには先程とは打って変わって穏やかな笑みを浮かべた翼の顔があった。

「たまには、息抜きをする事も必要ね」
「それじゃあ……!」

 期待を込めた響の声に、翼は頷いて答えた。それを見て奏と響は満面の笑みでハイタッチを交わすのだった。




***




 ノーブルレッドがアジトとしている廃棄物処理場跡。普段滅多に人が立ち寄らないその場所に、この日は珍しく来客があった。
 ジェネシスとも手を組んでいる、風鳴 訃堂とその部下達である。

 護衛を伴って入って来た彼に、最初に気付いたのは獣人のエルザであった。

「ッ!」
「お早い到着。せっかちですのね?」
「腕輪の起動、間もなくだな?」

 ヴァネッサからのちょっとした皮肉に眉一つ動かさず、訃堂は周囲をじろりと見渡しながら逆に問い掛けた。
 その際、何故かこの場に居るワイズマンとファントムのオーガの姿に、僅かに眉間に皺を寄せる。

 訃堂が見せた僅かな反応に、しかしヴァネッサは気付く事もなくコンソールに向かい操作を開始した。

「……聖遺物の起動手段は、フォニックゲインだけではありません。7つの音階に照応するなら、7つの惑星……その瞬き……音楽と錬金術はあり方こそ違えど、共にハーモニクスの中に真理を見出す技術体系」

 ヴァネッサが解説しながら操作を続けると、説明通りに7つの惑星の瞬きに照応した音階が室内に響き渡る。それが封じられていた腕輪へと伝わり、激しい放電のような光と共に覚醒させる。

「この日この時の星図にて、覚醒の鼓動はここにありッ!」

 眩い光と共に腕輪を収めていたケースが弾け飛び、直後全ての光が収まり静寂が辺りを覆った。起動が完了したにしてはあまりにも静か過ぎる状況に、ヴァネッサも不安の声を抑える事が出来ない。

「起動完了……なのよね?」

 不安を口にするヴァネッサに代わり、ミラアルクが腕輪に近付き手に取ろうとする。だがその腕を、横から伸びた訃堂の手が掴んで引っ張り上げた。

「えっ!?」

 突然腕を引っ張り上げられた事に、ミラアルクは咄嗟に手を振り払おうと力を籠める。だが驚くべき事に、掴まれたてはピクリとも動かせず老人とは思えに膂力に驚愕せずにはいられない。

 ミラアルクの驚愕を他所に、訃堂は腕輪から目を離さず口を開いた。

「お前の役目は他にある」

 そう言って訃堂が連れて来させたのは2人の黒服を着た男。そう、先日埠頭にてミラアルクとエルザの2人に稀血の入ったケースを持ってきた男達だった。2人は両手を頭の後ろに組んだ状態で、背後から拳銃を突き付けられながらやって来た。

 辛うじて記憶に残っていた2人の登場に、エルザも思わず目を丸くした。

「あの時の人達で、ありますか?」
「片付けよ。遣いも果たせぬ木っ端共!」

 つまりは後始末だ。失敗した者は容赦なく切り捨てる。ワイズマンも非情だったがこの男もまた非情だった。

 人殺しを強要されている事に、手を解放されたミラアルクが顔を顰める。束の間の逡巡、だがそれも次の瞬間には冷たい殺意に変わるかと思われた。

 しかしそこでそれまで黙っていたワイズマンが声を上げた。

「そう言う事ならこちらに任せてもらおうか」
「何?」
「オーガ、やれ」

 訃堂がワイズマンの真意を問い質す前に、ワイズマンがオーガに指示を出した。その瞬間オーガは鎖を外された猟犬の様に駆け出し、左肩から右腰に掛けて斜めに走る大口を開けて男の片方に飛び掛かり頭から丸呑みにした。

「ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 頭から食らい付かれて丸呑みにされる男の悲鳴が響き渡る。人間が死ぬ様などこの世には多数あれど、頭から丸呑みと言う死に方は早々目にするものではない。悲鳴を上げて足をバタつかせながら飲み込まれていく男の姿はショッキングであり、男を始末する為に覚悟を決めていたミラアルクも今はその光景に恐怖し目を見開き込み上げてくる吐き気を堪えるので精一杯だった。

「う……!?」

 胃の中から戻ってくるものを手を抑えて堪えている間に、オーガは男の1人を完全に飲み込んだ。男の悲鳴が収まると、代わりにオーガの大口からはゲフッと血の匂いの混じった吐息が零れる。

「ん、ぷぅ……フン、ただの人間じゃあこの程度か。まぁもう1人居る事だし、良しとするかな」
「ひ、ひぃぃゅ!? 怪物めっ! 怪物共めぇぇッ!?」

 残る一人はこのまま食われてなるものかとその場を逃げ出した。背後から銃撃を受けながらも駆けた男は、台座に置かれていた腕輪を手に取り自らの腕に装着した。

「あっ!」
「ッ!」

「このまま殺されてなるものかッ! 殺されるくらいなら、コイツでぇッ!」

 それはある種の賭けだった。このまま何もしなければ、オーガに食われて確実に死ぬ。そんな死に方をするくらいなら、どんな目に遭おうが未知の力を持つ腕輪の力で生き延びる可能性に賭ける。

 男が腕輪を装着した右腕を掲げると、腕輪から光と共に不協和音に近い音が鳴り響いた。不快さすら感じさせるその音に、ヴァネッサも思わず耳を片方塞いだ。

「この音は……!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ヴァネッサ達が見ている前で、男の体の内側からも光が漏れ出る。光はまるで男の体が罅割れていくようにあちこちから零れだし、遂には男の体は耐えきれなくなったように爆発した。その爆発の威力は見た目以上に凄まじく、腕輪起動の為の設備も何もかもを破壊する程であった。燃え上がる炎に消火設備が起動し、けたたましいベルの音が鳴り響く。

 その中で、訃堂は感嘆する様にその様子を見ていた。

「神の力……簡単には扱わせぬか? だが、次の手は既に打っておる」

 何やら意味深な事を口にする訃堂であったが、ヴァネッサ達はそれどころではなかった。あの装置は結界の意味も兼ねていた。この施設や、腕輪の存在を魔術的に隠し追跡を免れる為のシェルターの役目を果たしていたのだ。それが今、破壊された。それはつまり、S.O.N.G.にこの場所がバレたと言う事を意味している。

「ディーシュピネの結界が……!」
「連中が駆けつけて来るゼッ!」

 ヴァネッサとミラアルクは即座にこの場を離れる事を考えていた。最早一刻の猶予もない。敵ながらにS.O.N.G.の索敵能力の優秀さを認識している彼女らからすれば、今のでこの場所は見つかったと見ていた。

 そんな中で、エルザは冷静であった。

「提案があるであります。この場所を隠し、連中の追撃からも逃れる手が……!」

 そう口にするエルザの手には、アルカノイズの召喚結晶が握られている。彼女は手早くヴァネッサとミラアルクに自身の提案を説明した。

 それを傍目に見ながら、ワイズマンはオーガ共々その場を後にするのだった。 
 

 
後書き
と言う訳で第211話でした。

オーガはめでたく(?)魔法使いからファントムへと再誕しました。前回のラストでそのままファントム化する流れもあったのですが、そうするとそのまま第2ラウンドに突入しそうだったので。それに伴って、原作でミラアルクが処する男はそのままオーガのおやつとなりました。モブの命が軽いシンフォギア世界でも、頭から丸呑みにされるなんて死に様を見る事は片手の手の平に納まる程あるかどうかと言う確率でしょうね。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。 
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